「ガール・オン・ザ・トレイン」という映画を観た。ポーラ・ホーキンズという作家は知らないが、書店に原作本がうず高く積まれていたのを覚えている。「女性向けのサスペンス小説、大ベストセラー」と恋愛もののような可愛らしい文字のポップが付いていた。さすがに本は手に取る気にならないが、映画となれば興味がわく。タイトルからは行く先を決めず傷心の旅に出る若い女性をイメージするが、大人の男女6人が織りなす愛憎劇で、現実と妄想、現在と過去が入り交ざるスリリングな展開だ。
映画のタイトルがアルバム・タイトルでも何ら違和感がないジャケットがあった。レイ・ブライアントの「Lonesome Traveler」だ。ブライアントといえばピアノトリオの傑作として知られる1957年のプレスティッジ盤や、幻の名盤と騒がれた59年のシグネイチャー「Plays」、コロムビアの「Little Susie」等で特に日本でも人気のあるピアニストだが、60年代はほとんど話題にならない。レコードも出しているのだが、「Sue」と「Cadet」という地味なレーベルのため輸入盤も入ってこなければ、日本盤が出るケースも少なかった。また、ビッグネイムとの共演も65年のロリンズ「on Impulse」1枚にとどまっている。
そんな不遇の60年代でもこのアルバムはジャズ喫茶で人気があった。カデットの前作「Gotta Travel On」あたりからジャズロックだのコマーシャルだのと批判もされていたが、芸術としてのジャズ論を離れるといつの時代もリズミカルなものが受け入れられるし、ナンシー・シナトラの大ヒット曲「にくい貴方」という選曲もセールを伸ばすためには仕方がない。クラーク・テリーとスヌーキー・ヤングが参加しているもののホーンアンサンブルだけでソロを聴かれないのは少々不満が残るが、ブライアントのピアノはいつもながらに明朗快活だ。自作曲「Cubano Chant」の輝きが72年のモントルーの大抜擢につながっているのを聴き逃してはならない。
この映画、主要な登場人物は6人なのだが、展開が早くて相関図が分かりにくいのが難だ。それを見越しているのかチラシに関係が詳しく解説されている。原作を読んでいない方は事前に調べてから観ると謎解きが早いだろう。勿論いきなり映画館に入っても楽しめる。チラシに「初めて体験する衝撃のラストに激震」とある。推理できてもモヤモヤしたままでもラストは戦慄する。げに女は恐ろしい。
映画のタイトルがアルバム・タイトルでも何ら違和感がないジャケットがあった。レイ・ブライアントの「Lonesome Traveler」だ。ブライアントといえばピアノトリオの傑作として知られる1957年のプレスティッジ盤や、幻の名盤と騒がれた59年のシグネイチャー「Plays」、コロムビアの「Little Susie」等で特に日本でも人気のあるピアニストだが、60年代はほとんど話題にならない。レコードも出しているのだが、「Sue」と「Cadet」という地味なレーベルのため輸入盤も入ってこなければ、日本盤が出るケースも少なかった。また、ビッグネイムとの共演も65年のロリンズ「on Impulse」1枚にとどまっている。
そんな不遇の60年代でもこのアルバムはジャズ喫茶で人気があった。カデットの前作「Gotta Travel On」あたりからジャズロックだのコマーシャルだのと批判もされていたが、芸術としてのジャズ論を離れるといつの時代もリズミカルなものが受け入れられるし、ナンシー・シナトラの大ヒット曲「にくい貴方」という選曲もセールを伸ばすためには仕方がない。クラーク・テリーとスヌーキー・ヤングが参加しているもののホーンアンサンブルだけでソロを聴かれないのは少々不満が残るが、ブライアントのピアノはいつもながらに明朗快活だ。自作曲「Cubano Chant」の輝きが72年のモントルーの大抜擢につながっているのを聴き逃してはならない。
この映画、主要な登場人物は6人なのだが、展開が早くて相関図が分かりにくいのが難だ。それを見越しているのかチラシに関係が詳しく解説されている。原作を読んでいない方は事前に調べてから観ると謎解きが早いだろう。勿論いきなり映画館に入っても楽しめる。チラシに「初めて体験する衝撃のラストに激震」とある。推理できてもモヤモヤしたままでもラストは戦慄する。げに女は恐ろしい。