Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

2024年01月05日 22時35分03秒 | 洋画2007年

 ◎ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(Harry Potter And The Order Of The Phoenix)

 

 なんか、幻魔大戦みたいになってきたなあ。

 善と悪、神と魔という陰陽の対決は永劫に変わらない物語なんだろうけど、少年の日々を卒業すれば、当たり前のことながら、戦いは真剣かつ深刻なものになってくる。内容が、軍団という戦闘集団の編成によって堅苦しく厳しくなってきて、つまり、物々しさが倍増してきてる分、楽しめるかどうかが微妙なものになってきた。これまでのファンタジー好きなファンはどうおもってるんだろう?

(以上、2011-02-23 16:29:55)

 

 シリーズの第2部の幕開きだとおもうんだけどね。とにかく、ハードな世界になってきた。でも、封切りの頃、ぼくはこの作品を見て、シリーズを見るのをやめた。ダニエル・ラドクリフの相手役っていうか、やがて恋人同士になるんだろうなあって確信していたエマ・ワトソンがそうじゃなかった…っていう衝撃のせいだし、もうひとつ、いきなり登場してきたケイティ・リュウ・ロングが初恋の相手とかって展開になってきたせいだ。裏切られた感があって、それほどこのシリーズに思い込みがあったわけじゃなかったんだけど、それでも僕の中の調和していた予測が破壊された衝撃は大きかった。

 筋立てよりも、そんなことが気になるなんて、信じられない話なんだけど、もうひとつはやはりダークさだろうなあ。

 デヴィッド・イェーツはこのあと最後まで演出を担当するんだけど、つまり、ハリー・ポッターの後半の監督としてただひとりの人物になるわけで、もはや、かれの世界観になってるのかもしれない。圧縮された物語はそれなりの緊張感があったけど、なんだか荒削りな印象と性的な雰囲気が強くなってて、それがこれまでのファンタジー感を損なってるような気もするなあ。

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大いなる陰謀

2023年12月18日 23時03分45秒 | 洋画2007年

 ◇大いなる陰謀(Lions for Lambs)

 

 なるほど、原題の意味は第一次世界大戦の逸話なのか。ソンム川の攻防で、ドイツの将校がイギリス軍に対して「無能な指揮官つまり羊に率いられる勇敢な兵士つまりライオン」と評したことなんだそうで、なるほど、トム・クルーズの売名行為に利用されるだけの哀れなマイケル・ペーニャとデレク・ルークの物語なわけね。それを、敏腕記者メリル・ストリーブが感づいていく一方で、そのふたりをかつて教えた大学教授ロバート・レッドフォードが出来がいいのに投げやりな学生アンドリュー・ガーフィールドに弁舌するっていう構図なんだけど、いやまじ失敗なんじゃないか?

 だって、トム・クルーズもメリル・ストリープもロバート・レッドフォードもアフガニスタンの高地にいないしね。

 戦闘しないで討論だけしてる。3人ともいらんな。

 展開としてはわからないではないけれども、まだるこしいし、レッドフォードが監督してる分、自分で演説だけしててもおんなじなんじゃないかな。

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ジェイン・オースティン 秘められた恋

2023年03月25日 15時30分51秒 | 洋画2007年

 ◎ジェイン・オースティン 秘められた恋(Becoming Jane)

 

 邦題の品の無さには閉口するけど、なんだか『シェルブールの雨傘』のラストをおもいだした。ジェインっていう名前がBecomingするわけで、いや、こういうのをはずして題名にするなよ。つか、これが元だったのかもしれないね。

 まあ、アン・ハサウェイのほかは、ジェームズ・マカヴォイやジェームズ・クロムウェルやジュリー・ウォルターズがなんとも英国風の濃さを見せてくれるし、19世紀の大英帝国になってた。

 なんといっても、お見事、マギー・スミス。高慢な貴族はみごとで、ほんと、上手だ。

 また駆け落ち女の心がわりだっていう馬車の御者たちの台詞もいい。こういう情景が当時はいたるところで見受けられたってことで、恋のなせる情景なんだね。みじめなイモ掘りといわれる夫はつらいが、愛はそりゃあった方がいいさ。けどお金はなくちゃ生きていけないのよ。という母は現実に耐えかねてるわけで、こういうのはつらいね。人の心をもっとも打ち砕くのは貧しさだぞという父のことばも真実やね。

 カメラがうまいな~。演出と一体化しとるわ。干潟の引きの画面はため息でるわ。けどなんかこう恋に現実逃避してるととんだ落とし穴が待ってるぞ的な不安をずうっと感じさせるね。ま、そんな演出なんだな。

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プロテージ 偽りの絆

2023年01月07日 23時44分55秒 | 洋画2007年

 △プロテージ 偽りの絆(門徒 Protege)

 

 リアルさを求めるかわりにエンタメ度が低くなったのか、アンディ・ラウの良さが削られた。

 また観ることはないだろうなあ。

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ジェシー・ジェームズの暗殺

2022年10月26日 00時21分14秒 | 洋画2007年

 ◇ジェシー・ジェームズの暗殺(The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford)

 

 なるほど、これは主人公は、ブラッド・ピット演じるジェシー・ジェームズに憧れて追いかけて失望して絶望的な射殺に到るケイシー・アフレックの物語なのね。ま、いずれにせよ、ふたりの押し殺した演技はなかなか見事なもので、凶器を孕んだケイシー・アフレックは観てて辛くなるくらい上手い。

 ジェシー・ジェームズは西部の無法者で、ギャングの集団をひきいてはもう手の付けられない暴れようだったんだけど、でもかれを讃える連中は後をたたず、その中にケイシー・アフレック演じるロバート・フォードもいて、これが頭の悪い男で、ジェシー・ジェームズに憧れるあまり、自分の理想をおしつけ、そして勝手に失望して殺人にいたった事件を、別な角度から観なおそうっていうのはまあわかるし、成功してる。

 とにかく、サム・シェパードだの、メアリー=ルイーズ・パーカーだの、ジェレミ・レナーだの、役者が揃ってて、画面はやけに落ち着いている。

 

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つぐない

2022年07月11日 00時17分18秒 | 洋画2007年

 ☆つぐない(Atonement)

 

 ジョー・ライトの手堅い演出で、淡い初恋を大好きだった姉キーラ・ナイトレイと自分の憧れの対象だった若き使用人ジェームズ・マカヴォイの情事によってずたずたにひきさかれた少女シアーシャ・ローナンの心情と、それをひきずった初老の作家バネッサ・レッドグレーブの贖罪の気持ちとが上手に描かれてる。ま、強姦した犯人役が若き日のベネディクト・カンバーバッチってのが驚きは驚きなんだけどね。

 ただ、なんとも文芸調の物語に仕上がってる感じだな~と、のんびりして観てたら、うわ、圧巻の場面が用意されてた。

 ダンケルク、5分を超えるワンカットだ。

 凄い。

 

 

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JUNO ジュノ

2022年02月20日 00時13分40秒 | 洋画2007年

 ◎JUNO ジュノ(JUNO)

 

 毒はあるもののほのぼのとした高校生の妊娠出産物語だったわ。

 しかしこれはかなりおもしろかったぞ。

 高校の女友達とセックスしてしまった気弱な同級生。悪態つきながらも理解ある継母。優しく落ち着いたエアコン販売元軍人の父親。マンガとスプラッターとロックの好きな養子縁組先のオタク旦那と生真面目で美人で優しすぎるつもらない妻。これかビミョーな感じに展開してゆく。上手い。

 ジョン・マルコビッチが製作になってる、へ~。

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マリオネット・ゲーム

2022年01月07日 00時24分54秒 | 洋画2007年

 ◇マリオネット・ゲーム

 

 嫁クローデット・ミンクを寝とられた夫ピアース・ブロスナンが、嫁の不倫相手ジェラルド・バトラーの娘エマ・カーワンディをさらって殺すと脅し、ジェラルド・バトラーとその妻マリア・ベロを連れ回して因果を含め、とどのつまりそいつの手でマリア・ベロを殺させようとする話なんだけど、もちろん、出だしはそんな裏話はわからない。

 でも、なんか個人的に怨みっぽいな~ていうのと、なんで夫婦そろって行動させるんだろうっておもう内に、あれ、この妻が裏で糸を引いてないか?てな疑問が浮かんでくる。

 なるほど、ちょっとずつ小出しにしてくるところは、巧く作ってるね。でも、浮気の報復とか、あまりにもちゃちい動機だな。

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マンイーター

2021年09月14日 15時41分29秒 | 洋画2007年
◇マンイーター

要するに、人喰い鰐の話なんだけど、なんで『人食いワニの入り江』とかって題名じゃないんだろって、当たり前か。

けどおもったよりも拾い物で、グレッグ・マクリーンはどうも猟奇的な活劇を書いたり演出したりするのが好きみたいだね。

まあ、オーストラリアのカカドゥ国立公園にこんな巨大なイリエワニが生息してて、しかも獲物を溜めておく巣になるような大きなワニがいるかどうかは別にして、ラダ・ミッチェルが引きずり込まれている洞窟の巣に、マイケル・ヴァルタンがさ迷い込んでからの対決はまあまあ見せるし、いやまじ、ワニは唸り声はちょっと興醒めするけど、絵的にはけっこう満足できた。

役者もサム・ワーシントンだのミア・ワシコウスカだのも出てたりして、けっこう揃えてるし。

あ、人喰い鰐って、killer Klockていうんだあ。

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サンシャイン 2057

2020年04月26日 20時39分09秒 | 洋画2007年

 ◇サンシャイン 2057(2007年 イギリス 107分)

 原題/Sunshine

 監督/ダニー・ボイル 音楽/ジョン・マーフィ アンダーワールド

 出演/真田広之 キリアン・マーフィ ローズ・バーン ミシェル・ヨー マーク・ストロング

 

 ◇マンハッタン島なみの核爆弾

 ずいぶんとキャストを揃えてる気がするけど、どうなんだろ?

 知的ながらも甘ったるいあどけなさが魅力のローズハーンは見ていて気持ちいいけど、真田広之の場合、台詞をとちらないかとおもわず心配になっちゃうのは身内意識があるからかもしれないね。

 けど、途中、警報がなる。ベネディクト・ウォンが針路変更の操作をしたとき、いろんな計算と入力で頭がいっぱいになり、うっかり船を太陽熱から守るための1.1度シールドの設定変更をするのを忘れていたためなんだけど、ちょっと待てくれ、船を守るためのいちばん大切な設定について搭載されてるコンピューターはなんの注意もしないのかって突っ込みをいれたくなるわ。でも、まあいいか。

 しかし、映像はなかなか凄い。

 要するに『エイリアン』なんだけど、怪物のかわりになるのがイカルス1号のキャプテン、マーク・ストロング。ま、わからないじゃないよね。孤独な日々で精神がおかしくなったところへなんらかの作用によって悲劇が起こるわけで、まあなんにしてもマーク・ストロングはこういう役どころが納得できちゃう。

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ONCE ダブリンの街角で

2018年01月24日 01時16分49秒 | 洋画2007年

 ◇ONCE ダブリンの街角で(2007年 アイルランド 87分)

 原題/ONCE

 監督・脚本/ジョン・カーニー

 音楽・主演/ザ・スウェル・シーズン(グレン・ハンサード マルケタ・イルグロヴァ)

 出演/マルチェラ・プランケット ダヌシュ・クトレストヴァ ヒュー・ウォルシュ

 

 ◇Miluju tebe

 グレン・ハンサードがマルケタ・イルグロヴァに対して「別居してる旦那を今でも愛しているの?」と訊いたとき、マルケタはチェコ語で「Miluju tebe」で答える。わたしが愛しているのはあなただけよ。エレジーだね。

 なんかまあ話は単純で、別れた恋人マルチェラ・プランケットの面影を歌に託して街角でギター片手に流して歩いている男グレン・ハンサードが、娘と母親ダヌシュ・クトレストヴァの面倒を見ている花売り女マルケタ・イルグロヴァと知り合い、彼女の手助けと父親ビル・ホドネットの支援により遅ればせながらロンドンでプロデビューを果たしていこうとする一方、女は夫が戻ってきて一緒に暮らし始めるっていう物語なんだけど、いやまあ、かれらは実際にも共に音楽活動をしているらしく、そのオリジナル曲が随所に挿し込まれていて、それを愉しむ向きにはいいんだけど、ぼくみたいに音楽のわからない奴の場合、ちょっとね。

 おもしろかったのは資金を借りようと訪れた銀行の融資課長がいきなりギターをかまえて『聞いてくれ』と弾き語りを始めたところくらいだったかな。ただ、リアルなタッチは好感がもてたし、主人公たちのアコースティックな曲は決して悪くはない。とても自然な感じが好かったしね。

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ダージリン急行

2016年08月28日 19時08分33秒 | 洋画2007年

 ◎ダージリン急行(2007年 アメリカ 91分)

 監督 ウェス・アンダーソン

 出演 エイドリアン・ブロディ、アンジェリカ・ヒューストン、ナタリー・ポートマン

 

 ◎オー・シャンゼリゼ

 兄弟なんてこんなもんだ。でも、仲が良かろうが悪かろうが、一緒に旅ができるだけ幸せなんだよ、やっぱり。

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アクロス・ザ・ユニバース

2016年05月27日 18時04分09秒 | 洋画2007年

 ☆アクロス・ザ・ユニバース(2007年 アメリカ 133分)

 原題 Across The Universe

 原案・監督 ジュリー・テイモア

 

 ☆ビートルズの楽曲33曲

 たいしたもんだ。

 33曲という数の楽曲を取り組んで物語を作るだけじゃなく、エヴァン・レイチェル・ウッド、ジム・スタージェス、ジョー・アンダーソンたちがみんなビートルズを感情をこめて歌っちゃうんだから、ほんと、たいしたもんだ。

 くわえて、舞台になっているのは60年代、イギリス・リバプールの造船所からジム・スタージェスがアメリカへ渡っていくところから始まり、ニューヨークで共同生活していくところがメインになる。そう、60年代、つまりベトナム戦争が真っ盛りの頃で、それはもちろんジョン・レノンたちの青春の雰囲気とかれらの訴えてきた反戦を継承しているわけで、そうした主張を織り込んでいる絶妙さにも感心する。

 こういうのって、やっぱりアメリカだからできるのかな?

 たぶん、そうなんだろうね。

 ちなみに、これを書いている今、パラク・オバマ米大統領が広島の原爆公園で演説してる。

 追加。オバマ氏が広島に滞在した時間は52分だったらしい。原爆資料館に入館した時間は10分で、あらかじめみずから折ってきた折り鶴を3つ、見学者や遺族に手渡し、その後、プラハ演説以来の核の脅威に対する17分の演説をした。反応はさまざまだ。現職の大統領としては史上初のことながら、この短い滞在のために71年間という歳月を必要としたのもまた事実だ。20年前に上梓された『マラヤの要塞』っていう小説のラストシーンは戦後50年経った慰霊祭だった。むろん、当時の大統領は来訪することはなかった。だから、まさか現職の米大統領が原爆ドームに臨むなんて夢寐にもおもえなかった。そういうことからいえば、たしかに戦後における何事かについてひとつの区切りはなされたんじゃないかなっておもうけど、ね。

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コッポラの胡蝶の夢

2016年03月20日 19時55分16秒 | 洋画2007年

 ☆コッポラの胡蝶の夢(2007年 アメリカ、ドイツ、イタリア、フランス、ルーマニア 124分)

 原題 Youth Without Youth

 監督・脚本 フランシス・フォード・コッポラ

 

 ☆1938年ルーマニア・ブカレスト

 もう少しまともな邦題はつけられなかったんだろうか?胡蝶の夢はたしかに本編中でも語られるんだけど、どうしてもこの作品について人が話そうとするときこの荘子の故事について余分な説明をしなければならなくなり、それは結局のところ、この作品のおもしろさを伝える上で余計なものになりかねない。困っちゃうんだよね、そういうの。

 老け役もいとわず、老人から若者として甦った夢とも現実ともつかぬ第二次世界大戦前夜の日々を送ってゆくことになる学者を演じたディム・ロスと、その巡り合うべき運命を背負わされながら前世の言語と記憶をおぼろげに持つ女性を演じたアレクサンドラ・マリア・ララは、うん、いかにも知的な俳優できわめて好感触だ。

 ただ、永年の夢だった「言語の起源の研究」についてどのような結論をひきだすことになったかというその解答が映画そのものの世界というだけではなかなか理解を得られにくいんじゃないかって気がするんだよね。もちろん、コッポラの美的な才能は遺憾なく発揮されてるし、そういう作品つくりについては撮影も編集もなんの文句もつけようがないんだけどさ。

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幸せのレシピ

2015年10月19日 00時00分09秒 | 洋画2007年

 ◇幸せのレシピ(2007年 アメリカ 104分)

 原題 No Reservations

 監督 スコット・ヒックス

 

 ◇『マーサの幸せレシピ』のリメイク

 21世紀になってからハリウッドはなんだかリメイクが多くなったような気がするんだけど、そんなことないのかな?

 舞台がハンブルクからマンハッタンに移っただけで、これといって代わり映えのしない作品にはなっちゃったんだけど、もともとぼくはこのオリジナルが好きだから、どうしても見ちゃう。ま、それに手堅く作ってる印象だ。マルティナ・ゲデックの役はキャサリン・ゼタ=ジョーンズになった分、なんとなく華やかになった。とはいえ、その分、うそっぽい印象も受けたりする。男役は、セルジオ・カステリットからアーロン・エッカートと完全に若返り、小生意気な若造にベテランの女シェフが腕前ではなく男女の恋がらみとしてたじたじするという雰囲気に変わったため、これはこれでよかったんじゃないかって気もする。

 ま、おだやかな映画に仕上がってるな~って感じかしら。

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