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最高裁トップが外国政府に判断仰ぐ「属国の作法」

2013-04-08 19:10:33 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

最高裁トップが外国政府に判断仰ぐ「属国の作法」




『戦後史の正体』がまたひとつ明るみに引き出された。

元山梨学院大学教授の布川玲子氏が今年1月、米国立公文書館に開示請求し入手した文書が明らかにされた。


文書は1959年8月3日付で、当時の田中耕太郎最高裁長官とレンハート主席公使の会談の内容および米大使館の見解をマッカーサー駐日米大使が米国務長官あてに送った公電などである。


安倍政権は4月28日に「主権回復の日」記念式典を挙行しようとしているが、残念ながら、日本はいまなお主権を回復できずにいる。


今回明らかにされた外交文書は、日本の裁判所が「法の番人」ではなく「権力の番人」である実態を示すものである。


ここで問題になるのは、誰が権力者であるのかだが、その答えは明白だ。


米国が権力者であって、米国が日本の最高裁の決定を「実効支配」している構図が鮮明に浮かび上がる。


「天網恢恢(てんもうかいかい)疎(そ)にして漏らさず」


と言うが、最高裁長官も自分の死後に、このような秘密が暴露されるとは思っていなかったことだろう。



また、時事通信社はAFP電としてロンドンからの次の情報を示す。

「内部告発サイト「ウィキリークス」は8日、1970年代の米政府の外交・情報文書170万点以上を公開する。英ロンドン市内にあるエクアドル大使館にいる同サイト創始者ジュリアン・アサンジ容疑者が明らかにした。


公開されるのは73年から76年までの電信文や議会通信文。当時のキッシンジャー国務長官が送付・受領したものや、「配布禁止」「親展」と注意書きが施された文書が多く含まれている。」


さらに、日本の『戦後史の正体』が明らかにされることになるだろう。



沖縄タイムスは今回明らかにされた事実について次のように報じている。

「1960年の日米安全保障条約改定に絡み、日本政府の批准法案の国会提出が当初の予定より遅れたのは、米軍旧立川基地の拡張計画をめぐる「砂川事件」で米軍駐留を違憲とした59年3月の東京地裁判決(伊達判決)が影響しているとの見方を、日本側が在日米大使館側に示していたことが7日、機密指定を解除された米公文書で明らかになった。


伊達判決を支持する世論や社会党などの追及を、日本政府が強く意識していたことなどがうかがわれる。」


砂川事件とは、1957年7月に、東京の米軍立川基地拡張に反対するデモ隊の一部が、アメリカ軍基地の立ち入り禁止の境界柵を壊し、基地内に数m立ち入ったとして、日米地位協定実施に伴う刑事特別法違反で起訴された事件である。


東京地裁の伊達秋雄裁判長は、1959年3月30日、米軍駐留が日本国憲法第9条が禁止する戦力の保持にあたり、違憲であるとの判断を示し、全員無罪の判決を示した。


1960年には日米安保改定が予定されており、米国は問題処理を急ぎ、当時の駐日大使ダグラス・マッカーサー2世が、上記判決の破棄を狙って外務大臣藤山愛一郎に最高裁への跳躍上告を促す外交圧力をかけ、また、最高裁長官・田中耕太郎と密談するなどの介入を行なっていたことが、すでに米国公文書から明らかにされている。


沖縄タイムスは、


「田中長官は59年12月の判決前にマッカーサー米大使と会談し「(駐留米軍を違憲とした一審の)伊達判決は全くの誤りだ」と伝えていたことが既に判明している。」


ことも伝えている。



今回明らかにされた文書内容についての沖縄タイムス報道は次の通り。


「「もし最高裁が地裁判決(伊達判決)を覆し政府側に立った判決を出せば、安保条約を支持する世論は決定的になる」とし、「社会主義者たちは自分たちの攻め技がたたって投げ飛ばされることになるだろう」と米大使館の見立てが記されている。」


「今回公開された米国務長官宛ての公電では、砂川事件の上告審で裁判長を務めた田中耕太郎最高裁長官が1959年夏、面会したレンハート駐日米公使に「(最高裁の)評議では実質的な全員一致を生み出し、世論を揺さぶりかねない少数意見を回避するやり方で評議が進むことを願っている」と語っていたことも新たに判明した。


この時期は最高裁が裁判日程を決める直前で、長官は「判決はおそらく12月だと考えている」との見通しを漏らし「弁護団が裁判を遅らせるべく、あらゆる法的手段を試みている」とも話していた。公電には「田中長官は口頭弁論を約3週間で終えることができると確信している」との記載もあった。」



日本の裁判所のトップである最高裁長官が、裁判の内容について、米国大使館幹部と密談し、米国の意向に沿う最高裁判決を示す方針を伝達しているのである。


これは、偶発的、単発的な事例ではない。


日本の裁判の本質を示す事例である。


最高裁がこのような行動を示す国が独立国であると言えるであろうか。


そもそも日本で憲法を改定し、戦力の不保持を決めたのは米国である。


その憲法では裁判官の職務についてどう記載したのか。


第七十六条

○3  すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。


「良心に従い独立してその職権を行い」


「この憲法及び法律にのみ拘束される」


と明記しておきながら、伊達秋雄裁判長が憲法の規定に沿って適正な判決を示したことに対して、米国が圧力をかけて判決を変えさせる。第二審をすっ飛ばして、最高裁判決を前倒しで示させたのである。



安倍政権が記念式典を開こうとしている1952年4月28日発効の「サンフランシスコ講和条約」にはどのような規定が盛り込まれているか。


第六条
(a) 連合国のすべての占領軍は、この条約の効力発生の後なるべくすみやかに、且つ、いかなる場合にもその後九十日以内に、日本国から撤退しなければならない。


占領軍が日本から撤退して、初めて日本の主権は回復される。


占領軍が日本から撤退して、初めて日本は独立を回復するのである。


ところが、米国はこの条文に但し書きを書き加え、日本との間で日米安全保障条約を締結させ、米軍の駐留を維持した。


同時に、沖縄は米軍に供与された。


1952年4月28日は沖縄にとっては「屈辱の日」である。






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ウソをつき、騙し、主権者の利益を踏みにじる政治

2013-04-08 06:05:28 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

ウソをつき、騙し、主権者の利益を踏みにじる政治




「ウソをつく政治」、「国民をだます政治」が横行している。


政治が著しく劣化している。


政治を外から見つめ、批評精神をもって政治の誤りを正すべきメディアが、権力に迎合して政治権力の太鼓持ちに堕している。


これがメディアの劣化だ。


両者があいまって政治の劣化が加速し、これを正す動きがなくなれば、国自体が滅びゆくことになる。


いま、日本の政治はその危機に直面している。



2009年の総選挙で野田佳彦氏は「天下りとわたりの根絶」を訴えた。


同時に、「天下りとわたりの根絶」を実現せずに消費税を増税しないことを明言した。


その野田佳彦氏が「シロアリ退治なき消費税増税」を強硬に推進して、対立政党である自民党・公明党と手を組んで消費税増税の法律を成立させた。


明らかな国民に対する背信行為である。


野田氏は「衆院任期4年間の消費税増税はやらないと言ったが、衆院任期後の増税までは否定していない」と述べて、公約違反ではないと言い張った。


しかし、「シロアリを退治しないで消費税をあげるのはおかしい」と明言したことについての説明は示していない。


このような「詐欺師的な」政治を主権者である国民が容認してしまうことが政治の劣化をさらに加速させる結果を生み出す。


この意味では主権者である国民も、日本政治の劣化に責任を負っている。



安倍晋三氏は選挙の際に、TPPに対する慎重姿勢を明示した。


自民党の選挙ポスターには、


「うそつかない! TPP断固反対! ぶれない! 自民党」


と明記された。


(1)「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り交渉参加に反対。


(2)自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。


(3)国民皆保険制度を守る。


(4)食の安全安心の基準を守る。


(5)国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。


(6)政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。



を自民党は政権公約に盛り込んだ。


(1)の公約事項は、


「例外品目を設定し、「聖域」を設けることができなければTPPには参加しない」


という意味だ。


主権者国民にとっては、「前提とするとかしないとか」などの、言葉の綾などはどうでもよいこと。最終的に結果として、例外品目を聖域とできるかどうかが問題になる。


特定の品目を聖域とするのは農家を守るための方策ではない。日本の国のあり方を守るための方策だ。この点も勘違いしてはいけない。




前提うんぬんの話は、交渉プロセスの話であって、主権者国民にとって影響が生じるのは、あくまでも結果として、どのような決着になるのかである。


したがって、安倍氏が責任を持つべきことは、あくまでも最終的な結果である。


ところが、安倍氏の姿勢はまったく異なる。


自民党の政権公約の一字一句の言葉の綾をかいくぐって、交渉に入るときにすべての関税を撤廃するとしないなら、交渉の結果として、すべての関税を撤廃することになっても公約違反にはならないとする姿勢が示されている。


この姿勢が、「詐欺師まがい」であることが問題なのだ。



政治が「かけひき」だけのものになることが「政治の劣化」なのだ。


政治にとって何よりも大事なことは「信頼」である。


「信なくば立たず」こそ政治の真髄を示す言葉だ。



日本の政治である以上、また、日本が国民主権を根本原理に位置付けている以上、政治は日本国民の意思を反映するものでなければならない。


沖縄の基地問題が論じられているが、安倍晋三氏の軸足がどこに置かれているか。


ここが問題である。


沖縄県民が総意として、普天間の辺野古移設に反対している。


沖縄県選出の国会議員もすべて、普天間の辺野古移設に反対している。


そして、沖縄県民だけでなく、日本の国民全体においても、普天間の辺野古移設に反対する人は間違いなく過半数を超えているだろう。


そうであるなら、日本の主権者を代表する政治、政府は、普天間の辺野古移設に反対するべきである。


ところが、安倍晋三氏は、いま強引に辺野古への移設を強行しようとしている。


その理由はただひとつ。米国が命令しているからだ。







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