「イースト・オブ・ザ・サン」の曲説明には必ずプリンストン大学のトライアングル・クラブが出てくる。明治大学マンドリン倶楽部のように三角形の打楽器であるトライアングルを合奏するサークルかと思ったが、そうではなく秋に学生たちが新作を発表し、冬休みの間アメリカ全土をツアーするミュージカル劇団だという。19世紀末に創設され今なお活動が続く名門で、この曲は1934年の出し物「Stags at Bay」に使われている。
当時学生だったブルックス・ボウマンが作詞作曲したもので、他の曲ではこのクラブの名は見ないので、クラブ史上最大の名曲といっていい。古くはトム・コークリー楽団でヒットし、チャーリー・パーカーが取り上げてからジャズメンの間に知れ渡り、インスト、ヴォーカル問わず多くのプレイヤーがレパートリーにしている。ロマンティックな歌詞は項を改めるが、メロディーもまた原題が「East of the sun and West of the moon」と続くように、太陽の輝きと月の美しさを併せ持つロマンティックなものだ。サックス奏者が好んで取り上げる曲で、パーカーをはじめ、「ウエスト・コースト・ジャズ」のスタン・ゲッツ、最近ではジョシュア・レッドマン等、古今東西名演が並ぶ。
通常バラードで演奏されるこの曲をミディアム・テンポで吹くのはズート・シムズで、ハリー・ビスのピアノ、クライド・ロンバルディのベース、そしてアート・ブレイキーのトリオをバックにワンホーンで快適にドライブする。51年当時、10吋盤片面に及ぶ11分の演奏は、中盤にテンポを落とし終わるかのように見せかけて再び熱を帯びたソロを延々と展開する面白い仕掛けで、終盤のブレイキーとのフォーバースもこれでもかというくらい両者譲らぬアイデアたっぷりの4小節を披露する。バラードやアップテンポでも味のあるズートだが、ミディアム・テンポで吹かせたらズートの右に出る人はいないだろう。
トライアングル・クラブの創設者は「偉大なるアンバーソン家の人々」で知られる作家のブース・ターキントンで、失われた世代を代表する作家、スコット・フィッツジェラルドも勉強が疎かになるほどこのクラブに熱中していたという。打楽器のトライアングルは頂点から対辺にピラミッドのように広がっているが、名門とは決して枠からはみ出さず少しずつ広がり、そしてトライアングルが2ヶ所の曲部を持った1本の棒であるように1本の伝統を貫くものかもしれない。
当時学生だったブルックス・ボウマンが作詞作曲したもので、他の曲ではこのクラブの名は見ないので、クラブ史上最大の名曲といっていい。古くはトム・コークリー楽団でヒットし、チャーリー・パーカーが取り上げてからジャズメンの間に知れ渡り、インスト、ヴォーカル問わず多くのプレイヤーがレパートリーにしている。ロマンティックな歌詞は項を改めるが、メロディーもまた原題が「East of the sun and West of the moon」と続くように、太陽の輝きと月の美しさを併せ持つロマンティックなものだ。サックス奏者が好んで取り上げる曲で、パーカーをはじめ、「ウエスト・コースト・ジャズ」のスタン・ゲッツ、最近ではジョシュア・レッドマン等、古今東西名演が並ぶ。
通常バラードで演奏されるこの曲をミディアム・テンポで吹くのはズート・シムズで、ハリー・ビスのピアノ、クライド・ロンバルディのベース、そしてアート・ブレイキーのトリオをバックにワンホーンで快適にドライブする。51年当時、10吋盤片面に及ぶ11分の演奏は、中盤にテンポを落とし終わるかのように見せかけて再び熱を帯びたソロを延々と展開する面白い仕掛けで、終盤のブレイキーとのフォーバースもこれでもかというくらい両者譲らぬアイデアたっぷりの4小節を披露する。バラードやアップテンポでも味のあるズートだが、ミディアム・テンポで吹かせたらズートの右に出る人はいないだろう。
トライアングル・クラブの創設者は「偉大なるアンバーソン家の人々」で知られる作家のブース・ターキントンで、失われた世代を代表する作家、スコット・フィッツジェラルドも勉強が疎かになるほどこのクラブに熱中していたという。打楽器のトライアングルは頂点から対辺にピラミッドのように広がっているが、名門とは決して枠からはみ出さず少しずつ広がり、そしてトライアングルが2ヶ所の曲部を持った1本の棒であるように1本の伝統を貫くものかもしれない。