♪ I'm as restless as a willow in a windstorm~When it isn't even spring 「春の如く」の一節である。5月も終りだというのに今頃この曲かい?と笑われそうだが、年中頭の中は春の陽気の小生でも春とは思えない冷たい風は身体に沁みる。先週はオホーツク海側で雪が降ったというが、例年にない寒い春を迎えた。これだけ寒いと歌詞のように春なのに春ではないと錯覚し、嵐の中の柳のように何だか落ち着かない。
リチャード・ロジャースはロレンツ・ハートとの共同作業で数々のヒット曲を送り出したが、ハートを亡くしたあとオスカー・ハマースタイン2世と組んだコンビでも後世に残る曲を作っている。1945年の映画「ステート・フェア」のために書かれた「春の如く」は、同年のアカデミー主題歌賞を受賞したほどの傑作で、春になると陽気に誘われてつい口ずさみたくなるメロディだ。ハートとの仕事ではロジャースが先に作曲をする方式をとっていたが、ハマースタインに変わってからは歌詞が先で、それに曲を付けるようになったそうだ。何もヒントがないとろこから生み出すのが創造力なら、歌詞からイメージを膨らますのが想像力で、ともに優れた感性がないと名曲は生まれない。
多くの名唱が脳裏をかすめるが、先月発売された「リッスン・ヒア」でスー・レイニーがこの曲を歌っていて、現時点では最も新鮮な春の風だ。ヴォーカルとアラン・ブロードベントのピアノという最小のフォーマットながらレイニーの魅力を最大限にひき出している。アランの低音を活かした短いイントロに音を重ねるような歌いだしはデュオの美を見るようだし、圧巻は中間部におけるスキャットで春風に乗って気持ちよく飛ぶ小鳥のさえずりのようだ。そしてまだ仕掛けがある。ラストで「Spring Will Be a Little Late This Year」「魅せられて」「アイ・ラヴ・パリ」「春が来たのに」から一節ずつ引用し、春に彩を添える小粋さだ。
女性の年齢を記すのは甚だ失礼ではあるが、レイニーは録音時70歳である。とてもそんな年齢とは思えないほど声は若々しい。名盤「雨の日のジャズ」をキャピトルに残したあと、インペリアルでポップスに挑み、ディスカヴァリーでは自ら作詞作曲もしたりと意欲的だ。いつの春もその年だけの新鮮な春の空気を吸い込むことで身体の中から若返らせ、春の陽射しを浴びることで声の健康を保てのだろう。さぁ、外に出て春の息吹を感じてみよう。スーっとする。
リチャード・ロジャースはロレンツ・ハートとの共同作業で数々のヒット曲を送り出したが、ハートを亡くしたあとオスカー・ハマースタイン2世と組んだコンビでも後世に残る曲を作っている。1945年の映画「ステート・フェア」のために書かれた「春の如く」は、同年のアカデミー主題歌賞を受賞したほどの傑作で、春になると陽気に誘われてつい口ずさみたくなるメロディだ。ハートとの仕事ではロジャースが先に作曲をする方式をとっていたが、ハマースタインに変わってからは歌詞が先で、それに曲を付けるようになったそうだ。何もヒントがないとろこから生み出すのが創造力なら、歌詞からイメージを膨らますのが想像力で、ともに優れた感性がないと名曲は生まれない。
多くの名唱が脳裏をかすめるが、先月発売された「リッスン・ヒア」でスー・レイニーがこの曲を歌っていて、現時点では最も新鮮な春の風だ。ヴォーカルとアラン・ブロードベントのピアノという最小のフォーマットながらレイニーの魅力を最大限にひき出している。アランの低音を活かした短いイントロに音を重ねるような歌いだしはデュオの美を見るようだし、圧巻は中間部におけるスキャットで春風に乗って気持ちよく飛ぶ小鳥のさえずりのようだ。そしてまだ仕掛けがある。ラストで「Spring Will Be a Little Late This Year」「魅せられて」「アイ・ラヴ・パリ」「春が来たのに」から一節ずつ引用し、春に彩を添える小粋さだ。
女性の年齢を記すのは甚だ失礼ではあるが、レイニーは録音時70歳である。とてもそんな年齢とは思えないほど声は若々しい。名盤「雨の日のジャズ」をキャピトルに残したあと、インペリアルでポップスに挑み、ディスカヴァリーでは自ら作詞作曲もしたりと意欲的だ。いつの春もその年だけの新鮮な春の空気を吸い込むことで身体の中から若返らせ、春の陽射しを浴びることで声の健康を保てのだろう。さぁ、外に出て春の息吹を感じてみよう。スーっとする。