ビリー・ホリデイのドキュメンタリー「Billie ビリー」を観た。不世出のジャズ・シンガーに魅せられた女性ジャーナリスト、リンダ・リプナック・キュールが、関係者にインタビューしたテープを元に制作された作品だ。取材は1971年頃から10年間費やし、記録したカセットテープは125本にも及ぶという。紹介される証言はほんの一部にしか過ぎないが生々しい。
インタビューに応じたのは共演したミュージシャンをはじめプロモーターのジョン・ハモンド、親族、彼女を逮捕した麻薬捜査官、刑務所の職員と多岐にわたる。ほとんどの証言は、ビリーの自伝「奇妙な果実」(晶文社刊)と合致する内容だが、なかには怪しい話もある。ビリーの死後10年以上経っているので記憶が曖昧な人もいれば、自分に都合悪いことは録音させない音楽関係者に、あたかも人種に偏見がないと誇張する白人ミュージシャンもいた。もしビリーが生きていたら言えないことばかりだ。
印象強かったものをいくつか挙げておこう。敢えて証言者の名前は伏せるが、ビリーがベニー・グッドマンと録音した経緯は事実だとしたら驚きだ。「死んだ人のことは言えない」と断ったカーメン・マクレイに惚れ直した。歌唱シーンではお互い「Lady」、「President」と呼び合う仲のレスター・ヤングとの共演が素晴らしい。YouTubeに既に紹介されているのでご覧になった方も多いと思われるが、マル・ウォルドロンをバックに「奇妙な果実」を歌うシーンは感涙ものだ。今回カラー化され画像処理をしているので曲に込められた感情も見て取れる。
この映画はビリーのドキュメンタリーであると同時に自殺に見せかけた他殺体で発見されたリンダの記録でもある。証言のなかには暴露されては困るものもあったようでリンダの妹によると脅迫もされたようだ。芸能界に巣食うギャングと麻薬の利権、そこに癒着する捜査官、更に人種差別、アメリカの深い闇を生きたビリーは最高のシンガーだ。
インタビューに応じたのは共演したミュージシャンをはじめプロモーターのジョン・ハモンド、親族、彼女を逮捕した麻薬捜査官、刑務所の職員と多岐にわたる。ほとんどの証言は、ビリーの自伝「奇妙な果実」(晶文社刊)と合致する内容だが、なかには怪しい話もある。ビリーの死後10年以上経っているので記憶が曖昧な人もいれば、自分に都合悪いことは録音させない音楽関係者に、あたかも人種に偏見がないと誇張する白人ミュージシャンもいた。もしビリーが生きていたら言えないことばかりだ。
印象強かったものをいくつか挙げておこう。敢えて証言者の名前は伏せるが、ビリーがベニー・グッドマンと録音した経緯は事実だとしたら驚きだ。「死んだ人のことは言えない」と断ったカーメン・マクレイに惚れ直した。歌唱シーンではお互い「Lady」、「President」と呼び合う仲のレスター・ヤングとの共演が素晴らしい。YouTubeに既に紹介されているのでご覧になった方も多いと思われるが、マル・ウォルドロンをバックに「奇妙な果実」を歌うシーンは感涙ものだ。今回カラー化され画像処理をしているので曲に込められた感情も見て取れる。
この映画はビリーのドキュメンタリーであると同時に自殺に見せかけた他殺体で発見されたリンダの記録でもある。証言のなかには暴露されては困るものもあったようでリンダの妹によると脅迫もされたようだ。芸能界に巣食うギャングと麻薬の利権、そこに癒着する捜査官、更に人種差別、アメリカの深い闇を生きたビリーは最高のシンガーだ。