Zooey's Diary

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「ジェイン・オースティンの読書会」

2008年05月14日 | 映画
ワインとおしゃべり、時々恋──それが女たちの読書会。

”結婚歴6回を誇るバーナデット(キャシー・ベイカー)、
ブリーダーで独身主義者のジョスリン(マリア・ベロ)、
突然夫に離婚を切り出されるシルヴィア(エイミー・ブレネマン)、
その娘で情熱的なアレグラ(マギー・グレイス)、
ハイスクールのフランス語教師プルーディ(エミリー・ブラント)が読書会を立ち上げる。取り上げるのは彼女たちの愛読書ジェイン・オースティンだ。
ここに唯一の男性としてSF愛好家のグリッグ(ヒュー・ダンシー)が加わり、オースティンの小説6冊を読み解いてゆく。
それは6人それぞれが人生と向き合う体験だった。”(goo映画より)

ジェイン・オースティン…18~19世紀のイギリスの女流作家。
今まで私が観た彼女の原作の映画は「プライドと偏見」「エマ」「いつか晴れた日に」など。
アメリカ映画「ユー・ガット・メール」の中で メグ・ライアン扮するヒロインが、彼女の本を200回は読んでるわ、と言うシーンがあるのです。ヒロインは本屋の女社長という設定なので、本好きなのは当然であるわけなのですが、そんなにもアメリカ人にとって身近な作家の本の、読書会という映画ができてしまったのです。
私はオースティンの本は「プライドと偏見」しか読んでいないのですが、当時の英国の中流階級(日本の感覚で言うと上流)の、男女の駆け引き、家族関係、社交生活などを、機知に富んだ文体で、多少皮肉っぽく書いていて面白い。
その根底に、女性らしい暖かな人間愛が感じられて、彼女の小説が時代を超えて愛されるのも分かるような気がします。

この映画では、「オースティンの本は人生の解毒剤」と言い切るバーナディットを中心に、6冊の本を読み解いていくわけですが、読み方を通して、それぞれの人生が投影される。
本の感想を述べているつもりが、自分の人生観や恋愛観や悩みを語っている。
その6人の誰に共感を覚えるかという点で、観る側の価値観も浮かび上がってくる…

私としては、若いフランス語教師のプルーディに一番感情移入しました。彼女はハイソでインテリな生活に憧れ、常にお嬢さんっぽいワンピースを着て、フランス語の言い回しを口にしたりする。実際は、彼女の母はだらしないヒッピーで父親も誰だか分からない有様、夫はバスケットボールの試合観戦だけが趣味の俗人で、彼女自身フランスに行ったことすらない。
しかし… 母親を選ぶことはできないけれど、凡庸な夫を選んだのは彼女自身なのです。 それなのに夫を責めるのはお門違いだと思うのですが。
加えて、終盤の夫との仲直りにも私は不満を覚えました。あんな方法であんな簡単に、すれ違っていた男女が分かち合えるものでしょうか…?

もうひとつの不満は、家族の関わり方が綺麗に描かれすぎていること。
例えば、シルヴィアの娘アレグラはレズビアンなのですが、母親は一言も娘を非難することなく、あるがままに受け入れている。勿論、過去には色々な修羅場や苦しみがあって、それを乗り越えての今なのかもしれませんが…
あるいは、グリッグの姉が現れ、ジョスリンに「弟は貴女が好きなのよ」と打ち明けるのですが、ジョスリンというのはグリッグよりもはるかに年上なのです。映画ではそれぞれの年齢は明らかにされていませんが、ひと回り以上歳上であることは確かです。そういうの姉として構わないのかしら?と思ってしまうのは、あまりにも日本人的な考え方でしょうか…

それでも、6人の人生模様が投影された読書会の会話が面白く、
中々楽しめた大人の映画でした。 ☆4

公式サイト
コメント (2)
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