ラジオからヘレン・メリルのユービーソーが流れてきた。来年4月に決まったメリル札幌公演のチケット先行発売の宣伝だ。この曲を聴くと反射的に思い浮かべるのはあの官能的なジャケットで、聴かずとしてジャケットからは溜め息が聴こえてくる。微かな吐息さえ捉えるノイマンのコンデンサーマイクに、EmArcyのレーベルロゴ、あの有名なジャケットに構図が似ているアルバムが最近発売された。
「夜のアルバム」という。歌っているのは演歌の女王で、銀座のナイトクラブで歌い始めた頃を思い出して作ったそうだ。「サマータイム」や「枯葉」というスタンダードに加え、クラブシンガーなら酔客のリクエストに応え、必ず歌わなければならない曲も入っている。それは薄野のシンガーなら「ブルー・ナイト・イン札幌」、大阪なら「宗右衛門町ブルース」、そして銀座なら「ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー」だ。毎晩のように歌ったであろうその選曲は、オーディション番組「全日本歌謡選手権」で10週連続勝ち抜いてチャンピオンに輝く前の一番辛い時代でありながら一番楽しかった時代を思い出してのことかもしれない。
似ているといえばこの「ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー」もかつて盗作騒ぎを起こした曲である。この曲が発表されたのは1963年で、作曲したのは当時TBSに勤めていた鈴木道明氏だが、1934年の映画「ムーランルージュ」の主題歌でハリー・ウォレンが作曲した「The Boulevard of Dreams」、邦題「夢破れし並木路」に似ていると指摘があったことから裁判にまでなった曲だ。最終的に最高裁まで争われたが盗作ではなく偶然の一致、という判決が下された。疑惑があったにせよ日野てる子をはじめ和田弘とマヒナスターズ、越路吹雪、西田佐知子等々、多くの競作を生んだ魅力的な歌に変わりはない。
このアルバムにはメリルも賞賛のコメントを寄せていたが、ここまでジャケットを似せるのならメリルのように顔を歪め、ユービーソーも入れて欲しかった。そこまで似せても小西康陽氏のプロデュースなら誰も文句を言わないだろうし、八代亜紀がただの演歌歌手ではないことを知っている人は喜び、メリルのファンは納得する。そしてメリル本人は、この曲を歌ってくれて嬉しいわ、と言うだろう。
「夜のアルバム」という。歌っているのは演歌の女王で、銀座のナイトクラブで歌い始めた頃を思い出して作ったそうだ。「サマータイム」や「枯葉」というスタンダードに加え、クラブシンガーなら酔客のリクエストに応え、必ず歌わなければならない曲も入っている。それは薄野のシンガーなら「ブルー・ナイト・イン札幌」、大阪なら「宗右衛門町ブルース」、そして銀座なら「ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー」だ。毎晩のように歌ったであろうその選曲は、オーディション番組「全日本歌謡選手権」で10週連続勝ち抜いてチャンピオンに輝く前の一番辛い時代でありながら一番楽しかった時代を思い出してのことかもしれない。
似ているといえばこの「ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー」もかつて盗作騒ぎを起こした曲である。この曲が発表されたのは1963年で、作曲したのは当時TBSに勤めていた鈴木道明氏だが、1934年の映画「ムーランルージュ」の主題歌でハリー・ウォレンが作曲した「The Boulevard of Dreams」、邦題「夢破れし並木路」に似ていると指摘があったことから裁判にまでなった曲だ。最終的に最高裁まで争われたが盗作ではなく偶然の一致、という判決が下された。疑惑があったにせよ日野てる子をはじめ和田弘とマヒナスターズ、越路吹雪、西田佐知子等々、多くの競作を生んだ魅力的な歌に変わりはない。
このアルバムにはメリルも賞賛のコメントを寄せていたが、ここまでジャケットを似せるのならメリルのように顔を歪め、ユービーソーも入れて欲しかった。そこまで似せても小西康陽氏のプロデュースなら誰も文句を言わないだろうし、八代亜紀がただの演歌歌手ではないことを知っている人は喜び、メリルのファンは納得する。そしてメリル本人は、この曲を歌ってくれて嬉しいわ、と言うだろう。