今月の初めに「It's Been A Long, Long Time」を話題にした。作詞家のサミー・カーンが、複数のバージョンが大ヒットしたことで、もっとも収益が多かったと言った曲である。映画の主題歌やシナトラの曲を数多く手掛けているだけに当たりもあれば外れもあるわけだが、全く売れなかった曲は何だろう。不発なら誰もカバーしない埋もれた曲に違いないから、それを当てろというのは無理な話だ、という声が聞えてきそうだが・・・
男なら喜んで教えたくなるようなことを歌っている「Teach Me Tonight」である。その曲なら多くのカバーがあるので、これが不発なら当たり曲の印税は天文学的数字になるのではないか?そう突っ込まれそうだが、これは1954年にABCパラマウント盤「Special Delivery」で知られるジャネット・ブレイスが、デッカから出したときの話だ。さっぱり売れなかったブレイス盤だったが、この曲に火が付いたのは出版してから2年後にデ・カストロ・シスターズというコーラス・グループが歌ってからで、追っかけジョー・スタッフォードも録音している。当然、スター・シンガーが歌うとヒットにつながり、以降カバーも増えた。
「カレント」というアルバムでこの曲を取り上げているのは石野見幸だ。7年ほど前に、がんと闘いながらステージに立つジャズシンガーとしてテレビで紹介されたのでご覧になった方もいるだろう。2007年11月に35歳という若さで亡くなられたが、その1年前の2006年10月に録音されたものだ。おそらく激痛に耐えながらの吹き込みと思われるが、そんな影響は微塵も感じない。むしろ今日を、この瞬間を歌うことで元気になるというエネルギッシュな歌唱だ。思いっきりやれよ、というエールを送る大石学のピアノに押されて、病院ではなくスタジオでマイクに向かっているという喜びが伝わってくる。
不発の「Teach Me Tonight」のブレイス盤はどの位売れたのか気になる方のために付け加えておこう。カーンの自伝によると、「買ったのは僕と作曲のジーン・ド・ポールと曲を歌ったデッカの女の子だけだった」と。当時はたった3枚しか売れなかったレコードもダイナ・ワシントンをはじめナンシー・ウィルソン、サミー・ディヴィスJr、ヘレン・メリル、アン・マーグレット、ブロッサム・ディアリー等々枚挙にいとまがないほど多種の音源がある。読者のレコード棚には3枚以上の収録レコードがあるに違いない。
男なら喜んで教えたくなるようなことを歌っている「Teach Me Tonight」である。その曲なら多くのカバーがあるので、これが不発なら当たり曲の印税は天文学的数字になるのではないか?そう突っ込まれそうだが、これは1954年にABCパラマウント盤「Special Delivery」で知られるジャネット・ブレイスが、デッカから出したときの話だ。さっぱり売れなかったブレイス盤だったが、この曲に火が付いたのは出版してから2年後にデ・カストロ・シスターズというコーラス・グループが歌ってからで、追っかけジョー・スタッフォードも録音している。当然、スター・シンガーが歌うとヒットにつながり、以降カバーも増えた。
「カレント」というアルバムでこの曲を取り上げているのは石野見幸だ。7年ほど前に、がんと闘いながらステージに立つジャズシンガーとしてテレビで紹介されたのでご覧になった方もいるだろう。2007年11月に35歳という若さで亡くなられたが、その1年前の2006年10月に録音されたものだ。おそらく激痛に耐えながらの吹き込みと思われるが、そんな影響は微塵も感じない。むしろ今日を、この瞬間を歌うことで元気になるというエネルギッシュな歌唱だ。思いっきりやれよ、というエールを送る大石学のピアノに押されて、病院ではなくスタジオでマイクに向かっているという喜びが伝わってくる。
不発の「Teach Me Tonight」のブレイス盤はどの位売れたのか気になる方のために付け加えておこう。カーンの自伝によると、「買ったのは僕と作曲のジーン・ド・ポールと曲を歌ったデッカの女の子だけだった」と。当時はたった3枚しか売れなかったレコードもダイナ・ワシントンをはじめナンシー・ウィルソン、サミー・ディヴィスJr、ヘレン・メリル、アン・マーグレット、ブロッサム・ディアリー等々枚挙にいとまがないほど多種の音源がある。読者のレコード棚には3枚以上の収録レコードがあるに違いない。