「The night is like a lovely tune」の歌いだしから、「How white the ever constant moon」の歌詞が出てくる。「変わることのない月はどれくらい輝いてるのだろう」とでも訳すのだろうか。その変わることなく輝いている月が黒く見え、太陽をすっぽり隠した先日の皆既日食をご覧になったかたもあろう。太陽と月が織り成す天体の神秘は驚くばかりだが、地球上のどの地点で、いつ日食が起きるかを正確に割り出すのはさらに驚く。
歌詞は続く。「Take care my foolish heart」と。ネッド・ワシントン作詞の「マイ・フーリッシュ・ハート」である。何度も恋につまずいた女の子が、新しい恋に燃えながらも過去の失恋を思い出し、熱くならずに冷静になろうとしている女心の葛藤を描いた歌だ。作曲は数々の映画音楽を手がけているヴィクター・ヤングで、甘く切ないメロディは歌の主人公同様、恋のときめきでうっとりするほど美しい。49年の映画「愚かなりわが心」の主題歌で、翌年にビリー・エクスタインが歌ってヒットしたのを受け、同じ年にマーガレット・ホワイティングやゴードン・ジェンキスも録音し、同年のヒットチャートを独占した曲だった。
マーク・マーフィーも「Swingin' Singin' Affair」で、この名曲を恋する女の子の心情を映すかのようにドラマチックに歌い上げている。リバーサイド盤の「Rah!」で注目された歌手で、メルー・トーメに通じる洗練されたクールで粋な味わいがあり、レパートリーも幅が広く、このアルバムでもトニー・ベネットの十八番「霧のサンフランシスコ」や、ビートルズ・ナンバーの「シー・ラブズ・ユー」を取り上げているが、まるでマーフィーのために作られた曲と思うほどしっくりしている。どの曲もジャケット写真のようにときに激しく、ときにしっとりと歌い、グラミー賞に6度ノミネートされただけの歌唱力は、男性歌手不毛時代にあって皆既日食で見られるダイヤモンドリングのように一際輝いている。
太陽と月はすれ違い、重なり、どこか男と女に似ているが、用心してね、と「私のおバカな心」に向かって語りかけている女の子は、一歩踏み出しダイヤモンドリングで契りを結んだのだろうか。国内で皆既日食を観測できたのは46年ぶりで、次は26年後と契りが約束されている。約束できないのは男女の仲というが、「変わることのない月」ならぬ「変わることのない愛」なら、ダイヤモンドリングは一層輝くだろう。
歌詞は続く。「Take care my foolish heart」と。ネッド・ワシントン作詞の「マイ・フーリッシュ・ハート」である。何度も恋につまずいた女の子が、新しい恋に燃えながらも過去の失恋を思い出し、熱くならずに冷静になろうとしている女心の葛藤を描いた歌だ。作曲は数々の映画音楽を手がけているヴィクター・ヤングで、甘く切ないメロディは歌の主人公同様、恋のときめきでうっとりするほど美しい。49年の映画「愚かなりわが心」の主題歌で、翌年にビリー・エクスタインが歌ってヒットしたのを受け、同じ年にマーガレット・ホワイティングやゴードン・ジェンキスも録音し、同年のヒットチャートを独占した曲だった。
マーク・マーフィーも「Swingin' Singin' Affair」で、この名曲を恋する女の子の心情を映すかのようにドラマチックに歌い上げている。リバーサイド盤の「Rah!」で注目された歌手で、メルー・トーメに通じる洗練されたクールで粋な味わいがあり、レパートリーも幅が広く、このアルバムでもトニー・ベネットの十八番「霧のサンフランシスコ」や、ビートルズ・ナンバーの「シー・ラブズ・ユー」を取り上げているが、まるでマーフィーのために作られた曲と思うほどしっくりしている。どの曲もジャケット写真のようにときに激しく、ときにしっとりと歌い、グラミー賞に6度ノミネートされただけの歌唱力は、男性歌手不毛時代にあって皆既日食で見られるダイヤモンドリングのように一際輝いている。
太陽と月はすれ違い、重なり、どこか男と女に似ているが、用心してね、と「私のおバカな心」に向かって語りかけている女の子は、一歩踏み出しダイヤモンドリングで契りを結んだのだろうか。国内で皆既日食を観測できたのは46年ぶりで、次は26年後と契りが約束されている。約束できないのは男女の仲というが、「変わることのない月」ならぬ「変わることのない愛」なら、ダイヤモンドリングは一層輝くだろう。