
このところ、新国立劇場でオペラを聴く機会が増えました。
この一年ほどで「トスカ」「魔笛」「ナブッコ」など楽しんで来ましたが
オペラ初心者の私には、何と言っても昨夜の「リゴレット」が面白かった。
リゴレットとは醜い道化師の名前。
背中に大きな瘤がある彼は、世を呪い人を呪って生きて来たが
一人娘の美しいジルダを溺愛していた。
世間知らずのジルダは、女たらしのマントヴァ侯爵に出会って恋に落ち、
身も心ももてあそばれてしまう。
それを知ったリゴレットは激怒し、殺し屋に侯爵の殺害を頼むが
騙されたと知っても侯爵を愛しているジルダは、彼の身代わりとなる。
殺し屋が運んできた麻袋の中に
最愛の娘の瀕死の姿を見つけたリゴレットの嘆き…

簡単に言えば、こんな話です。
ヴィクトル・ユーゴー原作、ヴェルディの作品であるこのオペラ、
ドイツ人の演出家クリ―ゲンブルクによる今回の舞台は、現代的なホテルでした。
上の写真はパーティ・シーンなので皆着飾っていますが
別のシーンでは、男たちは黒っぽいスーツ姿、女たちはワンピースや下着姿など。
最初は驚きましたが
考えてみれば上記の内容は、今の時代に置き換えてもそれほど違和感がない。
貧富の差、上流階級と下層階級に生きる人間の格差、
醜いものと美しいものの相反、そして恋愛と裏切り。
現代ホテルは、都市の暗部の比喩か。
ヴェルディの時代も今も、人間のすることって変わらないのですねえ。

第三幕の初め、居酒屋で侯爵が酒場の女を甘く口説き、
女はそれを巧みにあしらい、
その様子をジルダが見て嘆き悲しみ、
リゴレットはそんな娘に復讐が必要なのだと説く。、
テノール、メゾソプラノ、ソプラノ、バリトンの美しい四重唱によって
4人のまるで別々の出張が同時に理解できる場面は見事です。
そういう場面はここだけではないのですが…
新国立劇場「リゴレット」 http://www.atre.jp/13rigoletto/