平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

アメリカンアイドル

2006年03月03日 | バラエティ・報道
 アメリカの人気オーディション番組「アメリカンアイドル」。
 その審査員のコメントは、芸能論にも通じる。

1.ちゃんと歌い切る……音程を外さず歌うこと、これが大前提。
2.割れた所を裏声で補う……歌唱テクニック。

 まず、これらが前提で次のステップに移る。
 個性に関わる部分だ。

1.マイクパフォーマンス、歌い方。
2.チャーミング、目に力がある。
3.自分らしさが出せている。持ち味が出ている。
4.自然と好感が持てる。媚びを売るのではない。
5.度肝を抜かれる。退屈でない。印象に残る。

 そして、いかに人の心を打つことが出来るか。

1.感情が表現できている。(マイナスは心がこもっていない。機械的・無表情)
2.エネルギーを感じる。人を楽しくさせる。
3.聞いてもらうという意識で歌っている。
4.曲を自分のものに出来ている。気持ちよく歌えた。その曲に求められたものを出せていた。
5.感動させる。人の心に火をつける。

★研究ポイント
 歌の批評ではあるが、すべてのエンタテインメントに通じるもの。
 チェック項目としたい。
  
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翼の折れた天使たち ~スロット~

2006年03月03日 | 学園・青春ドラマ
下條涼子(上野樹里)は親に捨てられ、孤児院で育てられた。

そんな彼女が恋人の子供・健太を1週間あずかる。
親に捨てられた健太にかつての自分を見る涼子。
子供らしくない、人一倍気を遣う健太にいらだつ。
理由はかつての自分も人の顔色を見る子供だったからだ。

しかし、健太と過ごして行くうちに涼子の心に変化が起きる。
「自分のことを健太と呼んでくれたことが嬉しい」と言う健太に気恥ずかしい涼子。健太の孤独もわかって、健太のことを考える様になる。

そんな時、事件が起きる。
涼子が恋人に捨てられるのだ。
恋人は健太の父親、戻って来たのはいいが、「この後もよろしく頼むわ」と言って健太を見捨てる。それに怒った涼子は恋人を平手で打つが、恋人は逆ギレして涼子を捨てるのだ。
涼子は健太に泣きながら言う。
「愛されたいと思っていても、みんなどこかに行っちゃうんだよ。愛なんてどこにもないんだよ」
それは親に捨てられた子供の頃からずっと抱き続けていた想いだった。
そして涼子は健太に八つ当たりをする。

健太は涼子の部屋を出て行き、寒空の下、病気で倒れる。
病院。
意識を取り戻した健太に涼子は言う。
「私はずっと愛してもらいたいと思っていた。愛してもらえないと不安でしょうがなかった。でも、わかったんだ。私は健太を愛したいんだって。私みたいなヤツでも人を愛せるんだって」

健太は涼子のもとに戻るが、法的には認められない。
学校にも入れてやれない。
涼子はつらい気持ちをおして、健太に施設に行くようにつげる。
健太も涼子と気持ちは通じ合っている。涼子に「わかった」とうなづく。(「物わかり良すぎ、可愛くねえな」と涼子にこづかれるが)
そして、健太を守れる存在になるため、涼子は食堂で真面目に働き始める。

原作者Yoshiからのメッセージは「与えることで見えてくるものがある」
涼子は与えて、本当の自分を見出した。

★研究ポイント
 「スロット」で生計を立てる主人公像は現在だが、物語はオーソドックス。
 主人公を変えるのは子供。病気解決。走る主人公。
 こうした古典的ドラマを今風に焼き直すという物語手法。
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翼の折れた天使たち ~アクトレス~

2006年03月02日 | 学園・青春ドラマ
奈央(山田 優)はどうしても女優になりたい20歳。
親と大喧嘩して2年前東京に出てきた。
親は言う。
「現実はそんなに甘いものじゃない」「どうせ騙されるのがオチ」
その通りだった。
オーディションはすべて不合格。君くらいの子はいくらでもいると言われる。
「事務所に紹介するから」と言われ、借金をして作ったお金を騙し取られる。
借金を返すためにキャバクラで働くことに。
キャバクラでは「客商売なんだから少しはサービスしなさいよ」「女優志望だからって客に触らせないの。お高くとまってるわ」と言われる。
そしてAV出演。

そんなどん底の奈緒だったが、まだ救いはあった。
美容師志望の陸だ。
陸は言う。
「自分は半人前だから、キャバクラをやめろとは言えないけど、奈緒とはいっしょにいたいし、応援したい」
しかし、そんな希望も失われた。
AV出演をしたことが陸にばれたのだ。
陸は言う。
「AV見て立たなかったのなんて初めてだよ。何だよ、これ?マジ引くわ。おまえが女優になりたいってこういうことだったの?汚い手で触るなよ!」
奈緒の出演したビデオはヒットして2作目のオファが来る。
奈緒が断ると男は言う。
「AVやった女がふつーの女優になれるわけがないだろう?」

これで奈緒はどん底に落ちた。
すべての希望を失って奈緒は言う。
「あたしは幸せになんかなれない。もうダメだ。やり直せない。女優になる夢も陸もなくなっちゃった。もう、どうしていいか分からない!」
どん底とは、希望がないことだ。すべてを失うことだ。

主人公に様々な困難を与えていき、どん底まで落とすドラマ手法が面白い。

どん底まで落ちれば、後は上がるだけ。
Yoshiのドラマは、人の言葉がポイントになる。
今回は奈緒のおじいちゃん。奈緒に会うため、東京に出てきた。
おじいちゃんは言う。
「自分も落語家になるために東京に出てきて挫折した。でも、あれはあれでいい経験だったと思っている」
流し雛を川に流して
「流し雛は自分のしてしまった過ちをお雛様に託して流すもの。人は過ちを犯すもの。でも流し雛をすれば神様は許してくれる。そうしたら、1からやり直せばいい。自分を信じて諦めないこと。そうすれば幸せになれる」
これで奈緒は救われた。

おじいちゃんはその後亡くなり、お葬式のために実家に戻った奈緒は両親にもう一度がんばってみたいことを告げる。
そして家を出る時、おじいちゃん声が聞こえた様な気がした。
おじいちゃんは奈緒に語りかけていた。
「奈緒、がんばれよ」

★研究ポイント
 主人公をどん底まで落としていくドラマ手法。

 人のどん底とはなにか?
 人の救いとはなにか?
 心の空虚・絶望が人の言葉・行為で満たされること。

★追記
「あたしは幸せになんかなれない。もうダメだ。やり直せない。女優になる夢も陸もなくなっちゃった。もう、どうしていいか分からない!」と叫ぶ時のおじいちゃん(谷啓)の顔がすごい。奈緒の心の痛みを感じて固く目を閉じる。おじいちゃんは流し雛を流す船をわらで作っていたのだが、そのわらをギュッと結ぶ。
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翼の折れた天使たち ~ライブチャット~

2006年03月01日 | 学園・青春ドラマ
優奈(堀北真希)はヒッキー。

外に出るのが怖くて、ライブチャットをすることで生計を立てている。
ライブチャットが優奈にとって唯一の外の世界に繋がる手段だが、疑似恋愛・アダルトな要求をしてくる男たちは優奈にとって恐怖以外の何者でもない。

物語はふたつのモチーフで作られている。

モチーフA……優奈がチャットで知り合ったタローによって変わっていく。
モチーフB……タローとは誰か?なぜタローに会えないのか?

物語の前半ではモチーフAが描かれる。
タローは優奈に言う。
「籠から飛び出して、自由に大空を飛びまわることを楽しめる様になりなよ。時には傷つくかもしれないけど、それが本当に生きるということ」
「最初からうまくいくわけがない。少しずつ変わっていけばいいんだ」
こうしたタローの言葉により、優奈は少しずつ変わっていく。
野球をやっている少年が「ボールを拾って下さい」というのだが、最初は拾えない。しかし、心が開かれていくことで、ボールを拾って投げ返せる様になる。
ドラマとは変化なり。
また、その変化を描くのに効果的な描写だ。

中盤はモチーフB。
タローの言葉で外に踏み出せる勇気を得た優奈はタローに会いたいと思う。
しかし、タローは「会ったら幻滅する。僕達はバーチャルな関係だ」と言って会うことをしない。

クライマックスではふたたびモチーフAが描かれる。
優奈が過去に障害を加えた彼氏の浮気相手と偶然会ってしまうのだ。
過去が甦り、再び元の引きこもりの優奈に戻ってしまう。

そして解決。
タローの正体がわかる。
タローの正体がわかって、優奈は再び現実に立ち向かう勇気を得る。
モチーフAとモチーフBが一気に解決する瞬間だ。
タローは優奈に会って言う。
「人間にはふたつの顔がある。天使の顔と悪魔の顔と。そして両方がきみ自身だ。両方の君を認めて、両方を愛しなさい」

★研究ポイント
 A~B~A~A・Bの解決 という物語の構成。

★追記
 タローの正体をめぐって、コンビニの店員がそうではないかという仕掛けが施されている。これで少しはタローの正体が分かりづらくなった。

 優奈がいつも買うのは、のり弁当。他のものを買わない。
 この描写が、現実に積極的に関わろうとしない、現実に興味のない主人公を効果的に描いている。

 毎回、ラストで表記される作者Yoshiのメッセージ。
 いささか説教くさいが、こういうメッセージが共感を呼ぶのかな?
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N’s あおい 第8話

2006年03月01日 | 職業ドラマ
第8話は「離婚話」

妻は夫・高樹に言う。
「あなたのことを考えることもないし、あなたに期待することはありません」
離婚とはこういうことという名セリフ。

原因は仕事に忙しく家庭を顧みなかった夫への不信。
運動会、授業参観……娘の行事に高樹は来てくれなかった。
「必ず行く」と娘に約束したバイオリンの発表会……これも急患がでたため行けなかった。
高樹にとっては、すべて医者としての使命感からやったこと。
妻も理解してくれると思っていた。
しかし、妻は不信を募らせるばかり。
そして決定打は娘のぜんそくの発作。
一歩間違えれば死に至るぜんそくであったが、高樹は娘の治療に当たらず、他の急患を診た。
父親失格。

こんな状況下、高樹の娘は自分のバイオリンの発表会に来てほしいと思う。
母娘は再婚して北海道に行く。これが高樹に見せられる最後の発表会だからだ。
娘はこれまで母と父親が喧嘩するのが嫌で、演奏会に父親を呼べなかった。本当は来てほしかったのに。
その娘の気持ちを聞いたあおいは高樹に演奏会へ行かせるが。
途中、急患が出て。

展開が読めてしまう話だが、人物の気持ちがしっかり描かれているから、よほどひねくれていない人以外は作品の中に入り込める。

演奏会には間に合わなかったが、高樹は空港に駆けつける。
そこで娘はバイオリンを弾いて聞かせる。
お父さんに聞かせたいという娘の願いが遂にかなう。
高樹もひさしぶりに父と娘の関係に戻る。
父親として再婚相手に「よろしくお願いします」と頭を下げる。
そして、娘が小学生の時に書いた作文。
「約束を破るお父さんだけど、たくさんの病気の人を治そうとがんばっているお父さんが大好きです」

ここも分かりやすいが、高樹と気持ちがいっしょになっていればかなり泣ける。

今回は脇役話。
主人公のあおいは視聴者の視点で、高樹を見守り時に助ける。

★研究ポイント
 脇役話での主人公の役割~視聴者の視点。
 視聴者の気持ちになって、視聴者がしてほしいと思うことをしてあげる。
 視聴者がしてほしいこととは、無理やり高樹を娘の演奏会に行かせること。

 しかし、視聴者を迷わせることも。
 急患が出て高樹を呼び戻すか呼び戻さないかの判断。
 ここは「あなたならどちらを選びますか?」と視聴者に考えさせるポイント。
 こういうメリハリをつけるとドラマがどんどん面白くなる。

★追記
 あおいは必ず居酒屋「番長」で牛乳を飲む。
 あおいはお酒を飲めないという設定。
 グラスに注がれた牛乳を見せるだけで、あおいだと分かる。
 効果的な人物造型、小道具の使い方。

 あとは指でやる「ヴイ、ヴイ」。
 独自の仕草をさせることも効果的。

★検索ワード
 ドラマ作り
 主人公作り
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