Zooey's Diary

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「その手に触れるまで」

2020年07月02日 | 映画

カンヌ国際映画祭コンペティション部門の常連であるダルデンヌ兄弟の監督&脚本作品と聞けば、やはり見逃す訳にはいきません。
同映画祭の2019年監督賞受賞作品。

ベルギーの13歳の少年アメッドは、近所のイスラム指導者に感化され、過激な思想にのめり込んでいく。
父親に捨てられ、アルコールに浸る母や露出度の高い服を着る姉を不潔に思い、日々、祈りに身を捧げる。
親身になって指導してくれる学校の女教師イネスを、導師の言うがままに敵対視し、彼女を刺し殺そうとする。
イネスに抵抗されて未遂に終わり、アメッドは少年院に送られる。



少年院ではアメッドは、丁寧に扱われます。
宗教は尊重され、作業中であっても日に5回の祈りの時間は確保される。
無理やりに宗教から引き離そうとすることもなく、酪農作業で生き物に触らせたり、心理療法士や、教官の奔放な若い娘が彼に関わろうとする。
しかしアメッドの心は頑ななままで…

映画では最初からアメッドは熱心なイスラム教徒であり、彼がどうしてそうなったかは描かれていません。
母親の台詞で、彼は一ヶ月前まではゲームに興じる普通の子供であったことが分かります。
そんな子供が何故狂信者になったか、何故優しい女教師を殺そうとまでするようになったのか、そこが一番知りたいところなのですが。
かつてオウム真理教事件で大勢の優秀な若者が洗脳され、殺人導師の手先となっていた。
その親たちの苦悩はいかほどのものであったか。
ということを、二人の息子を持つ母親としてつくづく思いました。


この先5行はネタバレです。 



まあ未熟な少年が洗脳されるのに、さしたる理由は要らないのかもしれません。
映画のラストは唐突に訪れます。
大きな怪我を負い、動けなくなってアメッドは「ママ」とつぶやく。
あれだけ必死に母親や教師が彼に訴えかけても心を開かなかったのに、勝手な時だけ頼るんじゃないと言いたくもなります。
果たして彼は改悛したのか、それとも…?

原題は「LE JEUNE AHMED」(若いアメッド)。

公式HP 


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2 コメント

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気になる映画 (ノルウェーまだ~む)
2020-07-03 00:13:47
zooeyさん☆
この映画観たいな~と思っていたところでした。
前にも書いたかと思いますが、毎日20時まで残業で映画にも行けず、特に単館系はチャンスを逃してしまいそうです。
いつか必ず見たいと思っています。

神に頼っても痛いや苦しいは改善されないけれど、母に抱かれれば少しは和らぐことをきっと知ったのではないでしょうかね☆
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まだ~むさま (zooey)
2020-07-03 22:52:08
お忙しそうで大変ですね。
これは新宿の武蔵野館で観ました。
観客は6~7人だったでしょうか。
ダルデンヌ兄弟の作品はやはり味わいがありますが
ラストが私にはどうにも未消化で。
是非ご覧になって感想をお聞かせください。
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