先日、日本アカデミー賞の授賞式が華々しく開かれていた。ピークを迎えた1960年に年間500本以上製作された邦画も斜陽の一途を辿り、製作本数は減ったとはいえ最近の受賞作は良質な作品が多い。賞の候補にこそ挙がらなかったが、昨年観た映画「ふたたび swing me again」は心に残る。ハンセン病という重いテーマをベースに、50年ぶりに仲間と再会するための旅に出た元ジャズ・トランぺッターと孫との姿はジャズファンでなくても楽しめる内容だ。
その旅は残りの人生で何をするか、ある程度の年齢になると誰しもが問う「What Are You Doing the Rest of Your Life」である。「これからの人生」という邦題が付いている曲は、ミッシェル・ルグランが69年の映画「ハッピー・エンディング」のために書いた主題歌で、本家のアカデミー主題歌賞にノミネートされた。本来映画の主題歌は映画を盛り上げるための脇役にしかすぎないが、映画は忘れられても印象的なテーマ曲は歌い継がれ時代を越えて愛されるケースが多い。シェルブールの雨傘、風のささやき、おもいでの夏、ルグランの曲はつい口ずさみたくなるわかりやすさと、郷愁を呼ぶロマンティックな旋律に彩られている。
歳を重ねて初めて歌える「これからの人生」をケニー・バロンのピアノにのせてしみじみと歌うのはシーラ・ジョーダンで、ブルーノートに吹き込んだ初リーダー作が32歳という遅咲きと、2作目が13年後という録音数の少なさからシンガーよりもデューク・ジョーダンの元夫人として語られる。80年代に入って多くのレコーディングに恵まれたこともあり、にわかに名前を知られるようになったとはいえ過小評価されてきたシンガーだ。好みが分かれる器楽的な唱法と強烈な個性がその理由と思われるが、パーカーが賞賛したほど聴感が鋭く、楽器の一音をすぐさま表現できる聴感を生かしてドン・チェリーらのJCOAに参加している。
「ふたたび swing me again」は、渡辺貞夫さんも参加してクライマックスのセッションを盛り上げていた。ジャズに情熱を注ぐ祖父に孫がジャズって何?と問う。生きつづけること、と主人公の財津一郎は教える。そして映画は人生でやり残したこと、ありませんか?と問う。小生と拙稿をご覧いただいている皆様は何と答えるだろう。人生でやり残したことは聴いていないレコードを聴くこと、そしてこれからの人生はもっとジャズを聴くこと、と答えるかもしれない。
その旅は残りの人生で何をするか、ある程度の年齢になると誰しもが問う「What Are You Doing the Rest of Your Life」である。「これからの人生」という邦題が付いている曲は、ミッシェル・ルグランが69年の映画「ハッピー・エンディング」のために書いた主題歌で、本家のアカデミー主題歌賞にノミネートされた。本来映画の主題歌は映画を盛り上げるための脇役にしかすぎないが、映画は忘れられても印象的なテーマ曲は歌い継がれ時代を越えて愛されるケースが多い。シェルブールの雨傘、風のささやき、おもいでの夏、ルグランの曲はつい口ずさみたくなるわかりやすさと、郷愁を呼ぶロマンティックな旋律に彩られている。
歳を重ねて初めて歌える「これからの人生」をケニー・バロンのピアノにのせてしみじみと歌うのはシーラ・ジョーダンで、ブルーノートに吹き込んだ初リーダー作が32歳という遅咲きと、2作目が13年後という録音数の少なさからシンガーよりもデューク・ジョーダンの元夫人として語られる。80年代に入って多くのレコーディングに恵まれたこともあり、にわかに名前を知られるようになったとはいえ過小評価されてきたシンガーだ。好みが分かれる器楽的な唱法と強烈な個性がその理由と思われるが、パーカーが賞賛したほど聴感が鋭く、楽器の一音をすぐさま表現できる聴感を生かしてドン・チェリーらのJCOAに参加している。
「ふたたび swing me again」は、渡辺貞夫さんも参加してクライマックスのセッションを盛り上げていた。ジャズに情熱を注ぐ祖父に孫がジャズって何?と問う。生きつづけること、と主人公の財津一郎は教える。そして映画は人生でやり残したこと、ありませんか?と問う。小生と拙稿をご覧いただいている皆様は何と答えるだろう。人生でやり残したことは聴いていないレコードを聴くこと、そしてこれからの人生はもっとジャズを聴くこと、と答えるかもしれない。