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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

海よりもまだ深く

2019年12月07日 22時16分41秒 | 邦画2016年

 △海よりもまだ深く(2016年 日本 108分)

 原案・脚本・編集・監督/是枝裕和 音楽/はなれぐみ

 出演/阿部寛 真木よう子 小林聡美 リリー・フランキー 橋爪功 樹木希林 中村ゆり

 

 △清瀬市の旭が丘団地

 いや、単に人生に落ちこぼれてしまった作家のありがちな日常でしょ。

 ただまあ、ほんっとにどこにでもあるんだけど、作家のどうしようもない習性というか人間の持っているいちばんくそったれな性質の甘えというか、人生を舐めてかかってるからこうなるんだよ的な教訓としてはいかにもありなんだけれども、実際、つらいのは母親でなく妻であって、さらにいちばんつらいのは子供なんだよね。

 子供の前でこんな人間なんだよってことを見せちゃう作家ってやつはほんとにあかんね。

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シン・ゴジラ

2019年09月30日 20時30分42秒 | 邦画2016年

 ◇シン・ゴジラ(2016年 日本 119分)

 監督/庵野秀明 樋口真嗣 音楽/伊福部昭 鷺巣詩郎

 出演/長谷川博己 竹野内豊 石原さとみ 高良健吾 市川実日子 國村隼 平泉成 大杉漣

 

 ◇ヤシマ作戦

 昭和ゴジラ世代の初代へのオマージュ。エヴァのBGMが流れたときは噴いた。

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太陽の蓋

2018年08月31日 01時36分25秒 | 邦画2016年

 ◎太陽の蓋(2016年 日本 130分)

 製作/橘民義

 監督/佐藤太 音楽/ミッキー吉野

 出演/北村有起哉 三田村邦彦 神尾佑 青山草太 菅原大吉 中村ゆり 袴田吉彦 伊吹剛

 

 ◎2011年3月11日、首相官邸

 おもいきり、めいっぱいの映画だった。

 つまりは当時の総理官邸が東京電力からつんぼ桟敷に置かれていたっていうことがこれまでどこにも触れられていなかったことで、もしもこれが真実であるとするのなら、ちょっと怒りの鉾先は東電に向かう。また同時に、メルトダウンした場合にどうすればよいのかというマニュアルを、原発を作り続けてきたこれまでの政府がなにひとつ残してこなかったのかまじでっていう怒りもまた覚えてしまう。

 ただまあ、これは映画の中身がすべて真実であるという前提に立つ。このあたりは難しい。映画でも福島第一原発の現場は誰よりも勇気をもって処理と対策にあたっているからね。

 ところで、この映画が惜しいのは、ロングの画面がないことだ。モブシーンがまるでないのは観ていて辛い。テレビサイズの映画になってしまっているのはなんとも辛い。浜通りの人々がどのような気持ちで避難せざるを得なかったのか、1Fの従業員たちがどのような作業に入ったのか、第四がメルトダウンしてしまうのかもしれないという不安とたまたま水が入ったことで救われたという偶然の産物によって日本が救われたという事実についてもう少し押した方がよかったんじゃないかっておもうわ。

 ただ、こうした本気で映画でなにかいおうとしている作品はこのところの邦画界には皆無で、この作品で訴えようとしていることが真実か否かということについては観客が感じていくことだろうし、それについてどうのこうのいうつもりはない。でも、ひとつの事象について映画会社が本気で取り組もうとしている姿勢はまるで感じられない昨今、この作品はある種の意義を持っているような気がするんだよね。

 それと、この手の作品は脚本は、ひとりで書かない方がいいね。複数の意見を戦わせることでさらに客観的に作品を眺めることができるし、福島の地形や原発の設置された理由や情況からなぜ原発があんな事故をひきおこしてしまったのか、これは人災だったのではないかとか、そういう点をもうすこし明確に語ることができたんじゃないかっておもうんだよね。

 ちなみに、この映画にはスピンオフが3本あって、第1話が「報道の行方」で、第2話が「僕たちがいた町」で、第3話が「最悪のシナリオ」ってことになってるんだけど、もともと脚本に組み込まれていたものをカットしたようにも感じられる。とはいえ、そのあたりはよくわからない。ただ、カメラがまるで違ってて、演出もなんというのかひと時代前の教育映画っぽい印象を受けちゃうのはなんでなんだろう?

 あと、この映画で興味深い場面は3つあって、これは見どころだともおもえたりするけど、どうかな?

 ひとつは、北村有起哉が奥さんの中村ゆりに電話で「西へ逃げた方がいい」と伝えようとするところだけど、でも中村ゆりはこういうんだな。西へ逃げたところでそこにも原発はある。この国はどこへ逃げたところで原発からは逃れられないのだと。まあ実際そのとおりで、原発はどこにでもある。全面的に稼働を停止していた状態は1年と11か月というきわめてわずかな期間でしかなかったものね。

 で、もうひとつは、4号機に使用済み核燃料が1500本あまりも存在していて、これも結局、融解してしまっていて、たまさか注水されたからよかったものの、これはまさしく偶然以外の何物でもなく、この天が守ってくれたとしかおもえないような事態がなければ、大変なメルトダウンが起きて、福島原発から半径250キロ圏内は人が棲めなくなっていたかもしれないというやりとりにいたるところだ。真実なのかどうか、ぼくは知らない。けれど、そうした予測を立ててしまえるような物がこの国にあるのは事実なんだろうね。

 最後のひとつは、冒頭の場面が都内の雨だということだ。上記のやりとりをしている場面も、雨だった。事実、福島原発が爆発した翌々日、東京は豪雨に見舞われた。あの日の雨を眺めていて、おもいだしたのは今村昌平の『黒い雨』と小村孝太郎の『ワースト』だった。あの雨を浴びた都民は決して少なくないはずだけど、みんな、放射線量については検診して計測したんだろうか? 

 ま、そんなところかしらね。

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超高速!参勤交代リターンズ

2017年11月19日 21時01分37秒 | 邦画2016年

 ◇超高速!参勤交代リターンズ(2016年 日本 119分)

 監督 本木克英

 出演 佐々木蔵之介、深田恭子、西村雅彦、六角精児、伊原剛志、市川猿之助、寺脇康文、石橋蓮司

 

 ◇なるほどリターンは掛詞なのね

 なんのパワーが落ちたといって、深キョンだろう。

 彼女のシンデレラ物語はなりをひそめ、単なるマスコット的な扱いにされてしまったのが筋立てとしては辛いところだ。実をいえばおもしろくなりそうな気配があったのは富田靖子で、彼女らの城のおなごたちがどれだけ奮起するかで乗っ取られた湯長谷藩の復活がおもしろくなったはずなのに、ちょっと辛いかな。佳境の陣内孝則を相手どった合戦まがいの戦いもなんだか煙幕でけむにまかれた観はあるし、吉宗の日光社参の道中における暗殺について暗号まで用意しながらまったくの尻すぼみになっちゃったのはちょっとね。

 周防義和の音楽は前作とおなじながら、なかなかどうしてけっこう耳にのこる。これが好いだけに辛いな。

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この世界の片隅に

2017年08月31日 00時10分12秒 | 邦画2016年

 ◇この世界の片隅に(2016年 日本 128分)

 監督・脚本 片渕須直

 声の出演 のん、細谷佳正、尾身美詞、潘めぐみ

 

 ◇1945年7月28日、青葉、呉軍港にて着底

 とてもよく調べていて、描写が細かく脚本も絵作りも丁寧で好感はもてる。が、吐息まじりのコトリンゴの歌はあまりにも作品に合いすぎてかえって途中から聴くのが難しくなってきた。ふしぎなことだけどね。

 あ、そうだったのかと観ている途中でおもったのは、冒頭、ばけもんのひとさらいにさらわれたとき籠に入れられていたのが後の夫だったのねってことかな。原作を読んでないとこういうのがよくわからないね。

 それと途中まで観てて、あ、とおもったのは、これ、北川景子の主演でテレビになってるじゃんってことだ。テレビは呉の遊郭が主要な場面になってて、遊女がもっと絡んできてたような気がする。でもまあ、このアニメの方がすっきりしてたかな。

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僕だけがいない街

2017年08月26日 00時04分34秒 | 邦画2016年

 ◎僕だけがいない街(2016年 日本 120分)

 監督 平川雄一朗

 出演 藤原竜也、有村架純、石田ゆり子、及川光博

 

 ◎ラスト、あかんな

 案外おもしろかった分、残念だ。

 実をいうと、原作もテレビアニメも知らないぼくは『僕だけがいない街』というのを『僕しかいない街』と随分と前から勘違いしてた。だからなんのことかわからなかったんだけど、なるほど、死んだ後の街というわけね。もしかしたらここでもまちがった受け止め方をしてるかもしれないけど、これ以外に解釈できないから許してもらおう。

 それはともかく連続少女誘拐殺人の冤罪を晴らすだけでなく時間を跳ぶ能力によって当時殺された同級生と現在殺されてしまう母親を救おうとする展開はおもしろかった。

 ただ佳境、真犯人の教師によって橋から突き落とされた次の瞬間、冒頭のピザ屋の宅配をしていて跳ねられた後に跳んだとおぼしきところで眼が覚めるわけだけれども、その間のことがまるきり描かれていないのは、なんだか中途半端な気がしてならない。いや、中途半端というよりも作り手が物語について核心を勘違いしているのかとおもってしまいたくなるほど、間(ま)がぬけていた。それまでの面白さを台無しにしてしまう。

 これではあかんでしょ。

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人生の約束

2016年09月14日 19時23分19秒 | 邦画2016年

 ◇人生の約束(2016年 日本 120分)

 監督 石橋冠

 出演 竹野内豊、江口洋介、西田敏行、松坂桃李、優香、高橋ひかる

 

 ◇放生津曳山祭

 曳山好きな僕としてはやっぱり見ておかないといけない。

 ただまあ、主人公の傲慢不遜な性格が災いしたのか友情が断ち切られ、その相手が亡くなってしまったことで曳山を知るにいたり、人間として生きるとはどういうことかを知ることになるという、いわゆる人生のやりなおしを描いてるんだけど、他組に取られてしまった曳山をめぐる争いと蘇生を体験することがそのやりなおしの引き金というか背景になってる。でも、なんだか、西田敏行が病気に倒れていくのが挿話にはなってるんだけど、そのせいで主人公である異邦人の竹野内豊が蚊帳の外におかれちゃうような感じになるのは、筋立てとしてどうなのかしらね。

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仮面ライダー1号

2016年09月11日 00時25分18秒 | 邦画2016年

 △仮面ライダー1号(2016年 日本 96分)

 監督 金田治

 出演 藤岡弘、、岡本夏美、竹中直人、大杉漣

 

 △不死身か、本郷猛

 45年前といえば、ぼくは小学生だった。

 実をいえば、仮面ライダーよりもウルトラマンの方が好きで、なんとなく見たり見なかったりした。なんか、東映の特撮物って僕の感性とはちがうっていうかそんな感じがしたんだろうね、たぶん。それでも、仮面ライダーといえば、僕の中では藤岡弘、だ。ま、一文字隼人の佐々木剛もなんだけどね。だから、藤岡弘、が69歳のちょっとっていうかかなり太ってしまった身体を見事に動かして殺陣を演じるのを見られたのは、なんとなく嬉しかったりもする。いやあ、本年は、大河ドラマの本多平八郎も好い感じで演じてるし、当たり年だね、藤岡弘、。

 しかし、いくら相手がショッカーとかいえ、サイクロンで次々に撥ね飛ばしてしもたらあかんでしょ。撥ね飛ばされてない?ならいいんだけど。それと、いくら本郷猛でもヘルメットなしで乗ったらあかんのじゃないかおもいますけど。昔の復帰後もこのヘルメットを被る被らないは問題になったそうだし。

 ちなみに、まじかっていう話をすると。藤岡弘、が怪我で降板したとき、スーツアクターをすることになったのは大野剣友会の岡田勝なんだけど、この殺陣師は後に『スケバン刑事』の技斗を担当してるんだよね。

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うつくしいひと

2016年09月08日 18時23分00秒 | 邦画2016年

 ◇うつくしいひと(2016年 日本 39分)

 監督 行定勲

 出演 橋本愛、姜尚中、高良健吾、石田えり

 

 ◇ストーキングにはならないのか?

 現実にこんな男がいてみたまえ。怖いぞ。

 たとえば、ぼくがこの大学教授らしき男のような立場だったら、どうするよ。

 昔、横恋慕していた女性がいて、しかもその人は自分の親友が妻にした人で、ただ、幸か不幸かその親友は他界してしまっていて、で、過去を棄てるつもりで何十年も上京したままだったんだけど、たまさか、学会かなにかわからないけれども熊本へ帰省することがあって、いい機会だとおもいたち、その好きだった人を物陰から眺め、さらに好きだった人の娘が働いている古本屋にそっと入り、自分が誰かも語らずにつれだし、いや、連れ回し、彼女の写真を撮ったりするのだ。つきまといだぞ、怖くないか。ところが、こんなちょっとというか、かなり非常識な男が娘を連れ出したというのに、いなくなった娘をおいかけて、娘の母親と娘に惚れている男が駈けつけたとき、なにもかも納得し、すべてが氷解するなんて、まじか。

 なんていうか、こんな素敵な(ではなく)男の純情としては限りなく美しい(あ、いかん)こんなわがまま満載でも怒られないなんてなんて羨ましい(とかいってる場合ではない)物語は、ちょっとひくな、僕としては。ていうか、まかりまちがえば、ものすごく危ない老いらくの恋だが、これでいいのか?

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ひかり~刈谷をつなぐ物語~

2016年04月26日 15時47分52秒 | 邦画2016年

 △ひかり~刈谷をつなぐ物語~(2016年 日本 10分)

 企画:N.P.C.ent、下村秀樹 監督:神谷友美 プロデューサー:中村誠、新宅潔、今優子 アニメーションプロデューサー:松尾明子 構成・脚本:木戸雄一郎 キャラクターデザイン:袖山麻美 美術監督:若林里紗 動画検査:大久保麻衣 色彩設計:佐藤直子 撮影監督:山根裕二郎 編集:吉武将人 音響監督:亀山俊樹 音楽:コーニッシュ 音楽制作:フロンティアワークス 音楽プロデューサー:吉川明 エンディングテーマ:「How to say I love you」Ringo coaster ロケハン撮影協力:泉津井陽一 企画協力:刈谷市 取材協力:愛知県立刈谷高等学校、ウェーブスタジアム刈谷、刈谷いもかわ会(きさん)、刈谷万燈保存会 アニメーション制作:ゼクシズ 製作:刈谷市観光協会、刈谷市観光協会 ©刈谷市観光協会

 

 △都内の東小金井で制作されただげな

 まったく情報に疎いっていうのは困ったもんで、まるで知らんかったんだけど、どうやら愛知県刈谷市は中部地区のアニメの中心地になっとるらしい。で、この作品は愛知県刈谷市制65周年記念作品として平成28年3月28日からYouTubeで公開されただけじゃなくて、刈谷市観光協会HPと刈谷市HPにも掲載されただげなが、まあ、ほれ、なんていうだか、率直なことをいわせてもらうと、まあちょいなんとかならんかっただかね?て感じだわ。

 訊きたいことはどらえいあるだけど、なんで駅伝なの?とか、刈谷らしい風景とかってどこのことだね?とか、市政がどうたらとかいうんだったらまあちょい年寄が見てもうんうんって頷けるもんの方がよかっただないかね?とか、まあすこし特徴的な絵作りっていうかキャラクターデザインの方が目立ったんじゃないだかね?とか、どうせだったら本格的な長編にした方がよかっただねえかや?とか、刈谷にはまっとほかにも自慢できるもんがようけあるじゃないだかね?とかおもったりしただけど、どうだいね?

 まあちょっとでええでがんばりん。

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