日本公演でウィスキー片手にヘロヘロで吹いたデクスター・ゴードン、サックスと酒を交互に口に運ぶズート・シムズ、夫人ローリーの目を盗んで一気に飲むアート・ ペッパー、そのペッパーも飲み負けたというジューン・クリスティ、酒をいっときもはなせないジャズメンがいる。ベイシー楽団で活躍した先輩のジョー・ジョーンズと混同しないように出身地のフィラデルフィアから取ってフィリー・ジョー・ジョーンズと呼ばれたドラマーもそのひとりで、クラブで演奏中に軽く2,3本のボトルを空けるという。
レッド・ガーランド、ポール・チェンバースと組んだザ・リズム・セクションは、オールド・ベイシーのオール・アメリカン・リズム・セクションに匹敵するほどの一糸乱れぬチームワークを誇っていた。このトリオの存在がマイルス・クインテットの黄金時代を支え、ジャズ史に残る名演を生んだといっても過言ではない。僅か2日でアルバム4枚分の録音を行った伝説のマラソン・セッションでマイルスは、ガーランドにアーマド・ジャマルのように弾けと言うほど厳しい要求をしたが、リズムの要ともいうべきドラムにも細かい指示を出したと思われる。その我儘ともいえる要求を満足させることができたのがフィリー・ジョーである。
「ドラムス・アラウンド・ザ・ワールド」は、サイドにリー・モーガン、ブルー・ミッチェル、カーティス・フラー、キャノンボール・アダレイ、ベニー・ゴルソン、ハービー・マン、ウイントン・ケリー等、さながらブルーノートとリバーサイド選抜のオールスター編成アルバムだ。タイトルの如く世界のリズムに挑んだ作品で、シンバル・レガートを刻みながらスネアで8分音符を入れ、バスドラでアクセントを付ける多彩なドラミングが展開される。決して派手さもなく華麗でもない、むしろオーソドックスなスタイル、それはグレッチのドラムとジルジャンのシンバルという定番楽器からもうかがえるが、ドラムセットの小宇宙を隈無く表現するテクニックは全てのドラマーの手本といえるだろう。
演奏中にクラブのボトルを数本空けたフィリーがステージを終え、店にギャラを要求したところ、オーナーにギャラ以上に飲んでいるので払えないと言われた。飲み足りないフィリーは、それでもギャラをよこせとナイフを出して脅したが、オーナーは無言でピストルを出したという。さすがのフィリー・ジョーも、「ジョー談だよ」とナイフを下げたそうだ。日本なら銃刀法違反だが、フィリーはいつもナイフを持ち歩いているらしい。脅すためではなく、いつでもボトルのキャップを開けれるように。
レッド・ガーランド、ポール・チェンバースと組んだザ・リズム・セクションは、オールド・ベイシーのオール・アメリカン・リズム・セクションに匹敵するほどの一糸乱れぬチームワークを誇っていた。このトリオの存在がマイルス・クインテットの黄金時代を支え、ジャズ史に残る名演を生んだといっても過言ではない。僅か2日でアルバム4枚分の録音を行った伝説のマラソン・セッションでマイルスは、ガーランドにアーマド・ジャマルのように弾けと言うほど厳しい要求をしたが、リズムの要ともいうべきドラムにも細かい指示を出したと思われる。その我儘ともいえる要求を満足させることができたのがフィリー・ジョーである。
「ドラムス・アラウンド・ザ・ワールド」は、サイドにリー・モーガン、ブルー・ミッチェル、カーティス・フラー、キャノンボール・アダレイ、ベニー・ゴルソン、ハービー・マン、ウイントン・ケリー等、さながらブルーノートとリバーサイド選抜のオールスター編成アルバムだ。タイトルの如く世界のリズムに挑んだ作品で、シンバル・レガートを刻みながらスネアで8分音符を入れ、バスドラでアクセントを付ける多彩なドラミングが展開される。決して派手さもなく華麗でもない、むしろオーソドックスなスタイル、それはグレッチのドラムとジルジャンのシンバルという定番楽器からもうかがえるが、ドラムセットの小宇宙を隈無く表現するテクニックは全てのドラマーの手本といえるだろう。
演奏中にクラブのボトルを数本空けたフィリーがステージを終え、店にギャラを要求したところ、オーナーにギャラ以上に飲んでいるので払えないと言われた。飲み足りないフィリーは、それでもギャラをよこせとナイフを出して脅したが、オーナーは無言でピストルを出したという。さすがのフィリー・ジョーも、「ジョー談だよ」とナイフを下げたそうだ。日本なら銃刀法違反だが、フィリーはいつもナイフを持ち歩いているらしい。脅すためではなく、いつでもボトルのキャップを開けれるように。