先日、和歌山県太地町のくじらの博物館で、バンドウイルカの赤ちゃんが誕生した。親に寄り添うように泳ぐ姿は微笑ましく、写真を見ているだけで癒される。昨年1年間に全国の水族館や動物園で生まれたバンドウイルカは13頭で、生存はわずか2頭だという。自然とかけ離れた環境での生育は難しいようで、制限された環境に慣れないと母親が授乳しないケースもあるそうだが、元気に育ってほしいものだ。
イルカといえばジャズファンなら真っ先に聴こえる曲は、「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」だろうか。地震のシーンが話題をまいた47年の映画「大地は怒る」の主題歌で、作曲は Bronislau Kaper。ファーストネームの正確な発音が不明のようで、この曲を紹介するときは B.ケイパーとしか書かれないが、映画音楽を数多く手がけた作曲家のようだ。パニックシーンが多い映画でこの美しいメロディの効果は興味あるところだが、アドリブの素材として面白い曲で何度も録音したマイルスをはじめ、天衣無縫なロリンズ節、初リーダーアルバムにしてジャズで初めて演奏されたバス・クラリネットのソロが圧巻なエリック・ドルフィー等、アドリブの醍醐味が満喫できる作品が並んでいる。
そして「My Name Is Albert Ayler」の自己紹介で始まるアルバート・アイラーの2枚目のアルバムは強烈だ。ベースのペデルセンとロニー・ガーディナーのドラムは調和性を保った4ビートで進行するが、そこにアイラーの暴力的なテナーサックスの音と、非調和のフレーズが絡み従来の演奏パターンを破壊している。このアルバムが録音されたのは63年で、コルトレーンのバードランド・ライブや、オーネット・コールマンのタウンホールと同じ時期になるが、フリージャズの先駆者たちに共通して聴かれるのは破壊と再生の緊張的空間であり、アイラーのグリーン・ドルフィンも曲と演奏手法のスタンダードを破壊しつつもそのスタンダードを再生したものといえるだろう。
イルカは高い周波数をもったパルス音を発して、物体に反射した音からその物体の特徴を知る能力を持つという。アイラーが発したパルス音は、コルトレーンがアイラーのように吹きたい、と語ったようにフリージャズ奏者は勿論のこと、「破壊せよ、とアイラーは言った」というエッセイを書いた作家の中上健次や60年代に活躍した多くの芸術家にまで影響を与えた。その短い生涯は常に最大値のパルス波を発していたに違いない。
イルカといえばジャズファンなら真っ先に聴こえる曲は、「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」だろうか。地震のシーンが話題をまいた47年の映画「大地は怒る」の主題歌で、作曲は Bronislau Kaper。ファーストネームの正確な発音が不明のようで、この曲を紹介するときは B.ケイパーとしか書かれないが、映画音楽を数多く手がけた作曲家のようだ。パニックシーンが多い映画でこの美しいメロディの効果は興味あるところだが、アドリブの素材として面白い曲で何度も録音したマイルスをはじめ、天衣無縫なロリンズ節、初リーダーアルバムにしてジャズで初めて演奏されたバス・クラリネットのソロが圧巻なエリック・ドルフィー等、アドリブの醍醐味が満喫できる作品が並んでいる。
そして「My Name Is Albert Ayler」の自己紹介で始まるアルバート・アイラーの2枚目のアルバムは強烈だ。ベースのペデルセンとロニー・ガーディナーのドラムは調和性を保った4ビートで進行するが、そこにアイラーの暴力的なテナーサックスの音と、非調和のフレーズが絡み従来の演奏パターンを破壊している。このアルバムが録音されたのは63年で、コルトレーンのバードランド・ライブや、オーネット・コールマンのタウンホールと同じ時期になるが、フリージャズの先駆者たちに共通して聴かれるのは破壊と再生の緊張的空間であり、アイラーのグリーン・ドルフィンも曲と演奏手法のスタンダードを破壊しつつもそのスタンダードを再生したものといえるだろう。
イルカは高い周波数をもったパルス音を発して、物体に反射した音からその物体の特徴を知る能力を持つという。アイラーが発したパルス音は、コルトレーンがアイラーのように吹きたい、と語ったようにフリージャズ奏者は勿論のこと、「破壊せよ、とアイラーは言った」というエッセイを書いた作家の中上健次や60年代に活躍した多くの芸術家にまで影響を与えた。その短い生涯は常に最大値のパルス波を発していたに違いない。