
「この工場が死んだら、日本の出版は終わる…」
絶望的状況から、奇跡の復興を果たした職人たちの知られざる闘い。
津波で破壊された日本製石巻工場の再生を描いたノンフィクション。
日本の出版用紙の約4割が日本製紙で作られ、石巻工場はその基幹工場として、
1日あたり約2500トンもの紙を生産しているのだそうです。
東京ドーム23個分の広さを持つ石巻工場全域が海に呑まれ、
瓦礫の山に覆い尽くされ、生産機能は完全にストップした。
そこから人々はどのように工場を立ち直らせて来たのか?
2013年4月、春樹の新作「色彩を持たない田崎つくると彼の巡礼の年」の
発売日のシーンから話は始まります。
各地の書店に長い行列ができ、大きな書店にはマスコミもやってきて
そのお祭り騒ぎを取材していた。
”この盛り上がりを興奮気味に見守っている人々が東北にいた。
日本製紙石巻工場の従業員たちだ。
「田崎つくる」の単行本の本文用紙は、東日本大震災で壊滅的な被害に遭いながらも、
奇跡的な復興を遂げた石巻工場の8号抄紙機、通称「8マシン」で作られているのである。”
あの本を発売日に私も買いましたが
その紙が何処で作られているかなんて、考えたこともありませんでした。
本の紙質にそんなにも違いや種類があるということも、知りませんでした。
一冊の本を作るのに、これだけの手がかけられていたのか…。
被害に遭われた人々への丁寧な取材、多数の証言によって
震災のその日から再生するまでの日々を追ったノンフィクションです。
思わず落涙する個所もあり、中々読み応えがありました。
「紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている」
http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/112196.html

この時期、金木犀と並んで甘い香りを放つジンジャー・リリー。
私の好きな香水、グレのカボティーヌの材料にも使われているようです。