スティーヴ・グロスマンを初めて聴いたのはマイルスのフィルモア・ライブ盤だ。録音された1970年当時、ジャズ誌でウェイン・ショーターの後釜として加入する無名のサックス奏者が話題だった。マイルスが連れてくるのは一体どんな奴だろう?驚いたことに18歳だという。リー・モーガンやトニー・ウィリアムスの例をみるまでもなく、10代でデビューするのは珍しくないが、小生とほぼ同世代となれば親近感もわく。
正しい聴き方とはいえないが、どうしても前任と比べたくなる。ライブ、それも大物との共演となれば緊張するのだろう、キーを押さえる指先の湿りをも感じるプレイだ。ショーターのような起伏はないもののストレートに吹くソプラノの音はバンドのサウンドを踏襲しているとはいえ、音楽的には親分が目指しているものとズレがあり、全体と馴染めない感がある。その後の録音でもその印象が拭えないころリリースされたのは、エルヴィン・ジョーンズの「Merry-Go-Round」、「Mr. Jones」そして「Live at the Lighthouse」。このライブが凄かった。エルヴィンのポリリズムに煽られて暴れまくるのだ。
この時期からテナー・サックスを吹いているのだが、コルトレーン・スタイルをベースに豪快に吹きまくる。その激しさは失った時代を取り戻すようで気持ちよかった。順調にリーダー作を作っているが、なかでも貴重な録音は2000年の「Steve Grossman with Michael Petrucciani」だろう。残念なことにペトルチアーニ最後のスタジオ録音になったからだ。二つの才能がぶつかりながら融和していく様はドラマティックで、「Ebb Tide」に始まり、「You Go To My Head」や「Body & Soul」、「Don't Blame Me」をはさみ「In A Sentimental Mood」で終わる。バラード表現はこうだよと言わんばかりだ。
フィルモアのライブは伝統を重んじるジャズファンからブーイングにあう一方、ロックファンからは歓迎された。電化マイルスは賛否両論だが、70年代のジャズシーンを変えたことは事実だ。グロスマンがマイルス・バンドをいち早く抜けたのは音楽的不適合もあるが時代の先を行っていたようにも見える。このライブで電気を使っていたチック・コリアもキース・ジャレットもデイヴ・ホランドも次第にアコースティックに回帰していく。
正しい聴き方とはいえないが、どうしても前任と比べたくなる。ライブ、それも大物との共演となれば緊張するのだろう、キーを押さえる指先の湿りをも感じるプレイだ。ショーターのような起伏はないもののストレートに吹くソプラノの音はバンドのサウンドを踏襲しているとはいえ、音楽的には親分が目指しているものとズレがあり、全体と馴染めない感がある。その後の録音でもその印象が拭えないころリリースされたのは、エルヴィン・ジョーンズの「Merry-Go-Round」、「Mr. Jones」そして「Live at the Lighthouse」。このライブが凄かった。エルヴィンのポリリズムに煽られて暴れまくるのだ。
この時期からテナー・サックスを吹いているのだが、コルトレーン・スタイルをベースに豪快に吹きまくる。その激しさは失った時代を取り戻すようで気持ちよかった。順調にリーダー作を作っているが、なかでも貴重な録音は2000年の「Steve Grossman with Michael Petrucciani」だろう。残念なことにペトルチアーニ最後のスタジオ録音になったからだ。二つの才能がぶつかりながら融和していく様はドラマティックで、「Ebb Tide」に始まり、「You Go To My Head」や「Body & Soul」、「Don't Blame Me」をはさみ「In A Sentimental Mood」で終わる。バラード表現はこうだよと言わんばかりだ。
フィルモアのライブは伝統を重んじるジャズファンからブーイングにあう一方、ロックファンからは歓迎された。電化マイルスは賛否両論だが、70年代のジャズシーンを変えたことは事実だ。グロスマンがマイルス・バンドをいち早く抜けたのは音楽的不適合もあるが時代の先を行っていたようにも見える。このライブで電気を使っていたチック・コリアもキース・ジャレットもデイヴ・ホランドも次第にアコースティックに回帰していく。