Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

PEN LIFE809. 完成度の高い吉野家の牛丼

2013年12月07日 | Kyoto city
 先日日経MJ新聞で、牛丼の吉野家の厨房体験記事をよんだ。それで思い出したのだが、昔吉野家の厨房を垣間見た記憶がある。一応デザインの仕事をしているから、厨房の基本的な構成というのは理解しているのだが、そういう眼からみて特異だった記憶がある。
 日経MJの体験記事は、牛丼を一番美味しい状態で提供できる厨房の設えであり、言い換えれば牛丼以外のものをつくることができない厨房システムでもあり、それは大変合理的な構成になっている。そして美味しく食べられる時間というのは、限りがある。だから価格を下げてでも多くの人に食べに来てもらいたいというのが、吉野家の意図だとまとめていた。私の理解を裏付けするような記事である。
 そういえば、過去に牛肉輸入問題で、アメリカ産牛肉がはいってこなくなった時期に、牛丼が提供できなかったことがあった。アメリカ産牛肉でなければ生み出せない吉野家独特の味なのであろう。それだけ味の完成度が大変高いということになる。
 そうか、つつしんで感謝していただかなければならない料理だ。そんな完成度の高い料理が、学食よりも安い僅か280円で食べられるという信じがたい状況になった。そして最近牛鍋も登場した。特異な厨房システムを変えずに、そのメニューを一つつくるだけで大変なことだったのだろうと推測する。
 だから、一流レストランで食事したのと同じぐらいに、大変完成度の高い吉野家の牛丼であることを、もっと誇りに思っていただいてもよいと私は思う。料理の上手だった家のお袋も、おいしいと言っていた吉野家の牛丼である。

京都市・南禅寺三門
OLYMPUS PEN E-PM2,M.ZUIKO DG 12mmF2
ISO200,露出補正-0.3.f5.6,1/640
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