goo blog サービス終了のお知らせ 

Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

「この世界の片隅に」

2017年02月23日 | 映画


わずか65館の上映から始まったというこの作品、
どんどん拡大して我家の近くでも上映されるようになり、ようやく観て来ました。
昭和19年、絵を描くことが好きな18歳のすずは、広島から呉に嫁ぐ。
のんびり屋でボーっとしていると言われ続けたすずだが
持ち前の明るさと天然さで、嫁としての家事をこなしていく。
しかし戦禍は次第に悪化して行き…



日常を丁寧に描くことで戦争の恐ろしさを伝えるということが
どういうことなのか、自分の目で観て、ようやくわかりました。
確かにこの作品には、戦闘シーンなどは全く出て来ないのです。
画面の中では海や畑や風が眩しく光り、登場人物たちは地味に、しかし誠実に
その日その日を生きている。
しかし、穏やかな日常生活の中に、戦争はじわじわと侵入して来るのです。
そしてある日、すずのささやかな幸せは、破壊される。



自分の心の奥に隠しているつもりの脆い部分を
この作品は、実に上手に掴み出して揺すぶってくれる。
平和な、だらだらとしたすずの日常を、少々退屈するような思いで楽しんでいると
いきなり、奈落の底に突き落とされる。
しかもそこからも、毎日の暮らしは連綿と続くのです。
泣きたいような、鼻にツンと来るような、なんとももどかしい思い。
そこにコトリンゴの切ない歌声が、優しく絡まって…



この作品はまた、自分探し、自分の居場所探しの話でもある。
そりゃいくら呑気なすずだって、自分の居場所がなくちゃ生きていけないよねえ。
日々の暮らしを丁寧に送ることで、(結婚するまで顔も知らなかった)夫を少しづつ愛することで
すずは一生懸命、自分の居場所を作っていた。
遊女リンの言葉が、心に残ります。
「誰でも何かが足らんぐらいで、この世界に居場所はそうそうのうなりゃせんよ、すずさん」

公式HP http://konosekai.jp/
コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする