数字と図形だけが友だちだった天才少年ネイサン。
他人との意思疎通が苦手で、自閉症スペクトラムと診断されながらも
国際数学オリンピックでメダルを目指して成長する姿を追う。
ネイサンがオリンピックで手にした、メダルよりも素敵なものとは…
冒頭でネイサンの父親が亡くなって驚かされます。
ネイサンの、唯一無二の理解者であった父親。
残された母親ジュリーがどんなに頑張っても、父親の代わりにはなれない。
こんなに息子を愛して頑張っているのに。
その母親としての、焦りと苛立ちが悲しい。
この人、何処かで見た顔だと思ったら
「ブルー・ジャスミン」の妹の役のサリー・ホーキンスでした。
あちらでも、美しい姉に比べられる役回りの妹を好演していました。
ネイサンは他人と肌を合わせることを異常なまでに嫌悪して
母親と手を握ることもできないのに
台湾のオリンピック合宿で出逢った中国の少女、チャン・メイは
お構いなく彼の手を握って連れ回す。
最初は困惑するものの、ネイサンも次第に彼女との距離を縮めるようになる。
ためらいながら、ドキドキしながら。
その辺りの思春期の甘酸っぱさ、みずみずしさは、さすが「リトル・ダンサー」の
制作陣によるものと唸らされます。
ラストはちょっと甘すぎるのじゃないかと思うのですが
これが実話だというのですから…
映画のポスターにあった大道芸人にして数学者のピーター・フランクルの
「僕がIMOに参加した時、自閉症の人は二人いた。
一人は数学者に、一人は今や施設に。
その分かれ目は、自分を大切にしてくれる恋人の有無であった」
という言葉が印象的でした。
原題は「X+Y」。
公式HP http://bokutosekai.com/