Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

「バンクシー展 天才か反逆者か」

2020年09月10日 | お出かけ

誰もその正体を知ることのない匿名のアーティスト、バンクシー展に行って来ました。
70点以上のオリジナル作品や版画、立体オブジェクトが横浜に集結!
オンライン完全予約制、アプリをDLして音声説明を自分のスマホで聞けるのはありがたいのですが、説明が翻訳調そのままでしかも長すぎ、一つ一つの絵について全部を聞いていられなかったのが残念。
それでも、風刺の効いたバンクシー作品を堪能しました。

上のポスターの絵は、2018年サザビーで落札されると同時にシュレッダーでズタズタにされた作品。
1億5千万円という巨額の値がついたことへの、資本主義にシニカルな目を持っているバンクシーの皮肉だったのかもしれませんね。



覆面姿の少年が投げつけようとしているのは、火炎瓶ではなく花束。



「今は笑うがいいさ、でも今に見てろ!」
バンクシーの無名時代に描かれたといいます。



ナパーム弾から逃げる少女の横には、アメリカの資本主義を象徴するミッキーマウスとマクドナルド。



誰もが忌み嫌うネズミは社会的弱者を表すのですって。
バンクシーの作品には多々登場します。



トトを連れたドロシーを職務質問、手荷物を検査する警官。



会場では全員がマスクをしていました。


バンクシー展 天才か反逆者か

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「オフィシャル・シークレット」

2020年09月09日 | 映画

2003年、イギリスの諜報機関GCHQで働くキャサリン・ガン(キーラ・ナイトレイ)は、アメリカの諜報機関NSAから驚きのメールを受け取る。
イラクを攻撃するための違法な工作活動を要請するその内容に強い憤りを感じた彼女は、マスコミへのリークを決意。
メールは新聞に大々的に報じられて全国的に戦争反対のデモが行われるが、イラク戦争は始まってしまい、キャサリンは公務秘密法違反で起訴される。


あの衝撃的な9.11事件の後、米国政府はイラクのフセイン大統領が大量破壊兵器を持っていると決めつけ、イラク戦争が開幕した。
その後、大量破壊兵器が何処にもなく、米国のでっちあげであったことは周知されるところです。
この映画のエンドロールに「イラク戦争での死者は、イラク人が15万~100万人、米英軍は4600人以上」と出てきます。



着目すべきは、キャサリンがジャーナリストではなく、諜報機関に勤めているとはいえ、一介の事務職員に過ぎないこと。
それでも彼女は、見てしまったメールを見なかったことにはできなかった。
散々悩み、クルド系トルコ人の夫にも反対されながら、しかし自分の良心を裏切ることはできなかった。
そしてリークした彼女は警察に厳しい尋問を受け、起訴されるのですが、驚くべき結果が待っていた。


国家による大嘘というと思い出すのは、「ナイラ証言」(Nayirah testimony)です。
15歳のナイラという少女が、1990年トム・ラントス人権委員会にて行った証言。
イラクによるクウェート侵攻後、「イラク軍兵士がクウェートの病院から保育器に入った新生児を取り出して放置し、死に至らしめた」と涙ながらに語ったというものです。
その後、国際的な反イラク感情が高まって、アメリカを中心にイラクへの攻撃支持世論が喚起されることになる。
ところが後に、彼女はナイラではなく、まるで違う名前のクウェート駐米大使の娘であり、証言は虚偽であったことが分かるのです。
国家が少女にそんな大嘘をつかせるなんてと、衝撃を受けたものです。


(キャサリン・ガン)

キャサリン・ガン本人はこの映画を観て
「ほぼ正確に描かれていて、過去に連れ戻されたようでした。このことを知らない、新しい世代がこの映画から学んでくれることを祈っています」と語ったそうです。
日本でも近年、官邸とメディアの驚くべき関係を暴いた映画「新聞記者」が評判になりましたが、もしキャサリン・ガン事件のようなことが起きたら?とつい考えてしまいました。
いや、日本ではあり得ないかな…?

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「ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂」

2020年09月07日 | 

ごく若い頃に井伏鱒二の「ジョン万次郎漂流記」を読みましたが、中身を綺麗に忘れた状態で、アメリカ版のこの本を読んでみました。
マーギー=プロイス著「Heart of a Samurai」邦題は「ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂」。
著者は児童文学者で、この本は2011年にニューベリー賞オナー受賞、アメリカでも話題になったといいます。
幕末土佐の貧しい漁師の家に生まれた万次郎は、14歳の時に漂流しアメリカの捕鯨船に助けられ、船長ホイットフィールドに引き取られ、アメリカで4年間学校に通い、英語数学航海術などを学んだ。
この本はアメリカに初めて渡った日本人といわれる万次郎の、成長・冒険物語です。


万次郎が実際に書いたスケッチや手紙をふんだんに挟み、架空の人物も多少加え、言葉も習慣も異なる地で彼がどのように生き抜いていったかを、生き生きと描いています。
19世紀のアメリカ東部の町で、万次郎は奇異の目で見られる。
学校でも熾烈ないじめを受けるのですが、いじめの親玉トムに乗馬での走競争を申し込む。
その競争でのワンシーン。
”自分の下で道が後ろに流れ、まぶしい新緑の森が凄い速さで後ろへ飛び、空はうごめく青い空に見える中、気づいた。これが、自由だ。この国では誰もが将来に希望を持てる。願いや夢を持つことができる。よし、それに専念しよう。今、このとき、自分の願いは勝つことだ。”


これはアメリカ人に受けるだろうなあという描写があちこちに。
無論よいことばかりではなく、万次郎は陰湿な差別も受けます。
船長は彼を教会に連れて行くのですが受け入れて貰えず、何度も教会を変えたという資料が残っているそうです。


その後、万次郎はまた捕鯨船に乗ったり、西部に金を掘りに行った後、11年ぶりに日本に帰ります。
鎖国中の日本では外国帰りは罪人であり、2年近くも牢に入れて散々調べられた挙句、ようやく帰郷を許される。
そして下級武士に取り上げられるのですが、漁師の息子が侍になるとは、当時の日本では考えられないことだったと。
後にペリーが江戸湾にやって来たこともあって、通訳、そして将軍の相談役となって活躍する。
児童文学なので物足りない面もありましたが、アメリカ人の視点から描いた万次郎ということで、中々新鮮に読めました。


ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂」 

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「ファヒム パリが見た奇跡」

2020年09月03日 | 映画

父親が反政府運動をしていたせいで命の危険に晒された、バングラデシュの少年ファヒムは、父親と共に難民としてパリに移住する。
チェスの才能に恵まれたファヒムは、フランス屈指のチェスのコーチであるシルヴァン(ジェラール・ドパルデュー)に鍛えられ、その頑固な性格と衝突しながらも、才能をどんどん開花させていく。
フランス語も習得して周囲に馴染んでいくが、政治難民の申請を却下された父親は、息子を置いて姿を消してしまう。
フランスであった実話を基にした物語。



8歳の少年は母親と別れるときには泣き叫んでいたのに、移民保護センターですぐに友達を作り、みるみる言葉を習得していきます。
祖国では消防団長として活躍していたのに、言葉もできず異文化にも馴染めず、孤立するばかりの父親の情けなさとは、実に対照的です。
いつになっても手掴みで食事をする父親は、ナイフとフォークを使いこなす息子を見つめるばかり。
住む家もなく、コーチの家、友人の家などを転々としながら、ファヒムはチェスの全国大会を目指すのです。


この映画は難民問題を訴えるだけでなく、少年の成長物語でもあります。
奇をてらうことなくストレートな脚本、メッセージも実に分かりやすい。
フランスの名優ジェラール・ドパルデュー、久しぶりに見たと思ったら、もう71歳なのですね。
大きな曲がった鼻と大きな体躯で、変わり者のチェスのコーチを熱演していました。
少年ファヒム役のアサド・マーメッドが、実に素晴らしい。
彼自身、出演の3か月前にバングラデシュから政治亡命者の息子としてパリに来たばかりで、最初はフランス語もまったく話せず、撮影しながら言葉を習得したのだそうです。



全国大会で優勝したとしても、市民権がなければそれを認められない。
案に窮したチェス教室のオーナーのマチルドは、ラジオの「大統領に直談判する」コーナーに電話する。
その時の台詞が奮っています。
「フランスには人権があるのですか?
 それともあるふりをしているだけなのですか?」
日本人のオバさんには中々言えない台詞、フランス人だなあ、と思わせられた場面でした。


ファヒム パリが見た奇跡」 

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マスクの夏

2020年09月02日 | 社会

週末から岐阜に帰省していました。
8月29日土曜日朝9時頃の新幹線はガラ空き、こんな感じです。
あんまり混むのも怖いですが、ここまで空いていると気の毒になります。


岐阜ではずっと猛暑でしたが、昨夜新横浜駅で新幹線から降りたら、空気が少しひんやりしているのに驚きました。
岐阜は昨日も最高気温37℃だったのに、横浜は27℃。
新幹線に1時間半乗るだけでこんなに違うものかとビックリ。



何処に行くにもマスクをしたまま過ごしたこの暑い夏を、一生忘れることはないでしょう。
来年の夏はマスクとは無縁だと思いたいものですが。
少しでも快適にマスクをできないかと、こんなものを買ってみました。
マスクの中に入れるプラスチックのフレーム。
猛暑の中、マスクが口鼻にへばりつくのを多少は防いでくれるようです。



コロナの抗体検査を受けてみたら陰性でした。
指先に検査キットの針をパチンと刺して微量の血液を採り、10分程で結果が出ます。
これは過去に感染した痕跡を探す検査であって、今感染しているかどうかは分からないとのこと。
高齢の母に接するには、やはり安心はできないということなのかな?



実家に取ってある児童文学全集の一冊を、久しぶりに手に取ってみました。
全50巻を小学校に入学してから揃えて貰い、舐めるようにして読みました。
一巻500ページ上下段組のボリューム、川端康成監修と、今思うと中々に贅沢なものでした。
私の読書生活の原点です。


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