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☆=☆☆☆☆☆
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▽=☆

花よりもなほ

2022年03月18日 17時02分54秒 | 邦画2006年

 △花よりもなほ

 

 つまんないなあ。

 美術がおそろしく良くて、撮影もなかなか、タブラトゥーラの音楽も印象的だ。

 ところが脚本がだらだらしてるし、演出もなんだか辛気臭い。役者たちも顔をそろえるための芸人たちの演技が下手過ぎて興ざめするし、なんといっても話がまるで始まらない。ずうっと小汚い裏長屋の暮らしを撮ってるだけってのはなんだろうね。だいじょうぶか、是枝裕和。

 なるほど仇討をしようとしている岡田准一と、子持ちの宮沢りえの物語だってことはなんとなくわかった。たぶん、仇討しないっていう話にもっていって、人殺しよりも人を愛することの方がたいせつなんだとかっていう物のわかったような話で締め括るんじゃないかって、そのだらだらの出だしでおもった。

 原田芳雄の小野寺十内が出てくるときだけ絵がしまるがあとはひたすら薄汚く、だらだらだらだらしてて、そもそも寺島進の寺坂吉右衛門の話とか余計だし、忠臣蔵をからませたことで余計なものがくっついてますますだらける。どうしたらこんなにつまらない映画ができるんだろうっておもってしまったのは、ぼくだけなんだろうか。

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嫌われ松子の一生

2016年02月11日 19時24分12秒 | 邦画2006年

 ◇嫌われ松子の一生(2006年 日本 130分)

 監督・脚本 中島哲也

 

 ◇極彩色のミュージカル調が好きか嫌いか

 という点において、ぼくは一度、観るのを断念したことがある。どうしてもこの感覚についていけなかったためで、これはたしかに好き嫌いが分かれるところだろうなとおもった。でもまあ、その後、おもいなおして観たのが今回だ。観たっていうか、観ることができた。

 松子という人間の純粋さのせいで転落していくという数奇な生涯を追っているんだけど、やっぱりどうも原作の趣味なのかもしれないんだけど、どうにもやるせない雰囲気が漂ってくる。女性が転落していくのはなんでか知らないけど男がらみのことが多くて、そういうところからいえば、教師をしているときの最初のあやまちである財布うんぬんのことだってやっぱり男子生徒なんだよね。松子の場合、それでもアイドルが好きだったりして、どこまでも興味の対象が純粋な恋にあるところがいかにも哀れだなあという詠嘆しか出てこなかった。

 ちょっと滅入るな。

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間宮兄弟

2014年06月04日 12時20分52秒 | 邦画2006年

 ◇間宮兄弟(2006年 日本)

 ぼくは、曖昧カタカナ語は使わない。

 だから、ハートフルとかいう言葉も使わない。

 だって、意味がわかんないんだもん。

 で、この映画はハートフルな映画らしい。

 どういう意味かはわからないけど、

 気持ち悪いいつまでも子離れできない母親に、

 これまた気持ち悪い兄弟ばなれできない子供みたいなオタクまがいの兄弟がいて、

 結局、人生の辛さがわかったようなわからないような呑気さでいるから、

 いつまでたっても結婚できないし、こんなんじゃあかんぜとおもいながらも、

 やっぱり温室の中がいいんだよねっていう平和ぶった話ってこと?

 とかいったら、あかん。

 もう一歩ふみこんで、もうちょっとだけ深いところがあるかもしれないと考えよう。

 原作を読んだことがないから間違ってるかもしれないんだけど、

 たぶん、この兄弟は、かなり苦労人の母親に育てられたんだろう。

 母親は夫を早くに亡くしたか出ていかれちゃったかして、

 ともかく辛酸を舐めて育てたから、

 子供には苦労させたくないし、自分が惨めだとおもわれたくもない。

 だから常に奇妙な明るさをふるまい、作り笑顔で接し、

 中古のロールスロイスまで買っちゃったりする。

 そんな母親に育てられた兄弟は、

 自分たちの生まれついた惨めさをよく噛み締めていて、

 家族の絆ほど強いものはないと固く信じていて、

 自分たちの城をかたくなに死守しようとしている。

 かれらにとって集めた本やフィギュアとかのグッズは、

 宝物であると共に、自分の人生そのものなんだよね。

 だから、丁寧に扱うし、乱雑な部屋にはしない。

 すべてにおいて几帳面というのは、やや神経が過敏すぎるわけで、

 交感神経が不調なのか、自律神経が失調しているのかどうかは知らないけど、

 ともかく、常人とはちがった人間であるということだ。

 兄弟は自分のわがままはいえずに育ったから、

 他人を傷つけることはもちろん兄弟で傷つけ合うこともない。

 それは自分を傷つけることになるから、そういう意味でいえば、

 かれらは強いようで非常に弱く、もろい。

 だから、かれらはガラス細工のような心と体と環境を維持するために、

 毎日をとても清潔に、几帳面に過ごしている。

 他人に対して常に優しく、人間としての礼儀を保ち、つつましく生きている。

 それが仮面なのか本来の姿なのか気づかないけれど、

 自分が他の人間と違ってしまっていることにも気づかずにいる。

 こんな兄弟に恋人ができるとはちょっとおもえないんだけど、

 でも、そこにこの作品の主題があるんじゃないか?

 だって、この兄弟はなんにも悪いことはしていないし、

 健康で、素直で、温和で、従順で、勤勉で、惻隠の情にあふれている。

 つまり、日本人としては申し分ないわけだ。

 けれども、実際はもてない。

 どころか、ちょっとばかり気色悪がられてたりする。

「そんなのまちがってるだろ」

 といったとしたら、いったい、まちがってるのは誰なんだろ?

 日本国なのか、日本人なのか、それとも人間の社会なのか?

 そういうことをやんわりといっているような気がするんだよね。

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不撓不屈

2014年05月22日 19時52分41秒 | 邦画2006年

 ◇不撓不屈(2006年 日本)

 飯塚事件ってのは、ぼくは知らなかった。

 TKCっていわれてもなんのことかわからなかった。

 無知をさらけだすようで恥ずかしい話ながら、

 TKCってのは、栃木県計算センターの略称で、

 栃木県宇都宮市で、飯塚毅法学博士により、

 会計事務所と地方公共団体に専門特化した計算センターとして、

 設立されたものなんだそうだ。

 で、その飯塚毅会計事務所に、

 1963年6月24日、

 いきなり国税庁の税務調査が入って、

 所長以外の4名の職員が法人税法違反教唆の容疑で逮捕起訴されるんだけど、

 なんとか無罪判決を勝ち取ることができたっていう原作が映画化されたものらしい。

 なるほど、だから、なんだか昔っぽい感じの絵づくりなんだ~、

 と観終わってから納得してたんじゃあかんよね。

 けどまあ、

 昭和38年から45年まで続いた裁判と国会闘争を、

 ぼくみたいな無知な人間にもわかりやすく描いてはいるんだけど、

 社会派ドラマの常道っていうのか、

 どうしても権力に立ち向かう堂々っぷりが、ぼくにはまぶしすぎる。

 それはそうと、

 滝田栄っていう俳優は、ほんとにこういう役が似合うね。

 正義と理想に燃えて、どんな障害も克服していきそうな感じだ。

 インドで修業したりとかの話も聞くけど、

 なんでこんなにきちんとした人がいるんだろうって感心する。

 それにしても、

 なんだって国税庁はここまで嫌がらせをするんだろね。

 そのあたりの究明が、

 なんだか家族の絆にすりかえられていっちゃってる気がして、

 ちょっとばかり物足りなさを感じちゃうのはぼくだけなんだろうか?

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あかね空

2014年04月22日 00時00分48秒 | 邦画2006年

 ◇あかね空(2006年 日本)

 市井のひとびとを描いた人情話は、この頃の流行りらしい。

 まあ、好きな人達にはたまらない話なんだろうけど、

 ふしぎなもので、

 戦後まもない頃はこういう話がやつぎばやに作られてた。

 それがいつのまにやらテレビドラマの得手になり、

 映画ではあんまり見られなくなった。

 だって、銀幕ではもっと派手なものがいいじゃんか~と映画会社が判断したからだろう。

 たしかにそういう時代もあったかもしれない。

 それが、また時代が巡った。

 そういうもんだ。

 で、この話なんだけど、

 京の豆腐と江戸の豆腐のちがいは固さや大きさってわけではなくて、

 おそらく、大豆と水だろう。

 どうしたところで、大豆と水が違う以上、

 当時の江戸で京の味は出しにくいんじゃないかな~と勝手におもってりするんだけど、

 それはいいとして、

 内野聖陽がふた役やってる意味はなんだったんだろう?

 まあ、いろんな考え方ができるけど、制作者側にしか正解はわからないよね。

 観客にとっては、それがしっくり来るか来ないかってだけの話だ。

 それと、

 江戸の豆腐屋の生き別れになった息子が、

 博徒の親分になってて、親子の名乗りも得られないまま、

 ふしぎな縁で親の遺した豆腐屋の窮地を救うってのも、

 これまた好き好きだ。

 ぼくはといえば、まあ、素直に観ました。

 なんだか懐かしい感じの映画だったな~。

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幸福のスイッチ

2013年12月11日 19時04分35秒 | 邦画2006年

 ◇幸福のスイッチ(2006年 日本 105分)

 staff 監督・脚本 安田真奈 撮影/中村夏葉 美術/古谷美樹

     音楽/原夕輝 主題歌/ベベチオ『幸福のスイッチ』

     製作支援/和歌山県 田辺市 JTB西日本 松下電器産業(現:パナソニック)

     ロケ協力/パナット田辺 田辺商工会議所 南紀田辺世界遺産フィルムコミッション

 cast 上野樹里 本上まなみ 沢田研二 中村静香 深浦加奈子 芦屋小雁 林剛史

 

 ◇和歌山県田辺市

 ご当地映画ってのは、いいもんだ。

 この頃、どうにも食傷気味なものがある。

 テレビ局と広告代理店と映画会社が製作委員会を立ち上げて映画制作することで、

 たしかに製作費の分担と広告宣伝と配給興行が一体となるメリットはわかるけど、

 なんだか映画を制作するってのはどういうことなのかって立ち止まる。

 もちろん映画は商品だし、それでお金を儲けなくちゃならない。

 でももうちょっと別なかたちがあってもいいんじゃないかなと。

 だからってご当地映画がいいのかどうかってこともあるけど、

 県や市町村が支援するのはまず良きことかなとおもうし、

 昔のように企業が一社で映画を制作するんじゃなくて制作支援って形も良きかなと。

 ま、そんなところで、この映画だ。

 なんで田辺なのかって話はおいといて、

 よくある地方の、どこにでもあるような話なんだけど、

 そこはかとなく幸せになれそうな物語ではあるよね。

 ちなみに、

 ぼくの田舎にも、ナショナルの電器屋さんがあって、

 うちの実家はそこのお得意さんで、

 背の届かないところの電球ひとつでも替えに来てくれる。

 そりゃあ小売店の家電はすこしばかり割高かもしれないけど、

 町の催事とかにはいろいろと協力してくれたり、

 なんといったらいいのか、田舎の共同体の中にあって、

 ご主人と数人の従業員だけで電気工事もこなしたりとあれこれ忙しい。

 そういう世界は地方の風景のひとつだし、

 そこを切り取って映画にするってのは、

 地に足が着いてる感じで、好印象なのよ。

 それと、地味そうなキャストではあるけど、

 上野樹里がジュリーを知らなかったってのは、

「ほんまか!?」

 とはおもうものの、

 大作映画には決まって登場してくる俳優を観るのは、

 それこそ食傷気味ってのもあって、好い雰囲気だったわ。

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プロヴァンスの贈りもの

2012年07月23日 23時45分10秒 | 邦画2006年

 ◇プロヴァンスの贈りもの(A Good Year)

 

 南仏の大人のおとぎ話。

 三人の女優(マリオン・コティヤール、イザベル・カンドリエ、ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ)が魅力的なだけで肩透かしを食らった観はあるけど、息抜きの小品とおもえばいいのかな。

「たまにはワインを傾けながらのんびり観てね」

 と、リドリー・スコットにいわれているような気になるのが、なんだか不思議だ。

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魂萌え!

2010年06月18日 01時55分29秒 | 邦画2006年

 ◇魂萌え!

 

 萌えない…。

 急死した夫の浮気、愛人との蕎麦屋経営発覚、息子の相続欲、娘の我儘、立川のカプセルで詐欺まがいの出会い…に怒り、自分を変えたいと不倫も経験していくんだけど、肝心な映写技師をめざしていくときの萌え度がほとんど感じられないのは、致命的に辛い。

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叫(さけび)

2010年02月03日 19時35分48秒 | 邦画2006年

 ◇叫(2006年 日本 104分)

 監督・脚本/黒沢清 音楽/蓜島邦明

 出演/役所広司 小西真奈美 葉月里緒奈 奥貫薫 長宗我部陽子 水木薫 オダギリジョー 加瀬亮

 

 ◇赤い服の幽霊はムンクを叫ぶ

 通勤で乗合せた船で瘋癲院を観、助けてやれなかったことで逆恨みされてしまっては堪らないが、全部なしにしようと思ったという言葉や不吉な地震と筋とが噛み合うような噛み合わないような。最後の別刑事が洗面器に囚われる意味もよくわからない。

監督のひとりよがりなのか、それともぼくの理解が不足しているのか、どちらかだね。

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武士の一分

2010年01月27日 19時20分21秒 | 邦画2006年

 ◇武士の一分(2006年 日本 121分)

 監督/山田洋次 音楽/冨田勲

 出演/木村拓哉 檀れい 笹野高史 坂東三津五郎 岡本信人 左時枝 桃井かおり 緒形拳

 

 ◇飯炊き女

 さすが山田洋次らしく非常に丁寧な撮り方で好感は持てる。

 でも、藩士の生き方がことさらカリカチュアされてしまっているような印象も受けた。まあ、これはぼくがそう感じたってだけのことで、一般的な感想じゃないのはわかってるけどね。

 そんなことより、不義が匂ってきた時の妻の臀部を舐めるようなカメラは巧みだ。

 なぜか、街の灯を思い出した。

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旅の贈りもの 0:00発

2009年06月03日 11時51分26秒 | 邦画2006年

 ◇旅の贈りもの 0:00発(2006年 日本 109分)

 監督/原田昌樹 音楽/浅倉大介

 出演/櫻井淳子 多岐川華子 大滝秀治 黒坂真美 石丸謙二郎 細川俊之 樫山文枝

 

 ◇懐かしい瑞々しさ

 懐かしの自主製作映画が35㎜にされた感じとでもいえばいいんだろうか。

 脚本も音楽も好感が持てるし、使用されている展望車は良なんだけど、なんだろね、全体的に印象が淡い気がするんだよね。まあ、なんといえばいいのかわからないんだけど、年季の入った職人映画ではないなって感じかしらね。

 あ、ぼくはこの映画は嫌いじゃないよ。ていうか、僕好みの内容と作りであることはまちがいないんだよね。

 でも、この映画に誰がお金を出したのかよくわからなくて、ほんと、よく成立したな~って気はする。だって、どうしたところで、これが大ヒットするのは難しいもんね。良質な作品をめざそうという気持ちもわかるんだけどね。

 あ、何遍もいうけど、ぼくはこの映画は僕好みの筋立てと主題なんだよね。

 いやまじな話、原田昌樹っていう監督はたぶんとっても優しい人だったんだろうなっておもうわ。そういう優しさはにじみ出てる気がするよ。

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ゆれる

2009年04月30日 23時50分35秒 | 邦画2006年

 ◎ゆれる(2006年 日本 119分)

 監督・原案・脚本/西川美和 音楽/カリフラワーズ

 出演/オダギリ・ジョー 香川照之 伊武雅刀 真木よう子 木村祐一 蟹江敬三 田口トモロヲ

 

 ◎淡々とした強烈さが好い

 ただ、観客を惹きつけるためとはいえ、弟ことオダギリ・ジョーの目撃証言が最初は曖昧なまま推移するのがやや違和感を覚えないでもない。兄こと香川照之の無実を目撃したのであれば明確に証言すればいいのに、なにかを隠しているという印象を観客に与えるのが少しばかりあざとさを感じるというか。

 でもまあ、そんなものはいいがかりのようなもので、善意的によくまとまってて、心理サスペンスの良作といってもいいくらいによくできてた。

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雨の町

2009年04月16日 01時39分11秒 | 邦画2006年

 ◇雨の町(2006年 日本 95分)

 監督・脚本/田中誠 音楽/遠藤浩二

 出演/和田聰宏 真木よう子 成海璃子 光石研 安田顕 上田耕一 絵沢萠子 草薙幸二郎

 

 ◇ありがちな小品ながら

 小学生の集団失踪の謎が山奥に巣食う魔獣によるものという、ひとつ間違えば拍子抜けしそうな物語を淡々と撮ってるのは好感が持てる。

 そうした淡々さが恐怖を煽ってゆくんだってことがわかってるんだな~って感じがするもんね。異形になった子を待ちわびる親が子を殺さざるを得ない描き方も、うん、なかなか共感できるところだし、撮影もオーソドックスながらかっちりしてるな~って気がするわ。

 とはいえ、物語そのものはなんといえばいいのか、やっぱりありがちな印象はぬぐえない。

 ただ、出だしは好いね~。ちょいとぞくぞくしたわ。

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立喰師列伝

2009年04月10日 12時43分31秒 | 邦画2006年

 ◎立喰師列伝(2006年 日本 62分)

 原作・脚本・監督/押井守 音楽・出演/川井憲次

 出演/吉祥寺怪人 兵藤まこ 石川光久 鈴木敏夫 樋口真嗣 山寺宏一 立木文彦

 

 ◎原作が読みたいとおもってから何年経ったのだろう?

 戦後まもない頃から順に登場する立喰師たちの伝記を独白してゆく事で、アナーキーとも暗部とも傾斜した拘りともいうべき歴史が語られてゆく訳だが、しかし、さにあらず、語られる内容は多分に吉本隆明的な共同幻想世界にほかならないのである。

 それは、おそらくはぼくらがこうした破天荒なアニメの第一世代であって、この作品に語られている世界観を多少なりとも感覚とか直感とかそうした言葉でもって捉えられることがかろうじてできる世代であるため、そうした共同幻想を抱くことがあるいはできるかもしれないという多少の期待を持てるからにほかならない。

 それにしても、この映画がぼくに与えた影響は大なるものがあって、中でも最大級のものが「月見そば」の作り方だ。そうか、卵は麺の上に乗せてからそこへ熱湯をかけるのだな、たしかにそうだ、そうでないと雲居にかかる満月の美しさを堪能できないものな、まさしくそのとおりだ、とおもったことだ。

 以来、ぼくは月見そばを食べる際、これをかたく厳守しているし、むろん、立ち食い蕎麦を注文したときなど、この鉄則を守っているかどうかをじっくりと観察することにしている。これについては大仰ではなく、それがあたかも生まれ落ちたときからの習慣ででもあるかのように淡々と実行し続けているのである。

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悪夢探偵

2009年04月08日 00時37分09秒 | 邦画2006年

 ◎悪夢探偵(2007年 日本 106分)

 監督・出演/塚本晋也 音楽/石川忠

 出演/松田龍平 hitomi 安藤政信 猪俣ユキ 原田芳雄 大杉漣 ふせえり

 

 ◎鮮烈なカッティング

 他人の夢に自らの意識を入れる事が出来てしまう男の苦悩と夢がここにある。

 また、それを媒介にして、心中しながらも自分だけで生きてしまう男の殺人による快楽もある。そうした事件というよりは、苦悩や快楽といった自意識を捜査しなければならなくなった女の物語でもある。自殺願望を潜在意識に持った女刑事の危うく棄て鉢な心模様ときわめて映画的な映像が融合した佳作なのではないかと、そんなことをおもった。

 2が観たいぞ。

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