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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

コーカサスの虜

2008年02月29日 12時02分31秒 | 洋画1996年

 ☆コーカサスの虜(1996年 カザフスタン、ロシア 95分)

 原題/Kavajazski Plennik

 英題/Prisoner of the Mountain

 監督/セルゲイ・ボドロフ 製作・原案/ボリス・ギレル

 脚本/セルゲイ・ボドロフ、アリフ・アリエフ、ボリス・ギレル

 撮影/パーヴェル・レベシェフ 美術/ワレーリー・コストリン

 衣装/デザイン・ヴェラ・ロマノヴァ 音楽/レオニード・デシャトニコフ

 出演/オレグ・メンシコフ、セルゲイ・ボドロフ・ジュニア、ドジュマール・シハルリジェ

 

 ☆チェチェン紛争下のロシア

 単調さが延々と続きながらも、詩的興奮もまたずっと続く。こういうのが映画が芸術たる所以なのかもしれない。ま、なまいきなことをいえばの話だけど。

 捕虜に好意を抱いてしまうのはどこの世界でもあることながら、それで逃亡させてしまうことが、悲劇の結末をより鮮烈なものにさせてしまうわけで、そういうのをたぶん、物語の昂揚というんだろう。

 紛争の是非ではなく、戦争の無益さと感情の愚かさ、そして紛争の町の奇妙さはよく描けてる。心の交流も静かな盛り上がりで、じつに見事だ。くりかえしになるけど、淡い恋と優しさの復活の後に、現実的な悲劇を予感させる終幕もまた見事だ。

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野火

2008年02月26日 20時53分42秒 | 邦画1951~1960年

 ◎野火(1959年 日本 105分)

 監督/市川崑 音楽/芥川也寸志

 出演/船越英二 ミッキー・カーチス 滝沢修 稲葉義男 佐野浅夫 中條静夫 浜村純

 

 ◎追悼市川崑その2

 カニバリズムを映像化するのはいつも大変で、思い出されるのは『ひかりごけ』と『アンデスの聖餐』だ。どっちも古いけど、この作品は舞台にもなるような展開だったわ。

 船越英二が仲代達矢に見えてくるのはなんでなんだろう?

 ま、なにより、芥川也寸志の音楽が好い。

 でも、泥に顔を突っ込んで死ぬところなんぞ、監督も監督なら、役者も役者で、見事な演出に根性で応えることができる時代ってのは、いいよね。

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ビルマの竪琴

2008年02月19日 13時26分37秒 | 邦画1951~1960年

 ☆ビルマの竪琴(1956年 日本 116分)

 監督/市川崑 音楽/伊福部昭

 出演/安井昌二 三國連太郎 浜村純 内藤武敏 西村晃 三橋達也 北林谷栄 伊藤雄之助

 

 ☆追悼市川崑

 原作が読まれなくなっても、映画だけは見続けられる典型的な作品かもしれない。それだけでなく、昭和31年のビルマを撮影しているだけでも、映像的な価値は十二分にある。

 ただ、リメイク版もそうなんだけど、独白者の視点になっていないのがなんとも妙な感じだ。

 ところで、ビルマは現在でいうミャンマーのことだけど、アウンサン・スーチーは、その演説ではちゃんと「ビルマ」っていってる。だから、ぼくもスーチー女史にならって「ビルマ」と呼んでる。

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秋のミルク

2008年02月15日 14時32分31秒 | 洋画1981~1990年

 ◇秋のミルク(1988年 西ドイツ 111分)

 原題/Herbstmilch

 監督・撮影/ヨゼフ・フィルスマイヤー 音楽/ノルベルト・ユルゲン・シュナイダー

 出演/ダーナ・ヴァブロヴァ ヴェルナー・シュトッカー クロード・オリヴァー・ルドルフ

 

 ◇1938年、西ドイツバイエルン地方。

 その小さな農村が舞台だ。

 ♪カッコー、カッコー。

 懐かしい曲が心情と相俟って流れる静かな映画なんだけど、子沢山の酪農家の娘アンナが、ミルク料理について玄人になっていったり、その切っ掛けとなったりする門口の物語かと思いきや、なんのことはない、ドイツ版『おしん』だった。

 だから、題名の意味が不明なんだよ~。

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疑惑

2008年02月11日 16時38分40秒 | 邦画1981~1990年

 ◎疑惑(1982年 日本 127分)

 監督/野村芳太郎 音楽/芥川也寸志

 出演/岩下志麻 桃井かおり 柄本明 加賀丈史 中谷昇 丹波哲郎 森田健作 真野響子

 

 ◎ヒントは別府3億円保険金殺人事件

 実はあんまり期待してなかったっていうのが正直なところで、観終わったあとも『事件』を彷彿させた。ところが、これがあにはからんや、おもしろかった。佳境の意外な展開もあり、裁判劇としての出来が良いんだ。

 鹿賀丈史のくだりが『事件』の渡瀬恒彦とかぶるような気もするけど、心理の綾と感情を込み入らせるのは、女性弁護士の方が良いかもね。

 ま、裏話はいろいろあるみたいで、脚本も原作をみずから脚色した清張の意見が通ったとか通らなかったとか。

 けど、それはそれとして、主役ふたりは熱演してたわ。

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狼よさらば

2008年02月05日 19時20分03秒 | 洋画1971~1980年

 ◎狼よさらば(1974年 アメリカ)

 原題/Death Wish

 監督/マイケル・ウィナー 音楽/ハービー・ハンコック

 出演/チャールズ・ブロンソン ホープ・ラング ヴィンセント・ガーディニア

 

 ◎Death WishシリーズのNo.1

 妻を殺され、娘が暴行されて廃人にされた男が、夜の巷の私立警官となってチンピラを一掃していくってのは、この当時、よくある筋立てだったのかもしれないけど、たぶん、嚆矢となったのはこの映画なんじゃないかな?

 なんにせよ、この発想は好きだわ。

 指拳銃のラストカットは懐かしい!

 あ、そうそう。拳銃を拾った警官はジョン・トラボルタによく似てて、この頃、トラボルタは高校を出て俳優をめざし始めた頃で、あれがまんがいち本人だとすれば、もしかして、トラボルタのデビュー作なんじゃないかと。

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