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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

ハングマン

2024年12月20日 19時16分28秒 | 洋画2018年

 ハングマン(Hangman)

 

 アル・パチーノの愛車ビュイック・リヴィエラがカッコいい。音楽もありきたりだけど不気味さが好い。

 連続殺人だとおもわせながら、実はアル・パチーノの過去の事件が絡んでるのが徐々に明らかにはなるものの、SMのレズビアンの片割れが殺されたり、教会で十字架に磔にされて豚の皮を被せられて窒息死させられたりと、あれこれ、派手なところに惑わされる。

 つまり、犯人に乗せられるわけだね。

 画面の中、道路や壁に時刻が表示されてるのはなぜかとおもってたら、そうか、犯人は毎晩11時に殺しをしてるから、その前後の時間だけ観客に報せてくれてるわけかってなことはわかるんだけど、これ、過去の事件とおなじ時刻だとかいう因縁が欲しかったな。

 途中までは、アル・パチーノとカール・アーバンとブリタニー・スノウの3人だけが動いてるから、このうちの誰かが犯人なのかなともおもったりするんだけどね。

 ただ、このハングマン単語ゲームは、英米では誰でも知ってる言葉遊びだからおもしろいのかもしれないけど、まるでなじみのない日本人としては、とまどうぞ。

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クリード 炎の宿敵

2024年08月28日 19時17分06秒 | 洋画2018年

 ◇クリード 炎の宿敵(Creed II)

 

 ウクライナ、キエフ。おお、なるほど、ドラゴの息子が相手か。しかし、ドラゴは複雑な人生を背負っちゃったなあ。そうか、用無しの烙印をおされてモスクワから放逐されてからはウクライナにいたのか。それで、モスクワに凱旋するのも束の間…。きびしいな、これは。

 問題はドラゴの息子の設定で、ニールセンの息子でもあるわけだから、モスクワのエリートとして君臨しててもいいわけで、ドルフ・ラングレンを復讐の鬼にするならスタローンともうすこしからませた方がよくないか?おたがい息子と相容れない仲なんだし。

 

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ある女優の不在

2023年10月30日 14時32分29秒 | 洋画2018年

 ◇ある女優の不在(Se rokh)

 

 ジャファル・パナヒっぽい作品で、それはそれでいいんだけど、ベーナズ・ジャファリが高畑淳子に見えて仕方がない。

 しょっぱなの告白首吊り動画のあたりはとってもおもしろい。けど、邦題が良くないなあ。女優の不在というのはいなくなられた側の視点でこれほその女優の視点だから。で、視点は監督に徹してる。ところが、おもしろいのは最初だけであとは単調だった。なんかドキュメンタリーの皮をかぶってる分、なんともどっちつかずの物語で、最後の山の稜線をずっと歩いて行くとそれと入れ違いにトラックがやってくるのは象徴だとしても長すぎる。

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イコライザー2

2023年10月27日 15時17分33秒 | 洋画2018年

 ◇イコライザー2(The Equalizer 2)

 

 ブリュッセルの本題に入るまでが、長過ぎる。

 伏線に散らばらせて張り巡らせる分、めんどくさい。にもかかわらずかつての相棒が局をうらぎって裏家業に専念していたのがばれかけたせいで次々に証人を手にかけ、あろうことかデンゼル・ワシントンの唯一の旧い知り合いの女性メリッサ・レオにまで手をかけてしまうのが運のつきっていう展開はどうよ、いまひとつだろ。

 しかし、台風の中の銃撃戦はおもしろかった。

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ガール・イン・ザ・ミラー

2023年03月31日 19時02分52秒 | 洋画2018年

 ◇ガール・イン・ザ・ミラー(Look Away)

 

 インディア・アイズリーの綺麗なこと。さすが、オリビア・ハッセーの娘だわ。

 ていうだけじゃなく、演技も上手だし、このメークは凄いな。性格っていうか性質っていうか、とにかく鏡の中に映っているもうひとりの自分に憑依することでしか生きてこられなかった強烈な個性で罪悪感を封じ込めて人殺しをこなしてしまえる少女と、親のいいなりに生きることしかできない臆病でいじめられることに堪えるしかない少女のふたりを、みごとに分けてる。これはたいしたものだっておもうわ。

 橘薫の『鏡の中の私』に酷似してるのは仕方ないかもしれないっておもうしかないか。

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7月22日

2023年03月08日 00時39分34秒 | 洋画2018年

 ◎7月22日(22 July)

 

 ぼくには「22 July」はバンコクにあるジュライホテルのあるロータリなんだけど、これは2011年にノルウェーで起きた77人殺しのテロ事件の顛末と裁判だ。ウトヤ島の合宿地が襲撃されたことで被害がとてつもなく広がったんだけど、でも、これほどの大事件が日本ではさほど報道されなかった。そんな気がするんだけど、ちがってるんだろうか?

 まあ、それはそれとして、ポール・グリーングラス、さすがに前半のテロの描き方は迫力がある。でも、主要な後半部分、つまり、左目を奪われ、びっこをよぎなくさせられている兄ヨン・オイガーデンが、裁判で、銃撃犯アンデルシュ・ダニエルセン・リーを糾弾するんだけれども、つまりは、勇敢というものについての映画だね。

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キーパー ある兵士の奇跡

2023年03月01日 00時32分38秒 | 洋画2018年

 ◎キーパー ある兵士の奇跡(The Keeper)

 

 ドイツ兵の捕虜だったバート・トラウトマンがマンチェスター・シティのゴール・キーパーになっていく物語なんだけど、サッカーの知識が皆無でもふつうに観られる。事実にどこまで合わせてるのかってことはあんまり興味がないし、それをいいだしたらせっかく物語として昇華させてるものを腰砕けにさせちゃう。

 バートを演じたダフィット・クロスは『愛をよむひと』からちょうど10年経ってて、いやまあ大人になったこと。妻フレイア・メイヴァーはとっても好感が持てたし、父親ジョン・ヘンショウも好演してた。マンチェスターの監督を演じたゲイリー・ルイスも好い味を出してたし。

 たしかに感傷的な流れではあるけれど、物語の緩急がよく、後半のマンチェスター時代になってからは往年のフィルムが挿入されているせいか事実の重みがぐんと加わってる。

 かつて戦争中に助けることのできなかったフランスの少年と重なるトラウマの苦しみと、それを頸椎の怪我で入院しているときに電話で妻に告げようとした矢先、ひとりでアイスクリームを買いに行った5歳の息子が車に撥ねられて死亡するっていうのを重ねているところはまあ脚本上の都合ではあるんだけれど、感情を移入させるには充分なものがあったんじゃないかな。

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しあわせの百貨店へようこそ

2023年02月25日 01時29分23秒 | 洋画2018年

 ◎しあわせの百貨店へようこそ(Ladies in Black)

 

 ブルース・ベレスフォードは『ドライビング Miss デイジー』でも人権を語ったように、ここでも幸福の権利を点描している。セラヴィ、それも人生。というのは、映画の中でジュリア・オーモンドが、アンガーリー・ライスに語る台詞だが、誰もが幸せになる権利を持っていて、いろんな人生があるけれども小さな幸せを見つけてそれを連鎖させていくことが幸せを大きくさせる方法なのかもしれないとおもわせてくれる。

 しかし、ラストがよろしくない。

 憧れのドレスはある男が娘のために買いに来てが売約済みだと断わってみんなが協力してお祝いにしてくれたというのではなくて、両親が内緒で買いに来ないとあかんのだ、それでそのときレズリーとおもわず口走ってしまったのを耳にしたマグダがカーライトに交渉して値下げしてもらったことにせなあかんのだよ。

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ピータールー マンチェスターの悲劇

2022年12月08日 00時22分56秒 | 洋画2018年

 ◇ピータールー マンチェスターの悲劇(Peterloo)

 

 なんか新宿西口広場で警官隊や機動隊に追われたフォーク・ゲリラと参加者たちみたいだ。

 マイク・リーの演出がそんなに珍しいのかどうかはわからなかったけど、まあ、冗漫だったなあ。ただ、絵づくりはたいしたもので、当時の雰囲気は濃厚に伝わってくる。下着まで当時のものにしてるような現実味があるし、すべてのカットが当時の絵かあるいは時間跳躍して撮影してきたんじゃないかって気になっちゃう。まあ、種明かしはあったものの、それにしてもパインウッドの絵づくりの技術はたいしたもんだな。

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嵐の中で

2022年12月07日 23時59分22秒 | 洋画2018年

 ◇嵐の中で(Mientras dure la tormenta)

 

 アドリアーナ・ウガルテのための映画みたいだけど、とにかく、どうして嵐の中で25年前と通じるんだろう?磁気嵐みたいなものが覆って、そこで時空をゆがませて25年前の電波をとらえて交叉させちゃうっていうんだけど、なんで常に25年前なのかはわからない。理由が見えないまま、物語は進んじゃうんだけど、まあ、なんとなく面白かったからいいか。

 ただ、自分と25年前の少年が繋がってしまったことで、その少年が事故にあわず、つまり生きちゃったために事件がそのまま未解決なまま続行し、やがて巡り合うべき青年っていうか、刑事になって現れるんだけど、これはなんとなく想像がつくね。最後までどうやって処理するんだろうっておもってたのは、娘のことで、少年が生きたことで別なパラレルワールドに入り込んじゃうんだけど、そこでは娘が生まれてない。てことは、どんだけ事件が解決しようとも、かぎりなく最初の設定に近いところへ戻らないと娘が存在しているところへは戻れない。これが味噌で、刑事をとるか、娘をとるか、でもその娘の父親は自分を裏切って看護婦とずっとつきあってるっていう設定になってて、どこで妥協できるのかって話になってくる。なるほど、上手だね。

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移動都市 モータル・エンジン

2022年11月18日 21時17分06秒 | 洋画2018年

 △移動都市 モータル・エンジン(Mortal Engines)

 

 まあ、これはないだろうってことをいえば、たとえば、この原作の『移動都市』が上梓されたのは2001年のことで、この映画がパクったんじゃないかっていう『ハウルの動く城』の原作の『魔法使いハウルと火の悪魔』が上梓されたのは1986年のことらしい。ところが、イギリスでは都市が移動するっていう発想はかなり前から存在していたようで、そういうあたりから類推すると、もともと似たような発想の世界が、ふたつの原作になって上梓されたものの、とてつもない絵面のアニメーションが世に出てしまったせいで、この凄まじいCGの映画が製作されてもやっぱり「ハウルじゃん」っていう批難は出てきてしまうのは仕方がない。

 そうなるともはや日本の観客たちは止まらなくなり「ラピュタもじゃん」ってことになって、もはや廃墟みたいな中世まがいの建物をみればラピュタって話になる。おいおい待てよ、そもそもラピュタの発想のもとはどこだよっていいたくなるけど、おかまいなしだ。なんだかね。

 ま、そんなことは承知で制作されたんだろうけど、なんにしも不幸な映画だね。

 実際、ハウルじゃん。

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ファースト・マン

2022年11月17日 21時52分57秒 | 洋画2018年

 ◇ファースト・マン(First Man)

 

 絵面が凄い。当時のサターンロケットの画像を修正したカットは効果的に挟み込まれてるものの、ロケットが振動する画面の揺れはとてもじゃないけどCGじゃできないだろう。どうやらスクリーンプロセスの最新型を使って、多くのカットを撮ったらしいんだけど、いやまじ、CGは使いたくないんだよねっていう監督デイミアン・チャゼル、ええ感じだぜ。でもまあ、この人はほんとうに音楽が好きなんだね。なんか宇宙の場面とか観てるとキューブリックみたいな気もした。

 ニール・アームストロング役のライアン・ゴズリングだけど、チェゼルの好みなのかもしれないんだけど、どうにも寡黙だな。ほんとうのアームストロングがどんな人間だったかわからないけど、この寡黙さが全体の雰囲気になってる。まあ、妻役のクレア・フォイもちょっと陰気で生真面目な感じだし、全体の調和はとれてる気がしたわ。

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再会の夏

2022年10月01日 21時38分51秒 | 洋画2018年

 ◇再会の夏(Le collier rouge)

 

 ほとんど意味のない邦題で、原題の直訳は「赤い首輪」だ。

 だからといって、奥さんに首輪をつけておけばよかったと間男に嵌められたと勘違いした焼き餅焼きの男の物語ではない。映画のつくりがどうしても投獄されたニコラ・デュボシェルと妻のソフィー・ベルベークの物語に偏るからそう感じるんだけど、そういうことではない。

 レジオン・ド・ヌール勲章まで貰った男が、なんで祝賀の席の挨拶でこの勲章を犬の首に掛けちゃうのかってことで、それで軍法会議にまでかけられて故郷へ移送されて投獄されているのはなぜかって物語だ。だから、赤い首輪なわけで、この首輪つまり勲章を棄ててまでして抗議したかった愚かな塹壕戦とはなんだったのかってことを調べようとする軍判事フランソワ・クリュゼの物語なんだってことをいわないといけないのに、映画の宣伝はまったくとちくるったように、フランス版の忠犬ハチ公物語みたいなことをいう。信じられない。

 忠犬じゃないから。

 あるじニコラ・デュボシェルのことが好きで仕方なくて戦場にまでついてきてしまった黒犬の敵愾心を募らせてしまった人間どもがひとまずの休戦を喜んで握手しようとしたときに、いきなりこの黒犬が飛びかかって、それでまたいっぺんに人間の猛烈な憎しみが火を噴いて戦って、幸か不幸か勝ってしまったために、勲章をもらう羽目になったのがニコラ・デュボシェルなわけで、かれはそうしたなんにも調べずにいる上のあほ連中に対して、勲章をもらうんだったらいきなり不意打ちを喰らわせたこの黒犬だと皮肉な主張をして犬の首に勲章をかけたわけで、それをフランソワ・クリュゼも見抜かないといけないし、またそれを調書に取ってそこでようやく釈放しなければならないはずなのに、もう、作り手のジャン・ベッケルも上手に描き切れてないし、それに輪をかけて宣伝が好い加減で、まったく映画がかわいそうだな。

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マント―

2022年09月25日 21時44分13秒 | 洋画2018年

 ◎マント―(Manto)

 

 ナンディタ・ダース監督によるサーダット・ハサン・マントーの伝記映画なんだけど、かなり出来がいい。ぼくはそう感じた。もちろん、ぼくはヒンディー語もウルドゥー語も英語もわからないから、この脚本家にして作家の世界をよく理解できるわけじゃないんだけど、でも、1948年のインド・パキスタン分離独立の情景がかなり深く迫ってくるような気はした。

 マントーを演じたナワーズッディーン・シッディーキーも好かったしね。

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私は確信する

2022年09月23日 00時06分38秒 | 洋画2018年

 ◇私は確信する(Une intime conviction)

 

 姉と双子の弟という子供を残して失踪した妻を殺したとして逮捕されたもののひとまず無罪になった大学教授ジャック・ヴィギエに対して検察が控訴したこのジャック・ヴィギエ事件は、フランスではかなり話題になったらしいんだけど、結局のところ、妻の死体も見つからず、愛人が関与しててなんらかの謎を抱えてるってことしかわからないまま現在に至ってるみたいだ。でも、年間4万人いる失踪事件で1万人は居所がわからないってのが現状らしく、この事件もそうしたもののひとつなんだけど、妙に騒がれちゃったんだね。

 その教授を演じてるのがローラン・リュカ、弁護士がオリヴィエ・グルメ、娘アルマンド・ブーランジェが家庭教師をしている子の母親がマリナ・フォイスなんだけど、彼女だけは創作みたいで、この設定がいまひとつよくない。最初の裁判で陪審員をしたことで、無罪を信じて弁護士を雇い、証拠集めに奔走するということになってるんだけど、シェフの仕事をなかば犠牲にしたり、恋人や親子の関係までぎくしゃくさせて、なんでそこまで情熱をかたむけるのか、そこのところがちゃんと描けてないんだよね。

 アントワーヌ・ランボーの演出も点描が多くて、テンポはいいんだけど、肝心のものはなんなのかっていう焦点がうまく定まってこない。

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