△ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃(1969年 日本 70分)
英題 All Monsters Attack
staff 監督/本多猪四郎 脚本/関沢新一 撮影/富岡素敬
美術/北猛夫 特技監修/円谷英二 音楽/宮内國郎
主題歌/佐々木梨里、東京ちびっこ合唱団
『怪獣マーチ』作詞:関沢新一、作曲:叶弦大、編曲:小杉仁三
雷門ケン坊『怪獣ゲーム』作詞:坂口宗一郎、作曲・編曲:渡辺岳夫
cast 佐原健二 中真千子 矢崎知紀 天本英世 田島義文 堺左千夫 鈴木和夫 沢村いき雄
△特撮とボク、その42
あ、42本目がこの作品になろうとは、語呂までぴったりで悲しくなる。
当時、子供の楽しみなんてものは映画か動物園か遊園地くらいしかなくて、
ことにぼくの住んでた田舎は娯楽なんてものはほかになかった。
だから、
どれだけ映画界が斜陽になっても、ぼくらは怪獣映画が封切られるたび、
今度こそおもしろいにちがいないと、祈るような気持ちで映画館へ向かったものだ。
でも、その数年間、東宝にも大映にもその祈りは打ち砕かれた。
邦画界の斜陽の波は凄まじいものがあって、
日活も大映も青息吐息で、東宝と松竹はなんとか継続していたものの、
怪獣映画については、どれもこれもきわめて残念な代物になってた。
この作品も例外じゃなく、なにより残念だったのが新怪獣ガバラだった。
名前もそうだけど、顔がそこらのぶさいくなオヤジみたいでどうにもやるせなかった。
当時、映画はどんどんだめになって、怪獣映画もそれに含まれるんだけど、
もうひとつ、衰退の一途をたどっていたものがある。
月刊の漫画雑誌だ。
次々に廃刊になって、
週刊漫画雑誌として創刊されるものもあれば、他の週刊誌に吸収されるものもあった。
この作品が前売り券を売り始めたとき、景品につけられた下敷きがあったんだけど、
それが『ぼくらマガジン』の下敷きで、
これは『ぼくら』が廃刊になって週刊漫画雑誌になった頃の宣材だったんだろう。
まあ、それはともかく、
この頃、ゴジラもガメラも極端に世界は小さくなった。
物語はわずか半日や数日で片の付くようなホームドラマみたいなものになって、
もともとゴジラとは切っても離れないはずだった原子爆弾への怒りみたいな、
そういった肩を張ったものは鳴りをひそめるようになってた。
この作品も、現実逃避していた苛められっ子の少年が発奮するという、
ただそれだけの30分ドラマのような日常のほんのひとコマに怪獣が絡んでいるだけの、
観ているだけでつらくなるような内容だった。
とはいえ、ぼくはそれでもちゃんと観てたわけだから、
なんとなく当時のぼくを褒めてやりたいようなそんな気までする。