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Zooey's Diary

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息をするように嘘をつく「北京大学てなもんや留学記」

2011年07月17日 | 

「中国てなもんや商社」で中国の取引先と熾烈な闘いを繰り広げた著者は
その後、中国トップクラスの北京大学に留学するのです。
そこで暮らしていく中での驚きの日々を描いたのが本書ですが
これについての感想は簡単には言えません。
何故なら前作では、中国人が騙そうとしたのは日本の一商社であった訳ですが
本作に出てくる北京の中国人が敵に廻しているのは、日本人全体なのですから。
「反日感情の正体」「反日教育の実態」「日常に沁み込む日本嫌い」
これを読むのは、普通の神経を持った日本人には少々きついでしょう…

”一般に今の日本のメディアは、共産党が反日を仕掛けてるというが、
中国人がよく言うのは
「国民が怒るから、政府は真実を言わないんだ。
国民が喜ぶからメディアは反日を載せるんだ」
外国人に向かって独裁政府をかばっているのか、本当に元来強い反日の気持ちがあるのか、
はたまたそこまで洗脳されているのか…、答えは多分全部である。”

そして賄賂、汚職、嘘、騙し合いがはびこる日常。

北京大学の教授に紹介状を書いて貰おうとして、臆面もなく賄賂を要求されたり、
やはり教授から、相場の5割増しの家賃で下宿を紹介されたり。
”日本にもいろんな人がいるが、東大の先生がもし留学生に部屋を貸すとしたら、
たとえ戦後の貧しい時代でも、相手を見て、5割ふっかけたりはしないと思う。”

”汚職はさらに深刻なのである。
日本と違い、十人のうち九人まで汚職している環境で一人だけ清潔ならどうなるか。
もちろん九人から陥れられる。
小学校入学から前の方のいい席はお金で買う。大学入試共通試験の点数も
一点一万元で買える。日常生活で賄賂を見慣れた彼らにとっては、
汚職は良い悪いというよりもはや生活に密着している問題。
生きるためには汚れなければならぬ。(中略)
現代中国にちょっと深く関わった人は、おおむね「何故こんなに簡単に息をするように
嘘をつく、人を騙す。良心はないのかー」と叫ぶことになる。
私もそう思っていたが、あるときふと気がついた。
この人たちは、子どもの頃から騙され続けているんだ。それも一番ひどいのは自分の国。
メディアに流れる反吐がでそうな美しい言葉と、現実との極端な乖離の中で育ってきているのである。
そりゃ、まねするでしょう、親と例えられた国家の。”

そういった民衆の国家への不満を、隣国への憎悪にすり替えるということで
押さえつけているのではないか、と著者は指摘しています。
これは日本でも言われていることではありますが…

この本は2007年に書かれているのですが、
08年の文庫版の発行への追記として、毒餃子事件についても触れられています。
”ご存知の通り、日本でも2008年1月に毒餃子事件が表ざたに。
中国側の報道はもちろん、「没問題!(問題ない)検証した日本側もそう言っている」「日本側の捏造」
はては「日本の記者が入れた!」等、日本人の想像を絶する展開になっている。”

著者の関西人としてのノリ、たくましい反骨精神、乾いたユーモアも
相変わらず散りばめられてはいますが
中国の実態というものに唖然とせざるを得ません。
彼女の視点が一貫して醒めていることが救いではありますが。
(大体この人はそれでも中国が好きで、その後も北京に住み続けているのですから)
ですが、平和でお人よしな日本人の我々も、これぐらいは知っておいた方が
いいような気もします。
こういう国がお隣さんであるということは、紛れもない事実なのですから。

北京大学てなもんや留学記 http://tinyurl.com/66p5btn
コメント (4)
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