◇シービスケット(2003年 アメリカ 141分)
原題 Seabiscuit
staff 原作/ローラ・ヒレンブランド『シービスケット あるアメリカ競走馬の伝説』
製作総指揮/トビー・マグワイア、ゲイリー・バーバー、ロジャー・バーンバウム、
アリソン・トーマス、ロビン・ビッセル
監督・脚色/ゲイリー・ロス 撮影/ジョン・シュワルツマン
衣装デザイン/ジュディアナ・マコフスキー 音楽/ランディ・ニューマン
cast トビー・マグワイア ジェフ・ブリッジス エリザベス・バンクス クリス・クーパー
◇1840年3月2日、サンタアニタハンデキャップ
ぼくは競馬をしたことがない。
府中競馬場からさほど遠くないところに棲んでるんだから、
一度くらいは競馬場に行ってみたいとおもってるんだけど、
いまだに行ったことがない。
だから、競走馬の疾走する凄さも感じたことがないので、
競馬のおもしろさがいまひとつわかってない。
でも、これを往年の名馬シービスケットの物語としてだけ捉えずに、
シービスケットとともに、文字どおり人馬一体となって、
人生の再挑戦を成し遂げる男たちの物語として観れば、
たしかに感動的な作品であることはいうまでもない。
ほんと、事実としてこれほど物語性を秘めた設定はないかもしれない。
だって、
子供を自動車事故で失い、妻に出ていかれた自動車ディーラー。
自動車の需要に押されて調教師になるしか道のなかったカウボーイ。
両親が破産し、アマチュア・ボクシングでやがて片目に障害を負った騎手。
かれらが、
馬格が小さく、しかも膝に瘤を抱えて駄馬と目され、
その気性の荒さから調教師たちにさじを投げられていた鹿毛の悍馬に、
人生のすべてを賭けて勝負に挑み、そして勝利を手にするなんてのは、
いやもう、すこしばかりできすぎな物語なんだけど、事実だ。
だから、この映画はおもしろい。
で、ふとおもいだしたんだけど、50年近く前につのだじろうの漫画があった。
『おれの太陽』っていう競馬馬の話で、九州で生まれたアラブ種が、
脚を折りながらもやがて日本ダービーに出場して勝利をもぎとるって話だった。
当時、ぼくはこの漫画が好きで、コミックを買ってぼろぼろになるまで読んだものだ。
となると、案外、ぼくは、競馬を好きになる要素は持ってたのかもしれないね。