Zooey's Diary

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「オフィシャル・シークレット」

2020年09月09日 | 映画

2003年、イギリスの諜報機関GCHQで働くキャサリン・ガン(キーラ・ナイトレイ)は、アメリカの諜報機関NSAから驚きのメールを受け取る。
イラクを攻撃するための違法な工作活動を要請するその内容に強い憤りを感じた彼女は、マスコミへのリークを決意。
メールは新聞に大々的に報じられて全国的に戦争反対のデモが行われるが、イラク戦争は始まってしまい、キャサリンは公務秘密法違反で起訴される。


あの衝撃的な9.11事件の後、米国政府はイラクのフセイン大統領が大量破壊兵器を持っていると決めつけ、イラク戦争が開幕した。
その後、大量破壊兵器が何処にもなく、米国のでっちあげであったことは周知されるところです。
この映画のエンドロールに「イラク戦争での死者は、イラク人が15万~100万人、米英軍は4600人以上」と出てきます。



着目すべきは、キャサリンがジャーナリストではなく、諜報機関に勤めているとはいえ、一介の事務職員に過ぎないこと。
それでも彼女は、見てしまったメールを見なかったことにはできなかった。
散々悩み、クルド系トルコ人の夫にも反対されながら、しかし自分の良心を裏切ることはできなかった。
そしてリークした彼女は警察に厳しい尋問を受け、起訴されるのですが、驚くべき結果が待っていた。


国家による大嘘というと思い出すのは、「ナイラ証言」(Nayirah testimony)です。
15歳のナイラという少女が、1990年トム・ラントス人権委員会にて行った証言。
イラクによるクウェート侵攻後、「イラク軍兵士がクウェートの病院から保育器に入った新生児を取り出して放置し、死に至らしめた」と涙ながらに語ったというものです。
その後、国際的な反イラク感情が高まって、アメリカを中心にイラクへの攻撃支持世論が喚起されることになる。
ところが後に、彼女はナイラではなく、まるで違う名前のクウェート駐米大使の娘であり、証言は虚偽であったことが分かるのです。
国家が少女にそんな大嘘をつかせるなんてと、衝撃を受けたものです。


(キャサリン・ガン)

キャサリン・ガン本人はこの映画を観て
「ほぼ正確に描かれていて、過去に連れ戻されたようでした。このことを知らない、新しい世代がこの映画から学んでくれることを祈っています」と語ったそうです。
日本でも近年、官邸とメディアの驚くべき関係を暴いた映画「新聞記者」が評判になりましたが、もしキャサリン・ガン事件のようなことが起きたら?とつい考えてしまいました。
いや、日本ではあり得ないかな…?

コメント (2)
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