

ハドソン川の奇跡 Miracle on the Hudson

トムハンクス主演の ハドソン川の奇跡 DVD みたが 面白かった。
2009年1月15日午後ニューヨークの空港を離陸直後 カナダガンの群のバードストライクで全エンジンが停止した155名満席の旅客機を冬のハドソン川にかろうじて着水させ全乗客の命を救った名パイロットが 突然 英雄扱いから 引きずりおろされそうになる。
エンジン停止後ただちに反転すれば危険な川に着水することなく安全にもときた滑走路に着陸できたはずだという コンピューターシミュレーションの結果がでたのだ。
後半、聴聞会ではトムハンクス演じるサリー機長はどうでるのだろうか。
といった最後は感動の物語というより航空マニアの私から見れば実はやたらとアホっぽい結末。
彼をなんとか英雄から引き下ろしたいという事故調のいやらしい顔つきの委員たち( 真実の追究というより背景にねたみそねみありを想定させる禿の調査委員は good casting )が動かぬ証拠として提示したコンピューターシミュレーションの動画を見て、ベテランサリー機長は アホかこの素人ども と思ったことだろう。
サリー機長にそのアホさを淡々と指摘され、鬼の頸でもとったように振る舞っていた事故調委員たちはあっさりと負けを認めたというおそまつ話。
しかしここに至る長い経過を色々な刺激的な映像を取り入れながらドラマ仕立てのドキュメント風エンターテインメントに編集して描いており老監督クリントイーストウッドはますます冴えている。
私は 2009年のこの事故をテレビや新聞で見て、アメリカにはすごいパイロットがいるもんだと感心したのを覚えている。
しかし、その後こんなドタバタドラマがあったとは露知らなかった。
一見科学的とされるコンピューターシミュレーションが いかに機械的・恣意的なものであるか、実は人間というすばらしい生き物の総合能力を無視しているものであったといった科学万能時代に警鐘といった物語と取れないこともない映画。
考えすぎかな。
このUS エアウェイズ1549便不時着水事故は全経過が既にウィキペディアにも詳細に収録されており、いまさらネタばれもないが、これを見ないで映画を見た方が無難かも。
実はこの1週間前に ブリッジオブスパイ という米ソ冷戦最高潮の時代に米国で逮捕されたソビエトの老スパイと、ソビエト上空で撃墜され捕まった高性能スパイ機U2 のパイロットとの交換劇(実話)を映画化した DVD をみたが、主演はこれもトムハンクスであった。
この映画ではトムハンクス扮する弁護士は やたらとよく喋るのだが ハドソン川の奇跡での サリー機長は かなり寡黙な人に描かれていて、とても対象的でした。
内容は重く、ハドソン川の奇跡 と較べるとドッと疲れる映画でした。
ブリッジオブスパイでは航空マニアの私としては謎が多かった本物のU2スパイ機の勇姿をみれたのが嬉しかった。

