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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

ホビット 思いがけない冒険

2025年02月04日 23時46分34秒 | 洋画2012年

 ◇ホビット 思いがけない冒険(The Hobbit:An Unexpected Journey)

 

 前作の『ロード・オブ・ザ・リング』がおもっていたよりも面白かったために、期待値が高くなっていた分、落胆も大きくなった。たしかに、0マーティン・フリーマンは好演しているし、イアン・マッケランはその魔法使いの役柄を自分のものにしてるけど、どうにも散漫な印象を受ける。冒険させるために仕組まれた冒険ってな感じで、またいえば、前作よりも旅の目的が小さすぎる。

 もちろん、ドワーフの王国を再建するといのは決して小さな目的じゃないんだけど、でもまあ、前作は世界そのものを救うという究極の目的があった。その分、小さいかなと。また、ドワーフの王そのものに傲岸不遜な性格をもたせてしまったためか、ちょっと魅力が乏しいというのも影響してるような気がしないでもない。さらにいうと、エルフのケイト・ブランシェットと、半エルフのヒューゴ・ウィーヴィング、白の魔法使いのクリストファー・リーが仲よさげかどうかはわからないけど、とにかくひとつのテーブルで落ち着いて話しているのを見ると、顔見せとはいえ、なんとなく今回の話がまじに前日譚にすぎないんだなあって気になり、ちょっと消沈する。

 まあ、そんなこともあって、全体の構成が、第1部が半独立、第2部と第3部が前後編のあつかいになってるのは前作とおなじで、籠城戦をクライマックスに持ってくるのは仕方ないこととはいえ、めあたらしさがなくなってて、そこへ行くために第1部が用意されてるもんだから、辻褄合わせにちからが傾いてるためか、ピーター・ジャクソンの演出が強引かつ散漫な印象になっちゃってるんだろな。

 

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陪審員2番

2025年02月02日 22時59分01秒 | 洋画2024年

 ☆陪審員2番(Juror #2)

 

 この作品がなんで劇場で公開されなかったのか、わからない。すこぶる、おもしろかった。

 ニコラス・ホルトの、自分が実は過失致死させてしまったんじゃないか、真犯人は自分で、この事実を話せば裁判は逆転無罪になる、でも自分と妻子を守るためには事実を話すわけにはいかない、ならばどうすればいいのだろう、そうかこの轢き逃げ事件を無罪にしてしまえばすべてあいまいなままになるのかもしれない、という心理サスペンスがぎりぎり迫ってきて、いやまじ、ほんとに熟練の演出で、上手な映画だった。

 ニコラス・ホルトを追い詰めていく検察官トニ・コレットも冷静ながらも同時に耐えがたいほどの焦慮を見せる演技で、じつに好い。

 これが『十二人の怒れる男』とちがうのは、無実の罪を着せられているという設定はおなじながらも、良心的な正義感に燃えていくヘンリー・フォンダと、自分の罪は免れたいけれども自分のせいで無実の罪に追い込まれてしまうかもしれないというぎりぎりの良心に苛まれるニコラス・ホルトというのは、真反対の設定で、これが効いてるんだよね。

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林檎とポラロイド

2025年02月01日 23時27分16秒 | 洋画2020年

 ◇林檎とポラロイド(Mlla)

 

 ほ~『スカボロー・フェア』から始まるのがちょっと意外だった。

 アリス・セリベタリスがバスの中でいきなり覚醒するのと同時に、記憶喪失になってるのにも気がつくっていう出だしは好い。

 で、記憶回復プログラムを遂行してゆくうちに、ダンスホールに行って、酔いどれて、誰か誘ってトイレでその場限りのセックスをしろと、まあ、つぎつぎに指令が下ってくるんだけど、こんなことで記憶が回復するとはおもえない。それにしても、洋画はほんとにトイレでセックスする場面が多いなあ。

 淡泊な映画なんだけど、その単調さは飽きてくる。つまんないなあとおもうこともしばしば出てくる。

 ちなみに、林檎は記憶に効くらしい。なるほど、それで食卓に林檎が出されているのか。これ、ほんとに記憶喪失だったのかどうか、ほんとはなにもかもおぼえていて、過去の自分を消し去るために徹底して記憶を失くしたように見せているんじゃないのか、と考えることもできるんだけど、それについては、監督のクリストス・ニクはまるで語らない。才能はおそらくあるんだろうけど、商業的なものは好まないのかなあ。

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