Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

「判決、二つの希望」

2018年09月07日 | 映画


レバノンの首都ベイルート、アパートのベランダで花の水やりをしていたトニーは
下で道路工事をしているヤーセルに水をかけてしまう。
謝る、謝らないで口論となり、それがどんどんエスカレートして行く。
暴言から暴力となり、警察沙汰、裁判沙汰となり、マスコミも騒ぎ出し、
遂には裁判の日に軍隊まで出てくる騒ぎとなる。

それもその筈、トニーはキリスト教のレバノン人。
ヤーセルはイスラム教のパレスチナ難民。
二人はそれぞれに、長らく殺し合っているという民族の背景を背負っていた。
お互いに親や家族を殺されたり、故郷を追われたり。
おいそれとは謝罪できないという事情がある。



それにしても、初めにヤーセルが言った言葉「クソ野郎」は分かりやすいが
次にトニーが放った言葉「シャロンに抹殺されりゃよかったのに」は
日本人には、少なくとも私には、どうしてそれがそんなに暴言になるのか分かりません。
しかしそれはヤーセルにとっては、実に許しがたい、
それを法廷で証言しなかったからという理由で自分が不利になっても
口に出せないという、決定的な言葉だったのです。



シャロンって誰?
分からないままに話はどんどん進んでいく。
しかもその言葉がいたる所でキーワードとなって来る。
それが分からない人間は観るなということかと、腹が立って来る。
しかも、この男たち、あまりに切れやすいし、年中苛立っている。
元はと言えば自分がうっかり水をかけたのが原因であるのに
トニーは徹底的に攻撃的で自分の非を認めないし、
ヤーセルは寡黙だが協調性がなさすぎる。
大統領が出て来て仲直りさせようとしても、二人は頑なに否定する。
ああ、こりゃもう駄目だと思って観ていくと…



不意に、赦しが訪れるのです。
すべてはここに至るまでの伏線であったか。
大きなカタルシスに全身が包まれます。
パレスチナ難民問題に疎い私のような人間であっても。
敏腕弁護士も軍隊も大統領もさせられなかった「和解」を
二人がどうやってしたのか?
是非、御自分の目でお確かめください。
ちなみにシャロンというのは、1982年のレバノン侵攻を指揮したイスラエル国防相であるらしい。

面白かった。
今年の映画ベスト5に決定。
レバノン出身のジアド・ドゥエイリ監督は、難民としてアメリカに逃れ、
タランティーノ監督の撮影助手をしていたといいます。
この作品は、自身の体験に基づいて描いたのだそうです。
レバノン、フランス映画。原題は「Insult」(侮辱)。

公式HP http://longride.jp/insult/

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日比谷からソニーパークへ

2018年09月06日 | お出かけ


日比谷ミッドタウンのDRAWING HOUSE OF HIBIYAでお昼を。
ここは空中庭園がとても綺麗で、なおかつ日比谷公園が借景となっているのが
売りのようで、今もとても混んでいます。



ランチ、映画の後、プラプラ銀座の方に歩いていくと
数寄屋橋交差点のソニービルの跡地に、大きな水槽が現れました。
かつては毎夏「美ら海水族館」という全館挙げてのイベントがあって楽しみにしていたのですが
ソニービルが無くなった今、もう見ることもないだろうと思っていたのです。
今回はこの水槽だけですが、それでも嬉しい。
1m以上の大きなナポレオン・フィッシュやウツボの他、
約25種類1,000匹の生き物たちがいるのですって。


(この写真はHPから頂きました・反射してしまって撮影が難しい)

その横には世界中から変わった植物を集めて来たという「アヲ」という小さな公園も。
虎屋出店のかき氷屋もあり、これは「練乳宇治金時氷」。



こちらでバオバブの小さな苗木を売っているというので、それも楽しみにしていたのですが
まったく見られない。
帰ってからネットで見てみたら…

「星の王子さま」とのコラボ企画として売り出したものの、「作品を冒涜」などと大炎上したので
早々に販売を中止した、ということでした。
”「原作をどこまで冒涜すれば気がすむのだろう(きっと原作を読んでないのだろうな)」
「最低のクソ企画」と批判の声が上がった”と。

いやはや。
「星の王子さま」は私も子供の頃大好きだったのでよく覚えていますが
確かに王子さまは、小さな彼の星にバオバブの木が大きくなると危険だからと
一生懸命根絶やししようとするのです。
でも、だからといってその苗木を売ることが「冒涜」になるなんて、私はこれっぽっちも思わない。
世の中、怒りの矛先を向ける所が他にあるだろう、と思うのですが…


銀座ソニーパーク https://www.ginzasonypark.jp/
『星の王子さま』バオバブの苗木の販売終了を発表
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1808/12/news019.html

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「あのころ、早稲田で」

2018年09月04日 | 


最近、早稲田大学のキャンパスに何十年ぶりに行って
全体に小奇麗になり、有名ホテルもでき、行き交う男女の学生も妙にお洒落になり、
外国人留学生の姿も増え…といった変わり様に驚いたのでした。
あの大学は友人や従弟が何人も行っていたし、そういえば私も学生時代、
「菊田昇医師の養子縁組斡旋法の制定運動」の手伝いで通っていた時期もあったのだった。
(いい加減な私が何故そんな堅い運動に関わっていたのか今となってはさっぱり
思い出せないのですが、その時はそれなりに真剣だったのです)
あの頃は狭いキャンパスに立看が林立し、ビラが風に吹き溜まり、とにかくゴチャゴチャした雰囲気だったのに
近頃では妙に綺麗になってしまったようです。

そんな時、本屋で目にしたのが「あのころ、早稲田で」。
中野翠のコラムや映画評は時々面白く読んでいるし、
表紙にトボケたインパクトがあって期待したのですが…
戦後ベビーブーマー第一世代(団塊世代)の著者は1965年に早稲田大学第一政経学部経済学科に入学。
クラスに女子は2人だけだったそうです。
”高校時代から『共産党宣言』やエンゲルスの著作を読みかじり、左翼にシンパシーを感じていたため、「社研」こと社会問題研究会に入る。『されどわれらが日々--』に触発され、大学に入ったら苦悩する「真摯」な生き方を目指すはずだったのに、入学した翌年に勃発した早大闘争にも今一つのめり込めない日々-”(amazonから)

結論から言うと、ちょっと肩透かし。
早稲田大学を舞台に色々な登場人物が出てきますが
描かれているのは表層的な付き合いだけ。
タモリや吉永小百合、久米宏、田中真紀子、村上春樹など有名人の名前がキラ星の如く
出てきますが、同時代に在籍していたというだけで親交はなかったらしいし。
当時の学生運動の様子、社会の雰囲気、流行ったポップカルチャーの様子などが
多少分かりますが、あくまでさらっと。
あの時代を同時に生きた人たちとの、内輪だけの回想録という気がしないでもない。
「私の人生の中で最も思い出したくもない日々」という
言葉には深く共感しました。
やっぱり学生時代なんてそんなものだよねえ。

エピローグに、この本を書くにあたって著者も半世紀ぶりに早稲田に行ってみたら
蕎麦屋の三朝庵が健在で、東海林さだお氏のこの店に寄せる歌を思い出したとありましたが
SNSの友人から、この夏に閉店したと聞いたばかり(この本は去年出版)。
百年以上、五代に渡って続いたお店だったのだそうです。
残念… 

「あのころ、早稲田で」 https://tinyurl.com/ybv6fbgh

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秋の気配

2018年09月03日 | 家庭


週末はNHKホールで東京ジャズ・フェスティバル。
御年78歳のハービー・ハンコックの元気な舞台を観て来ました。
会場が一番盛り上がった「カメレオン」が1973年の曲と言いますから
ほんの半世紀ほど前。
息の長いアーチストです。
今回、ロバート・グラスパーとの競演もありました。
その、土曜日まではとても暑かったのですが
夜遅くのその帰り道、スコールのような激しい雨がざあっと降って…



あくる日曜日も、今日月曜日も、肌寒いような雨の日です。
あの暑かった夏も一区切りか。
そうなればなったで、ちょっと寂しいような思い。



雨で散歩に行けないタロウ。
そんな目で見られても…



あんまり退屈そうなので、プリングルズの底にオヤツを一粒入れて与えてみたら、
10分位格闘していました。
知能指数はあんまり高いとは…w
イソップ寓話の「キツネとツルの食事会」の話を思い出しました。
キツネがツルを食事に招いて、平たい皿に入れたスープを出します。
怒ったツルはキツネを招き、細長い壺に入れたスープを。
タロウはまんまとやられる口であります。

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夏の名残りの

2018年09月01日 | お出かけ


8月の末日の昨日、上野公園に行って来ました。
最高気温はまだ35℃のうだるような猛暑日。



不忍池の蓮の花は、もうとっくに盛りを過ぎていましたが
広大な池には、まだ沢山の花が咲いていました。
但し池は広すぎるし、花はポツンポツンとしか咲いていないし、
だから群れ咲く様は撮れなかったのですが…
それでも夏の終わりの、最後の蓮の花が見られて満足。



上野の森さくらテラスのCafé&Rotisserie LA COCORICOでランチを。
ここは専用のロティサリー・オーブンがあるのだそうで
塩のみでしっくり焼き上げたというロティサリーチキンが、シンプルで美味しい。



そして「ミケランジェロと理想の身体」展へ。



この2点が、本展の目玉作品なのだそうです。
左の「ダヴィデ=アポロ像」というのは
聖書の英雄ダヴィデなのかギリシヤ英雄アポロなのか、
未完ゆえに謎に包まれ、いまだに専門家の間でも議論され続けているのだそうです。
右の「若き洗礼者ヨハネ像」は、ミケランジェロ弱冠20歳の作品なのですって。
内戦後、残されたわずか14の石片(本来の姿の40%)から復元が行われたのですと。
そして圧巻はラオコーン像。
これは高さ2mの大きなもので撮影可となっていました。



昨日はあんなに暑かったのに、今日は32℃でしかも曇り、一息つけるようです。
何と言っても、もう9月ですものね。
「殺人的な暑さ」「災害レベルの暑さ」と連呼された2018年の夏を
忘れることはないだろうな…

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