Zooey's Diary

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「哀れなるものたち」

2024年02月01日 | 映画

19世紀末ロンドン、不幸な若い女性ベラは自ら命を絶つが、天才外科医ゴッドウィン・バクスターによって自らの胎児の脳を移植されて蘇生する。大人の身体に幼児の脳を持つ彼女は好奇心の塊で、放蕩者の弁護士ダンカンに誘われて大陸横断の旅に出る。ベラは様々な経験をし、時代の偏見から解放され、驚くべき成長を遂げていく。



予告編で観たエログロさに恐れをなしていましたが、ベネチア国際映画祭で金獅子賞、今年のアカデミー賞で11部門ノミネートと言われては、やはり観ない訳にはいかない。
しかし…
あそこまでセックスシーンが必要か?



常識も恥じらいも知らない幼児の精神、しかし成熟した身体を持ったベラが、自慰や彼女の言う「熱烈ジャンプ」(furious jumping、多分オーガズム)に夢中になる様にはもう目も当てられない。
男に束縛されたり、所有物にされたり、一文無しになって娼館で働いたりとまあそれなりに苦労もする訳ですが、彼女はどれも快楽の手段として楽しんでいるようでもある。
そこにゴージャスな衣装、壮観な映像、自由極まりない音楽(不愉快な不協和音も多かった)、油絵のような極彩色の色使いが絡まります。
世紀末のリスボン、豪華客船、アレクサンドリア、パリ、その風景画面や装飾の素晴らしさに圧倒されます。



荒唐無稽なファンタジーではあるが、世界に旅出て知識や教養を深めることで、束縛しようとする男たちや社会から解き放される女の生き方を戯画化して描いた、女性の自己確立のメタファーとも言えるでしょう。
ラスト近くに出て来た、ベラの本来の夫が、女性器切除までしようとしたのには恐れ入りました。
でも私はこのヨルゴス・ランティモス監督の「女王陛下のお気に入り」も、ちっとも好きになれなかったのでした。

「Poor Things」公式HP 

コメント (4)
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