Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

PEN LIFE464. 美の基準

2012年09月15日 | field work
 郡上八幡の街を歩くと、水路を活かしたアーバンデザインのしつらえがしてある。ちゃんと街のデザインの必要性がわかっているんだと思いながら通り過ぎた。時間が経過し、これは街の風景によく溶け込んでいる。困ったことに最近こうした公共空間のデザインに力を注ぐ自治体が大変少ないようだ。
 現在の集客トレンドは費用のかからないイベントやコミュニティづくりに移行したけど、 実はもっと街の建築を魅力的にしなければ集客は望めない街が日本には数多い。そういうことは、ヨーロッパに出かけてみればよくわかる。例えばフランス・プロバンス地方の田舎などは建築や風景を含む田舎の街全体が大変美しく、そして昔からの素朴さがある。観光客は、そうした美しい街の中で、古い民家を堪能し美味しい料理を食べに訪れるのである。
 だから現在の日本の田舎は、美しい街という点では大いに未完成だ。それに加え美味しい料理も、大半が紋切り型のメニューであり、料理人の創意工夫が皆無だ。郡上八幡は鮎が採れるが、おしなべて焼いただけの鮎塩焼き定食一本槍では全く芸がないといってよい。もっと驚いたのは、本来海の幸の鰻が山の街にあったりして、あれなんだろうか。
 フランス料理の鮎などを見てもらえばわかるが、実に多くの調理方法があるし、それに大変美味しい。
 そういうことを考えれば、日本の田舎は、まだまだ美の磨き方が足りないし、おいしく多彩な料理も実は大変少ないと言える。私達は、美しい素朴な風景のなかで、創意工夫された美味しい料理を食べて、美酒に酔いしれたいのである。 それが田舎を訪れる私達の美の基準なのである。
 つまり日本の田舎にないもの、それは街と料理の美の基準、そしてホスピタリティーあるユーモアだろうね。

郡上八幡,2012年9月13日
OLYMPUS OM-D E-M5,M.ZUIKO DG14-150mm.F4.0-5.6,
ISO200,焦点距離39mm,露出補正-0.3,f7.1,1/160,リーニュクレール
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