話題の映画「セッション」が封切られた翌日の午後に出かけた。注目作とはいえマニアックなジャズ映画なのでさほど混まないだろうと高を括って上映時間ギリギリに入ってみると、何とフロアは足の踏み場もない。チケット売り場のオネーさんに、恐る恐る聞いてみると前の座席しか空いていないという。そんなセッションな、いや殺生な。2時間も首を上げて観たら、この作品の原題「Whiplash」ではないがムチ打ちなりそうだ。
諦めて次の回の座席を取った。さて、ここで問題だ。空いた2時間をどう過ごそうか。野球中継の観戦をと思ったが、この時刻ではススキノのスポーツバーも開いていない。上映スケジュールを見ると丁度空いた時間に1本あった。フランス映画「間奏曲はパリで」。イザベル・ユペール主演の大人の恋愛物のようだ。もし外れでもシニア料金の1000円なので損もないし、ランチのとき飲んだビールの酔いも回ってきたので寝てもいい。これがなかなかのストーリーで、何より音楽が洒落ている。サッシャ・ディステルが作曲した「The Good Life」が手を替え品を替え流れる。
まずドリフターズ、そしてジュリー・ロンドン、更にフレンチ・カンカンで有名な老舗キャバレー「La Nouvelle Eve」のステージでは女性のテナー奏者がこの曲を演奏する。しみじみと人生の味わいを綴った歌詞はこの歳になると身に沁みてくるが、メロディもこの上なく美しい。あまり多くはないインスト物だが、ベストはハンク・モブレイだ。「The Turnaround!」というレコードは2つのセッションをカップリングしているので統一性に欠くが個々のトラックはどれも平均点を上回っている。ハンコックの叙情的なイントロからやんわりと吹きだすモブレイの深い音は絶品といっていい。
山も谷も乗り越えた熟年夫婦の愛情を描いた作品に、「The Good Life」は良く似合う。終盤ユペールの旦那が口笛でこの曲を吹いたときは、つられてこちらも口ずさみそうになった。余談ながら劇中、PCでモニカ・ゼタールンドの曲を流して「Zetterlund」の発音を確認するシーンもある。ジャズファンをニヤリとさせる映画は、ちょっぴり涙腺を緩ませ、微笑んだ。ところで目的の映画は?それは次のセッションで。
諦めて次の回の座席を取った。さて、ここで問題だ。空いた2時間をどう過ごそうか。野球中継の観戦をと思ったが、この時刻ではススキノのスポーツバーも開いていない。上映スケジュールを見ると丁度空いた時間に1本あった。フランス映画「間奏曲はパリで」。イザベル・ユペール主演の大人の恋愛物のようだ。もし外れでもシニア料金の1000円なので損もないし、ランチのとき飲んだビールの酔いも回ってきたので寝てもいい。これがなかなかのストーリーで、何より音楽が洒落ている。サッシャ・ディステルが作曲した「The Good Life」が手を替え品を替え流れる。
まずドリフターズ、そしてジュリー・ロンドン、更にフレンチ・カンカンで有名な老舗キャバレー「La Nouvelle Eve」のステージでは女性のテナー奏者がこの曲を演奏する。しみじみと人生の味わいを綴った歌詞はこの歳になると身に沁みてくるが、メロディもこの上なく美しい。あまり多くはないインスト物だが、ベストはハンク・モブレイだ。「The Turnaround!」というレコードは2つのセッションをカップリングしているので統一性に欠くが個々のトラックはどれも平均点を上回っている。ハンコックの叙情的なイントロからやんわりと吹きだすモブレイの深い音は絶品といっていい。
山も谷も乗り越えた熟年夫婦の愛情を描いた作品に、「The Good Life」は良く似合う。終盤ユペールの旦那が口笛でこの曲を吹いたときは、つられてこちらも口ずさみそうになった。余談ながら劇中、PCでモニカ・ゼタールンドの曲を流して「Zetterlund」の発音を確認するシーンもある。ジャズファンをニヤリとさせる映画は、ちょっぴり涙腺を緩ませ、微笑んだ。ところで目的の映画は?それは次のセッションで。