ショーターとハンコックがマイルスに誘われた時の驚きを昨日のことのように嬉しそうに話す。マイルスを真似たあの嗄れた声と口調でだ。その時の歓喜と興奮が伝わってくる。多くのジャズメンとセッションを重ね、様々なバンドで修業を積んだ二人にとって最高の瞬間だったに違いない。関係者の証言で綴られた映画「マイルス・デイヴィス クールの誕生」のワンシーンである。
マイルスの音楽は勿論のこと多くの証言から彼の人間性も浮き彫りになり興味深い。マイルスの自叙伝の共著者として知られる詩人クインシー・トゥループの話はよく本人を知っているだけに分析が鋭いし、彼しか知り得ないエピソードも出てくる。改めてあの分厚い自叙伝を読みたくなった。また、プロモーターのジョージ・ウェインの証言は商売柄金銭のことになるが、麻薬代欲しさに「1セントだけでいい」と無心したどん底のマイルスを暴露する。笑い話のように語るウェインは、当時のマイルスに熱い期待と深い信頼を寄せていたのだろう。
そしてマイルスといえば女性だ。ジュリエット・グレコにマルグリット・カントゥ、シシリー・タイソン、ジョー・ゲルバードと美女揃いだが、やはり注目すべきはフランシス・テイラーの証言である。「クインシー・ジョーンズはハンサムね」と言い終わる前に殴り飛ばされたとか、ダンサーの夢である「West Side Story」のキャストを降板しろと脅されたとか、「Someday My Prince Will Come」のジャケット写真撮影の時は10分おきに電話をかけてきたとか・・・嫉妬深くて念入りなマイルスがそこにいる。最後に今でも愛していると言ったフランシスは「ESP」のジャケットより美しかった。
ジミー・ヒースとジミー・コブも出演している。今年亡くなった人だ。グレコも9月に帰らぬ人となった。語られる内容は勿論だが彼らの生の声を聞ける貴重なドキュメンタリーでもある。2019年の作品なのでコルトレーンやガーランド、ケリー、エヴァンス、チェンバース、フィリージョーのコメントはなかったが、間違いなく「Miles is cool」と言うだろう。映画館を出たあと小生も「マイルスは最高だ」とつぶやいた。嗄れ声で。
マイルスの音楽は勿論のこと多くの証言から彼の人間性も浮き彫りになり興味深い。マイルスの自叙伝の共著者として知られる詩人クインシー・トゥループの話はよく本人を知っているだけに分析が鋭いし、彼しか知り得ないエピソードも出てくる。改めてあの分厚い自叙伝を読みたくなった。また、プロモーターのジョージ・ウェインの証言は商売柄金銭のことになるが、麻薬代欲しさに「1セントだけでいい」と無心したどん底のマイルスを暴露する。笑い話のように語るウェインは、当時のマイルスに熱い期待と深い信頼を寄せていたのだろう。
そしてマイルスといえば女性だ。ジュリエット・グレコにマルグリット・カントゥ、シシリー・タイソン、ジョー・ゲルバードと美女揃いだが、やはり注目すべきはフランシス・テイラーの証言である。「クインシー・ジョーンズはハンサムね」と言い終わる前に殴り飛ばされたとか、ダンサーの夢である「West Side Story」のキャストを降板しろと脅されたとか、「Someday My Prince Will Come」のジャケット写真撮影の時は10分おきに電話をかけてきたとか・・・嫉妬深くて念入りなマイルスがそこにいる。最後に今でも愛していると言ったフランシスは「ESP」のジャケットより美しかった。
ジミー・ヒースとジミー・コブも出演している。今年亡くなった人だ。グレコも9月に帰らぬ人となった。語られる内容は勿論だが彼らの生の声を聞ける貴重なドキュメンタリーでもある。2019年の作品なのでコルトレーンやガーランド、ケリー、エヴァンス、チェンバース、フィリージョーのコメントはなかったが、間違いなく「Miles is cool」と言うだろう。映画館を出たあと小生も「マイルスは最高だ」とつぶやいた。嗄れ声で。