3万円のハンディカムをみていると動画機材も安価になったし、よい画質が欲しければデジタル一眼レフとなる。ライツの歴史をみると動画からスチールカメラが発達してきたと理解しているが。そうなるとスチールカメラの利点は画質につきるのだろう。
画質志向ならと言うわけでもないが、カールツァイスの標準レンズをゲットした。製造元のコシナもクラシック・ツァイスは消極的だから廃盤になる前に調達しておこうと思っていた。
これでフィルム機材ニコンF3とデジタル機材ニコンDfとで共用でき、ディスタゴン25mm/F2.8、プラナー50mm/F1.4、マクロプラナー100mm/F2.0と焦点距離が倍々となる明るいツァイス・レンズシステムが揃うという予期せぬ事態になった。
露出は電子接点がついているのでプログラムと絞り優先オートができるがピントは手動。もちろん今時そんな珍奇なシステムを使う人も少ないはずだ。
例えば以下の過去ログにレンズの実写を書いたが・・・、
2019年06月12日 | Nikon Freak388.梅雨の薔薇
2020年07月29日 |ZEISSの空気127.おっ!、生きてたか!
前者のマクロプラナー100mmで撮影した画像は、樹木や薔薇が立体的に写りつつ背景のボケ方が秀逸。それに被写体が立体的に写る、環境や空間をつくる仕事をしている立場としては必須の仕様だ。後者は、ディスタゴン25mmで撮影、トップ画像を見ていると広角レンズ固有の見飽きないボケ方をもったレンズだ。
さてこれらのレンズを携えてコロナ禍の隙間をついて、コロナ太り防止ダイエットのために、人気のないところへ散歩に出た。
早速、歯医者の行き帰りの定点ポイントで試写。結果はオオッ!、さすが・・・、と言う感激は全くなく、ヌケの良い透明感はあるが寒色系のクールな写り方だ。コンタックスプラナーの色が好きな人には、このレンズは失望を与えるだろう。ニコン50mm/F1.4Dと比較すれば、ボケ方が被写体の芯が残っており、ニコンの何でも派手にボケてしまうのとは異なる。
さて、調達したコシナ製プラナー50mm標準レンズのボケ方を近接撮影で調べてみた。
先ずは開放のf1.4で撮影したのが図1。気泡にピントを合わせたが、瓶の気泡と水面の一部がシャープであり、これ意外の、つまり主題から外れた要素はすべてボケている。瓶の中の反射のボケ方なんか綺麗だ。右側の筆は、筆とはわからないほどボケているのが素晴らしい。f1.4は、主題を浮き立たせてくれる絞り値だ。主題以外は、素晴らしくボケていて表現方法としては明解であり惚れ惚れする。さすがF1.4の明るいレンズだ。
図1.絞りf1.4
ついで、高画質ズームレンズのF値の始まりであるf2.8で絞った画像を図2にあげた。瓶全体がほぼ被写界深度内に納まっているのでピントが合ってシャープになっている。右側の筆がようやく形を整えだした。このあたりになると瓶全体がシャープで見栄えがよく、周囲がボケていて調度よいではないかとする評価もあるが凡庸な写り方だ。その差が気になるならば、f1.4の単焦点レンズを使うほかない。そして一番綺麗なのが、f2.0のあたりだということも申し添えておこう。
図2.絞りf2.8
絞りを最も絞った状態の写真を、図3にあげた。被写界深度が深くなり、ようやく瓶の周辺までピントが及ぶようになった。これが遠景観にピントを合わせれば、画面内のほぼ全ての風景にピントがあうことになる。こんな風に絞りの値によって、景観の表現方法が異なるというのが写真の感性だろう。
図2.絞りf/16
かっての京セラコンタックス・プラナーのように、何でも彩度の高い暖色にしてしまうのとは対極的に、コシナ製は大変クールで寒色系が際立つ写り方だ。一口にツァイスといっても随分と写り方が異なる。
ところでニコンDfが、昨年11月に生産終了。7年間製造されたとあるので息の長い機材だった。なんだ私が買ったときより価格が値上がりしているではないか。残るはWEBサイトに愚作のカメラばかりが並んでもう魅力皆無。私的にDfはニコンF3とが、操作が類似しているのでストレスもなく同時に使うことができる。コシナ・ツァイスレンズと一緒に、これからも一緒に使い続けるだろう。
京都市内 2020年12月18日
SONYα6000、Carl Zeiss Vario-Tessar E 4/16-70mm
1)ISO1600,焦点距離59mm,露出補正1/3,f/8,1/25
Nikon Df,CarlZeiss Planar,f1.4/50mmT*ZF
2)ISO100、露出補正0、f/2.8、1/250
3)ISO100、露出補正0,、f/4、1/500
4)ISO100、露出補正0、f/4、1/640
5)ISO100、露出補正+0.7、f/8、1/320
6)ISO2000、露出補正0、f/1.4、1/640
図1)ISO100、露出補正0、f/1.4、1/1000
図2)ISO100、露出補正0、f/2.8、1/400
図3)ISO100、露出補正0、f/16、1/10