◇ホビット 思いがけない冒険(The Hobbit:An Unexpected Journey)
前作の『ロード・オブ・ザ・リング』がおもっていたよりも面白かったために、期待値が高くなっていた分、落胆も大きくなった。たしかに、0マーティン・フリーマンは好演しているし、イアン・マッケランはその魔法使いの役柄を自分のものにしてるけど、どうにも散漫な印象を受ける。冒険させるために仕組まれた冒険ってな感じで、またいえば、前作よりも旅の目的が小さすぎる。
もちろん、ドワーフの王国を再建するといのは決して小さな目的じゃないんだけど、でもまあ、前作は世界そのものを救うという究極の目的があった。その分、小さいかなと。また、ドワーフの王そのものに傲岸不遜な性格をもたせてしまったためか、ちょっと魅力が乏しいというのも影響してるような気がしないでもない。さらにいうと、エルフのケイト・ブランシェットと、半エルフのヒューゴ・ウィーヴィング、白の魔法使いのクリストファー・リーが仲よさげかどうかはわからないけど、とにかくひとつのテーブルで落ち着いて話しているのを見ると、顔見せとはいえ、なんとなく今回の話がまじに前日譚にすぎないんだなあって気になり、ちょっと消沈する。
まあ、そんなこともあって、全体の構成が、第1部が半独立、第2部と第3部が前後編のあつかいになってるのは前作とおなじで、籠城戦をクライマックスに持ってくるのは仕方ないこととはいえ、めあたらしさがなくなってて、そこへ行くために第1部が用意されてるもんだから、辻褄合わせにちからが傾いてるためか、ピーター・ジャクソンの演出が強引かつ散漫な印象になっちゃってるんだろな。