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Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

輝ける人生

2022年09月10日 23時22分47秒 | 洋画2017年

 ◎輝ける人生(Finding Your Feet)

 

 リチャード・ロンクレインって監督は前作が『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』だったとかって聞くと、ああ、なるほどねって気になる。人生の老境にさしかかったとき、人はどうやってそれからの人生を楽しく過ごしていけるかっていう問題が、かれの中で大きくなってきてるのかなって気がするからだ。

 で、この映画は、とどのつまり、熟年離婚したイメルダ・スタウントンが、ロンドンに住んでるセリア・イムリーの厄介になって、ティモシー・スポールと新たな恋をめばえさせるだけじゃなくて、じじばばのダンス集団に入って人生の輝きをとりもどすって話で、いや、ダンスは観てて照れるし、ほかになかったのかって気になるけど、これだけ派手にやるから映画として絵になるんだろうね。でもな~。

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イーディ 83歳はじめての山登り

2022年09月09日 22時52分31秒 | 洋画2017年

 ☆イーディ 83歳はじめての山登り(Edie)

 

 サイモン・ハンターって監督は知らなかったんだけど、手堅い演出をするんだね。

 ていうか、主役のシーラ・ハンコックも、その娘役のウェンディ・モーガンも初めて知った。ふたりとも綺麗だな。ただ、ウェンディ・モーガンが母親の日記を読んで、自分が要らない子だったんじゃないかっていうような突発的な感情を爆発させる場面は要らなくないか?この母子の亀裂は、シーラ・ハンコックが山で遭難するあたりまで引き摺って、母親が行方不明になってそれを追いかけてきた娘と和解するっていうくだりが描かれるのかとおもってたら、まるでなかった。え?って感じだけど、ま、いいか。

 ケビン・ガスリーがいまひとつ中途半端な設定で、もうすこし人を好くして、みんなに利用されながらもこの閉鎖的な田舎を出ていきたいのに、エイミー・マイソンにひきずられて家族の一員にさせられてアウトドア用品店の経営をさせられそうになってる青年にして、でも心のどこかでは山の案内人として生きていきたいとおもってるような素朴さを抱えながら苦しんでるって感じにしてほしかった。そうすれば、なんとなくエイミー・マイソンとは別れるんだろうな~としかおもえないラストももうすこしはっきりした感じになったんじゃないかっておもうんだけどね。

 でも、スコットランドのスイルベン山、ひょっこりひょうたん島をおもいだしたぞ。

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ヴィクトリア女王 最期の秘密

2022年09月02日 22時16分41秒 | 洋画2017年

 ◇ヴィクトリア女王 最期の秘密(Victoria & Abdul)

 

 ジュディ・デンチのビクトリア女王はなんとなく似てる気もしないではないけど、本物より威厳があるね。ま、そんなことはいいんだけど、結局、ビクトリアがアリ・ファザル演じる薄っぺらな献上品要員のいったいどこが気に入ったのかってことで、そこに説得力がないと、こういう上っ面だけの物語になっちゃうんのかもしれないね。

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5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生

2022年08月31日 00時45分58秒 | 洋画2017年

 ◎5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生(Mein Blind Date mit dem Leben)

 

 オーガ!

 っていうとは知らなかった。国や言葉が違えば、叫び方も違ってくる。でも、まわりの人々が弱視の人の苦労を理解してとことん協力して人生を素敵に彩られるようにしてあげようっていう献身さは、どの国でも同じ方がいい。そうはおもうものの、このドイツ人たちのように日本人はできるものなんだろうか?

 ただまあ、スリランカ人の父とドイツ人の母の間に生まれたっていう設定の主人公を演じたコスティア・ウルマンはそうした支援を受けるに足るような生真面目さと健気さと可愛さがあるってのも、観てて納得する要素ではあるけどね。アンナ・マリア・ミューエも可愛くてよろしい。

 ちょっと驚いたのは、監督マルク・ローテムントの前作が『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』だったってことで、へえっとおもった。ストレートな映画だったから、今回、かなり練れたなあって気がするわ。

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メッセンジャー

2022年08月30日 20時46分39秒 | 洋画2017年

 △メッセンジャー(Magellan)

 

 しょぼすぎる。

 家の中が綺麗すぎる。こんなに片づいてないだろ、ふつう。住宅展示場で暮らしてるみたいだ。いくらCGに予算が懸かるっていってもこれはないな。とはいえ、絵面が凄かったのはタイタンの氷った湖とその周辺の山並みを撮ったところくらいで、あとはなあ。

 あ、宇宙船jX57のコンピュータは、フェルディナンドっていうのね。母船から分離したときはA.I.は女の子ニールになるのね。へ~。でもそれだけのことで、フェルディナンドにバグが発生するか他国あるいは破壊集団から妨害が入って修復不能になるとか、とにかくピンチになったときに、このニールちゃんが頑張ってくれるとか、奥さんのかわりに実体化して妙な展開になるとかじゃないんだ?

 しかし、木星の衛星にしても海王星にしてもやけに重力が地球っぽいな。スローモーションで誤魔化してるけど、いくら自主制作映画みたいな話だとしたところで、ちょっとつらいわ。それもそうだけど、予算がないのかわざとなのか。NASAからの画像通信があまりにもせこい。会議室でビデオで撮ったものを撮影してるだけって感じで、こんな国家的なミッションならNASAのオペレーションセンターとかで他の職員も揃って通信するんじゃないのかな。

 いずれにしても、がんちゃぽんにしか見えない異星人が置いてったっていう3つの球が、そもそも収容したときに厳重な鍵のかかる容器に入れて地球に帰還するまで誰にも開けられないようにするってのが基本じゃないかっておもうんだけどそれはさておき、その球がちょっとだけ脳の中の残像をファミリーツリーみたいに見せてくれたからって、地球に戻って研究すればいいのに単なるわがままと判断されても仕方のない行動で片道38年もかかる宇宙旅行に出ちゃうとかってありか?

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家へ帰ろう

2022年08月28日 17時42分05秒 | 洋画2017年

 ◎家へ帰ろう(El último traje)

 

 心に深い傷を負ってしまった人が、それに関係する人間や場所の固有名詞を口にしたくないというのは、とってもよくわかる。これを頭が固いとかひねくれてるとかって決めつけられたら、かわいそうだ。口にできないほど傷ついたわけで、死ぬまで話さなくってもいいし、そんな場所には死ぬまで立たなくたっていい。ぼくにもそういう人間や場所の名前はある。

 また傷ついてしまって切断を迫られてる右足をツーレス(問題って意味ね)と呼んでるのもよくわかる。ぼくの知り合いは、折れた手首をクララと呼んでた。クララの意味はわからないし、訊いていない。でも、なんとなく、身体の一部に名前をつけたくなる気持ちもわかる。

 頑迷だの、頑固だのというのは、どうしようもなくそうなってしまったわけで、寛容であることはたしかにすばらしいことだし、そうしたいと誰もがおもうのかもしれないんだけど、人間ってやつはなかなかそれができない。できずにもがき、ときには相対するものを不愉快にする。

 そうした老人を演じたのがミゲル・アンヘル・ソラで、上手だった。

 でもミゲル・アンヘル・ソラは置かれた立場はつらいし、過去の思い出は忘れたいのに忘れられないほど辛いものだったろうけれど、機内で出会ったマルティン・ピロヤンスキーも、ホテルの女主人アンヘラ・モリーナも、マドリードで暮らして父親とおなじユダヤ人収容所の入れ墨を自分も入れてるナタリア・ベルベケも、人類学者ユリア・ベアホルトも、旅の目的地つまり「おうち」のウッチまで同行してくれるオルガ・ボウォンジも善人で、ここが味噌で、ここで意地の悪いやつや感情を逆なでするようなアホが登場することはない。

 監督パブロ・ソラルスが寛容なんだろう、たぶん。

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メアリーの総て

2022年08月25日 22時06分58秒 | 洋画2017年

 ◇メアリーの総て(Mary Shelley)

 

 ほんとにそうだったのかもしれないけど、とにかく色きちがいように描かれたダグラス・ブース演じる詩人パーシー・ビッシュ・シェリーと、エル・ファニング演じるメアリー・シェリーの駈け落ち話に終始して、もうそろそろ展開があるかとおもってもほとんどなく、ベル・パウリー演じる妹クレア・クレアモントが狂言回しのようにトム・スターリッジ演じるバイロンと出会って、ディオダティ荘の怪奇談義につながるんだけど、ここまでが長い。長すぎる。

 まあ『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』を書き上げて出版にこぎつけるまでの物語だから仕方ないとしても、なんだか淡々としすぎてて、もうすこし情緒的に撮られてたり、起伏があったりしてもよかったんじゃないかっておもうんだけどな。

 レマン湖のほとりの怪奇談義から3年後にジョン・ポリドリは『吸血鬼』を発表するんだけど、この原題The Vampyreなのね。Frankenstein; or The Modern Prometheusの出版はその前年の1818年だそうだから、そうか、バイロンは怪物くんだったのかと妙に納得しちゃったわ。

 あ、このハイファ・アル=マンスールって『少女は自転車にのって』の監督だったのか。

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判決、ふたつの希望

2022年08月16日 02時38分08秒 | 洋画2017年

 ☆判決、ふたつの希望(L'insulte)

 

 なるほど、ふたつの希望ってことになるんだね。

 おもしろかった。

 パレスチナ難民排除を訴えるキリスト教系の政党のアデル・カラムのアパートのベランダから排水管が出てる。これを、建物の修繕事業を請け負う業者でパレスチナ難民の労働監督カメル・エル・バシャが勝手に直しちゃうことが発端だ。この直した排水管をアデル・カラムが叩き壊し、そうした行為をカメル・エル・バシャが糞野郎と吐き捨て、喧嘩になり、アデル・カラムは肋骨を折られて訴訟沙汰になるんだけど、これがパレスチナ難民の人権問題になり、やがてキリスト教とイスラム教の国を二分する裁判に発展するっていう、いやまあ、すごい映画だった。

 こうした痛々しさはよくわかるんだけど、善後策が浮かばないから困るんだよな。

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おかえり、ブルゴーニュへ

2022年08月14日 02時08分44秒 | 洋画2017年

 ◎おかえり、ブルゴーニュへ(Ce qui nous lie)

 

 なんとなく葡萄の栽培と葡萄酒づくりの物語ってそれだけで雰囲気の勝利を手にしたような気になるんだけど、このワイン生産者ドメーヌの家名を継いでゆくっていうシンプルは物語は脚本も上手だった。ピオ・マルマイとアナ・ジラルドの兄妹の関係がそうだ。どこにでもありがちな農家のあととり問題と、農家の未来の物語はたいがい筋立てが決まってる。これも父の死がもたらす実家の相続と売買の話なんだけど、セドリック・クラピッシュが上手にまとめてる。

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ザ・フォーリナー 復讐者

2022年08月12日 00時30分09秒 | 洋画2017年

 ◇ザ・フォーリナー 復讐者(The Foreigner)

 

 追いかけられる元IRAの戦士で、北アイルランドの副首相になってるピアース・ブロスナンの構造が二重になってる分、明瞭さに欠けてる。

 年老いて現役を引退してしょぼくれただけの男が実は凄かったっていうのはもはやひとつのジャンルだなとおもったりするが、ここではジャッキー・チェンが中華料理屋の経営者なんだけど実はベトナム共和国陸軍特殊部隊から米軍の特殊部隊員としてベトナム戦争に従軍した凄腕の戦士だったって話なんだが、娘がテロに巻き込まれてその復讐をするって物語で、難民で国を出たときベトナム沖で海賊に襲われて妻と長女を殺されるっていう過去を背負ってるんだけど、その分、尺をとられてる気もするな。

 
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア

2022年08月01日 22時27分30秒 | 洋画2017年

 ◇聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(The Killing of a Sacred Deer)

 

 邦題のカタカナの部分、要らんな。

 のっけから手術されてる心臓のドアップが延々と映されてようやくタイトルっていう、これでもかってくらいのエグさなんだけど、まあ、これがすべてを物語ってるんだからわからないでもない。

 ただ、なんていうか、コリン・ファレルの執刀ミスで殺された父親の復讐劇なんだろなってことは、遺児の青年に内緒であって面倒を見てるってあたりからすぐに知れる。まあ、そのあたりは伏線というほどのものでもなく、まっこうから出してるんだけどね。

 でも要するに祟りなわけで、う~ん、斬新さがあるとすればその祟りをつくがえそうとはせずに、自分のせいで妻と娘と息子が祟られて、もしもなにもしなければ三人とも死んじゃうけど、ひとりだけ殺せば祟りは終わるよってのをそのまま鵜呑みにしてロシアンルーレットに入っちゃうってのはどうよ。

 それと、コリン・ファレルがちょっと性倒錯なやつっていう設定で、ニコール・キッドマンが下着姿で横たわり、全身麻酔ごっこをするってのは要るんか?祟りが深くなると今度は全裸になるんだけど、ますますこれって要るんか?さらにいうと、コリン・ファレルと組んでる麻酔医ビル・キャンプから「コリン・ファレルは執刀前にウヰスキーを2杯くらってんだよね」っていう証言をひきだすためにキッドマンが高架下のがらんとした駐車場の車内で手淫をしてやるんだけど、いや手淫だけでいいんかね?ずいぶん楽な取引じゃないかね?アリシア・シルバーストーンがコリン・ファレルの手を執拗に愛撫して止まらなくなるのは、やっぱり夫を殺されたことへの怨みなのかしらね?

 ちなみに、ラフィー・キャシディはやはり実にかわゆいな。

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荒野にて

2022年07月27日 23時43分48秒 | 洋画2017年

 ◇荒野にて(Lean on Pete)

 

 競馬馬の厩舎ってのは、こんなに個人的で小さな経営なんだろうか?

 なんだか大昔のつのだじろうの漫画『おれの太陽』をおもいだした。

 もちろん、もっと現実味のある物語で、主人公の少年チャーリー・プラマーは父親トラビス・フィメルが浮気相手の夫に半死半生にあわされたせいで死んじゃうっていうおもわぬ展開を見せてそこから坂を転げ落ちるように不幸になっていって、たいせつに育てたけどどうにも勝てない競走馬が厩舎の主スティーブ・プシェミに売られてしまうことになり、これをせっかく連れ出したのに車に撥ねられて死なせてしまうとかってまじありか?ってな展開で、いやもう、これでアリソン・エリオットのところへ辿り着いてほしいなあっていう淡い期待だけを持って観終わるわけだけれど、なんかな~。

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ファントム・スレッド

2022年07月26日 22時17分01秒 | 洋画2017年

 ◎ファントム・スレッド(Phantom Thread)

 

 オートクチュールの世界も男女の世界はおんなじで、男は恋愛をしていないときには完璧にしていられるんだけど、恋をしてしまうことでつまづき、ほころび、過去が蘇って現在を崩し始め、やがて破綻する。女は恋愛をしていないときは天然ぼけで、ねじがひとつふたつ外れてるんだけど、恋をしてしまうことで徐々に完璧になっていき、同時に強さを持ち始め、やがて男を凌駕してその男を崩壊に追い込んでいく。

 ま、よくあることだな。

 つっても、こういう繊細な感じを、ポール・トーマス・アンダーソンはちゃんと追いかけてるんだよね。

 こういう役柄が得意なのはジェレミー・アイアンズだとおもってたら、そうか、ダニエル・ディ・ルイスもそうだわね。

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三十年後の同窓会

2022年07月25日 22時01分48秒 | 洋画2017年

 ◇三十年後の同窓会(Last Flag Flying)

 

 印象の薄い映画だ。つまりは、かつてベトナム戦争でおもいきり爆ぜてた連中がやけに落ち着いてしまってて、でも、その息子の代になると今度はイラク戦争で戦死に追い込まれる。そういうくりかえしが続けられる中で、人間はどれだけ成長しているんだろうってな話なんだけど、どうもめりはりが利いていないっていうか、だらだらしてる。

 この監督リチャード・リンクレーターは『ビフォアサンライズ 恋人までの距離』との情緒的なものを撮ってるんだけど、似たような感じながら印象が薄いんだよな~。とくにローレンス・フィッシュバーン、老けさせすぎじゃないか?

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1987、ある闘いの真実

2022年07月24日 02時31分13秒 | 洋画2017年

 ◎1987、ある闘いの真実(1987)

 

 1987年1月14日の学生運動家朴鍾哲拷問致死事件の物語といわれても、当時のことはまるでおぼえていない。というより、日本人のぼくたちはほとんど聞かされていないし、いや、これって日本でいうと学生運動華やかなりし頃とかぶってこないかっていう感想しか浮かばないんだけど。

 でも、画づくりはたいしたもので、その緊迫感はひしひしと伝わってくる。すごいね。

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