
昨夜、新国立劇場で「フィガロの結婚」鑑賞。
あまりにも有名なこの喜劇は、映画「アマデウス」でその場面が
多く出ていたこともあって、楽しみにしていました。
「セビリアの理髪師」に出て来たフィガロと、その恋人スザンヌの結婚をめぐる一日。
歌われる曲はどれも耳に馴染んだ、聞き覚えのある曲ばかり。
喜びに満ち溢れたような歌が多くて、モーツアルトの喜劇は本当に楽しい。
ただこの喜劇には「領主権」という言葉が出てきます。
「初夜権」とも訳される言葉。
中世のヨーロッパにおいて権力者が統治する地域の新婚夫婦の初夜に、
新郎よりも先に新婦と性交をすることができたとする権利。
小間使いのスザンヌによこしまな気持ちを持った伯爵が、
これを使って彼女を強引に奪い取ろうとするのです。
しかし伯爵も、ただ威張った権力者という訳ではなく、
最初はいい人ぶってその権利を放棄したのですが、スザンヌをものにしたくて
なんとかその権利を復活させようと画策するのです。
それをフィガロやスザンヌ、伯爵夫人たちにとっちめられるというマヌケな話。
舞台の中央に巨大な白いクローゼットが据えられ、その中で様々な駆け引きが行われる。
人間の欲望の象徴のようでもあります。
なんにしても、1786年にウィーンで初演されたこの演目が
今になっても尚、世界中で上演されているというのは凄いですねえ。