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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

ゼロの焦点(1961)

2008年05月31日 14時46分23秒 | 邦画1961~1970年

 ☆ゼロの焦点(1961年 日本 95分)

 監督/野村芳太郎 音楽/芥川也寸志

 出演/久我美子 高千穂ひづる 有馬稲子 南原宏治 西村晃 加藤嘉 十朱久雄 沢村貞子 穂積隆信

 

 ☆ヤセの断崖

 いやもう、実に大したもので、橋本脚本の真骨頂が堪能できた。

 過去『羅生門』『生きる』と続けられた回想の鬼の構成は、やがて「砂の器」に結晶するまで綴られていくんだけど、過去を隠すための殺人という主題もまたそうだ。

 ちなみにこの主題は、当時はなんだか流行りめいたものがあって、松本清張だけじゃなくて、水上勉や森村誠一もそうした世界を書いた。そう『飢餓海峡』や『人間の証明』なんかがそうだ。

 そういうところを見ていくと、この傑作は原点のひとつになるような気もしてくる。

 まあ、このあと『ゼロの焦点』は何度か映像化されるんだけど、この作品よりおもしろい『ゼロの焦点』に出会ったことがない。

 ちなみに助監督だった山田洋次は脚本にも参加しているから、そうしたことからいえば『砂の器』の習作といっていいんだろうね。

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風の視線

2008年05月30日 18時14分58秒 | 邦画1961~1970年

 △風の視線(1963年 日本 105分)

 監督/川頭義郎 音楽/木下忠司

 出演/新珠三千代 岩下志麻 佐田啓二 山内明 奈良岡朋子 滝田裕介 加藤嘉 松本清張

 

 △どろどろだらだらじとじと……。

 新珠三千代と山内明の夫婦がいるんだけど、夫の山内明には若い愛人の岩下志麻がいて、妻の新珠三千代は佐田啓二と不倫し、自分に言い寄ってくる園井啓介に、夫の愛人だった岩下志麻を見合いさせて結婚させ、夫の山内明は密輸して投獄され、愛人の岩下志麻は佐田啓二との愛に目覚め、ようやく離婚できた新珠三千代は、左遷された佐田啓二を追って……。

 ああ、もう、勘弁してちょうだいな。

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人生劇場 飛車角

2008年05月26日 18時44分01秒 | 邦画1961~1970年

 ◇人生劇場 飛車角(1963年 日本 95分)

 監督/沢島忠 音楽/佐藤勝

 出演/鶴田浩二 佐久間良子 高倉健 月形龍之介 梅宮辰夫 加藤嘉 村田英雄 水島道太郎

 

 ◇任侠路線、始まる

 沢島忠の代表シリーズらしい。この監督は、とにかく走って走って走ってっていう絵が好きだったようで、やっぱりこのシャシンも馬が走る。

 辰っぁんにはびっくりだけど、長回しの愁嘆場はなかなか見せる。女を犯し、兄ぃに土下座し、血に染まって果てる健さんも珍しいし、ロケもなかなか良だ。

 タイトルバックも冴えてる。佐藤勝らしからぬ音楽だけどね。

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日本侠客伝 関東篇

2008年05月23日 14時41分50秒 | 邦画1961~1970年

 △日本侠客伝 関東篇(1965年 日本 94分)

 監督/マキノ雅弘 音楽/齋藤一郎

 出演/高倉健 藤純子 南田洋子 鶴田浩二 長門裕之 北島三郎 丹波哲郎 遠藤辰雄 山城新伍 大木実

 

 △築地市場の揉め事を白刃で?

 いやまあ、なんと強引な筋立てなことか。

 なんというか、スタッフもそうだったんだおうけど、南田洋子は若く藤純子はまだ乙女、高倉健も丹波さんも軽い兄ちゃん。みんなが若くて、熱気だけで突っ走ってる観が、なんとも濃く漂ってる。でも、鶴田浩二だけおんなじというのは凄いよね。

 ただ、音楽はいささかちょっとまじかよみたいな感じではあるかしら。

 オープンとセットだけで作ってしまう時代だったんだろうけど、その分、いかにも往時の作品の匂いは濃いかな~。

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つる 鶴

2008年05月19日 17時18分55秒 | 邦画1981~1990年

 ◇つる 鶴(1988年 日本 93分)

 監督/市川崑 音楽/谷川賢作 ナレーター/石坂浩二

 出演/吉永小百合 野田秀樹 樹木希林 川谷拓三 横山道代 菅原文太 岸田今日子 常田富士男

 

 ◇追悼市川崑その8

 良くも悪くも御伽話。

『竹取物語』や『火の鳥』もそうだけど、市川崑という人は、幻想的な物語は好きだったんだろうか?

 舞台を彷彿させる演出中、川谷拓三は晩年の代表作といってもいい演技。

 鶴をCGで撮れなかったのは、まだまだそういう時代だったんだろうけど、素朴感はあるものの、興醒めの要因のひとつでもあるかと。

 吉永さんの鶴を意識した演技は、なんというか、一所懸命さは感じられる。

 まあ、山本安英の舞台を観たことがないからなんともいえないけど。

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愛ふたたび

2008年05月17日 19時41分47秒 | 邦画1971~1980年

 ◇愛ふたたび(1971年 日本 95分)

 監督/市川崑 音楽/馬飼野俊一

 出演/浅丘ルリ子 ルノー・ベルレー グラシエラ・ロペス・コロンブレス 桃井かおり

 

 ◇追悼市川崑その7

 音楽が、どうしてもぼくには理解できない。

 ニコの名前を呼んで応援する内容の主題歌とその編曲の乱用は、市川崑とはおもえない。

 とはいえ、カット割とタイトルの斬新さはさすがに市川崑だ。唸る。

 あ、それと、朝丘ルリ子がゴーグルをつけてないのはなんでなんだろう。付けられなかったんだろうか。だとしたら、演出は辛いよね。まあ、市川崑もこういう時代があったとおもえば、いろんなことには目をつむらなくちゃいけないよね、撮る側も観る側も。

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浮草日記

2008年05月16日 15時41分54秒 | 邦画1951~1960年

 ◇浮草日記(1955年 日本 109分)

 監督/山本薩夫 音楽/大木正夫

 出演/津島恵子 菅原謙二 東野英治郎 花沢徳衛 中谷一郎 小沢昭一 仲代達矢 岩崎加根子

 

 ◇真山美保『市川馬五郎一座顛末記』

 江幡高志に髪がある!

 ぼくの知ってるかぎり、江幡さんに髪の毛があるなんて、一度も見たことなかったから、いやまあ、ちょっと驚いたけど、それだけ若い頃だってことだよね。

 でも、仲代達矢の端役ばかりか、懐かしい顔の揃った映画で、

「え!あの役者がこの…」

 と、仰天できる。

 一座が移動をかさねて炭坑町へ場面が転じ、涙ながらの客寄せや組合をアカと罵りながらも打解てゆく件りは、さすがに山本薩夫。

 瑞々しい映像ではあるんだけど、ただまあ、昔の映画だから。

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近世名勝負物語 花の講道館

2008年05月01日 14時57分17秒 | 邦画1951~1960年

 ◇近世名勝負物語 花の講道館(1963年 大映 84分)

 監督/森一生 音楽/大久保徳次郎

 出演/長谷川一夫 山本富士子 菅井一郎 田崎潤 木暮実千代

 

 ◇山本富士子デビュー

 森一生の手堅い演出で、この監督はもっと認められていい。

 田崎潤は、新東宝の役者さんだったんだね。長谷川一夫のお腹の出た脂肪質の肉体は柔道をするにはちょっとばかり減滅だが、倉敷らしき運河や機関車などの映像は貴重だとおもうな。

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