DVDが商用化されてから早や10年経ち、今ではコンビニ、雑貨店どこにでも置いている。書店にも並んでいて背のタイトルを追ううちケイリー・グラント主演の映画「夜も昼も」を見つけた。作曲家コール・ポーターの半生を描いた46年公開作品で、題名は記憶にあったものの観るのは初めてのことだ。DVD発売当初5000円だったものが、旧作はワンコイン500円で楽しめる。
映画「夜も昼も」は、最もアメリカ的センスを持つポーターの作品を鏤めながら作曲家としての苦悩と成功を描いた作品で、当時の映画らしくボーイ・ミーツ・ガール・ストリー仕立てだ。名曲「夜も昼も」の印象的なヴァース部分「beat beat beat」、「tick tick tock」、「drip drip drop」、そしてあの「night and day~」と続く洗練されたメロディが生まれた背景をメインに展開し、名フレーズが閃くシーンは興味深い。最初にこの曲を歌ったフレッ ド・アステアはじめ唄物、インスト共に録音数は多く、どのバージョンも甲乙付け難い出来でポーターの曲作りの大きさがしれよう。
声帯の震えまでもが伝わってくるジャケットはセルマ・グレイセンで、「夜も昼も」の名唱を聴ける。セルマの経歴は不明だがジューン・クリスティやクリス・コナーあたりを思わせるヴォーカルセンスは魅力的で、厚みのあるジョージ・オールドのテナーやリズミカルなギターのバーニー・ケッセルをバックに快適にスウィングするあたりはベテラン歌手の領域だ。近年CDでも発売されたが、セルマが唯一残したアルバムという貴重性、オリジナルは「EmArcy」の傍系レーベル「Wing」という希少性、スタンダード中心の選曲、そして官能的なジャケットからマニアが昼夜問わず探した折り紙つきの幻盤であった。
04年にケビン・クライン主演でポーターの生涯を描いた映画「五線譜のラブレター」が公開されたのは記憶に新しい。この作品では「夜も昼も」では触れられなかったポーターの性癖である同性愛についてもかなりの部分で取り上げていた。当時はタブーだったのかも知れぬが、ポーターという偉大な作曲家、その曲を楽しむには「昼」だけではなく、「夜」を知ることで大きな理解と感動を得られる。
映画「夜も昼も」は、最もアメリカ的センスを持つポーターの作品を鏤めながら作曲家としての苦悩と成功を描いた作品で、当時の映画らしくボーイ・ミーツ・ガール・ストリー仕立てだ。名曲「夜も昼も」の印象的なヴァース部分「beat beat beat」、「tick tick tock」、「drip drip drop」、そしてあの「night and day~」と続く洗練されたメロディが生まれた背景をメインに展開し、名フレーズが閃くシーンは興味深い。最初にこの曲を歌ったフレッ ド・アステアはじめ唄物、インスト共に録音数は多く、どのバージョンも甲乙付け難い出来でポーターの曲作りの大きさがしれよう。
声帯の震えまでもが伝わってくるジャケットはセルマ・グレイセンで、「夜も昼も」の名唱を聴ける。セルマの経歴は不明だがジューン・クリスティやクリス・コナーあたりを思わせるヴォーカルセンスは魅力的で、厚みのあるジョージ・オールドのテナーやリズミカルなギターのバーニー・ケッセルをバックに快適にスウィングするあたりはベテラン歌手の領域だ。近年CDでも発売されたが、セルマが唯一残したアルバムという貴重性、オリジナルは「EmArcy」の傍系レーベル「Wing」という希少性、スタンダード中心の選曲、そして官能的なジャケットからマニアが昼夜問わず探した折り紙つきの幻盤であった。
04年にケビン・クライン主演でポーターの生涯を描いた映画「五線譜のラブレター」が公開されたのは記憶に新しい。この作品では「夜も昼も」では触れられなかったポーターの性癖である同性愛についてもかなりの部分で取り上げていた。当時はタブーだったのかも知れぬが、ポーターという偉大な作曲家、その曲を楽しむには「昼」だけではなく、「夜」を知ることで大きな理解と感動を得られる。