
1960年代、カナダの修道院経営の女学校が採算に合わないとして
廃校の危機に追いやられます。
音楽教育に力を入れる修道女で校長のオーギュスティーヌは、姪のアリスや
その他の女子学生と協力し、音楽の力で学校の存続を図るが…
雪深いケベックの冬、煉瓦作りの重厚な校舎。
白い襟の綿シャツ(アイロン掛けが大変だろう)、ボタンを襟元まできっちりとめた
紺のカーディガン、グレーのヒダスカートの女子学生。
修道女たちはご存知あの、黒のカソリックの尼僧スタイル。
絵のように美しい映像です。

そういえば私は子供の頃、バーネット夫人の「小公女」が大好きで
寄宿舎というものに激しく憧れたのでした。
「小公子」「小公女」「秘密の花園」というお気に入り3作が入った
児童文学全集のイギリス編のその巻は、小さかった私の宝物のようなものだった。
だからこの映画の予告編を観た時から、楽しみにしていたのでした。

本作のヒロインのアリスは、「小公女」のセーラより年長で
学校の厳しい規則に反発して寄宿舎を飛び出してディスコで踊ったり、
格調高いクラッシック音楽をジャズ風にアレンジして演奏したりします。
どんなに厳しい校則で抑えようとしても、弾けてしまう若いエネルギー。
責任感と使命感の強い校長と、自由を求めるアリスとのぶつかり合い。
叔母と姪としての軋轢も、双方の気持ちがよく分かります。

でも、何か足りない。
これだけ美しい背景にストーリーも練られ、小道具も揃っていて
何故感動しないのだろう?とちょっと残念な仕上がりでした。
それでも女学生たちが演奏するバッハ、モーツァルト、ショパン、ドビュッシー、
リストらの曲は、ストーリーともよく絡み、夢のように美しい。
演奏、合唱はすべて吹き替えなしの本物だそうです(HPの予告編で味わうことができます)。
しかしこの邦題は…
アメリカ映画「天使にラブソングを」を安易に真似たとしか思えない。
原題は“La passion d’Augustine”(オーギュスティーヌの情熱)。
公式HP http://tenshi-chopin.jp/