【スターウォーズデザイン】
すべてはデザインで決まる。
「スターウォーズ エピソードⅠ」を考察することで、骨太のものづくり戦略を考えてみようと思い
ついて、ブログ掲載を断片的にやってきたが、続編の「エピソード7」のニュースが入ってきて驚く。
俳優のマーク・ハミルとキャリー・フィッシャーが、最新作「スター・ウォーズ エピソード7」の
撮影に向けてダイエットするように言われてしまったというのだ。それによると、36年前に 「スタ
ー・ウォーズ」シリーズ初期3部作でそれぞれルーク・スカイウォーカーとレイア姫を3演じた2人だ
が、現在61歳のマークと56歳のキャリーは、オリジナルのイメージになるべく近づくため体型を絞
るようにとプロデューサー陣から忠告されたという。ある関係者は英ザ・サン紙に「マークとキャリ
ーはあの初期作品の頃の姿にできる限り近づく必要があるんです。プロデューサー達は2人をサポー
トして何かと援助していますよ」「何せ製作予算が莫大ですから浪費はできませんがね」という。エ
ピソード7の撮影が始まる前までに若かりし頃の体型に戻さなければいけないという2人には、確実
なダイエットができるようにと、専属の栄養士やフィットネストレーナーがつくようだと伝えている。
また、オリジナルでハン・ソロを演じたハリソン・フォードも本作に復帰してマーク、キャリー、ハ
リソンのオリジナル・トリオが再集結する予定だが、ハリソンに至っては71歳にも関わらずスリムな
体型を維持しているためにプロデューサー陣は現状で満足だと考えているというの聞いてほっとして
いる。
【いまさら聞けないMOX燃料】
いつもながどうして、このような重大な問題が鵺のような扱いにされるのかと戸惑ってしまう。高浜原
発から約2キロ離れた対岸の岸壁では、約150人がプルサーマル発電に反対し「MOX燃料を認めないぞ」
とシュプレヒコールを上げた。午前6時半ごろ、輸送船が警備艇を伴い、海上に姿を現した。対岸に集まった
人たちは「STOP MOX!」と書かれた横断幕などを掲げ「船は直ちに帰れ」と抗議の声を張り上げ
たという。原発作業員の防護服姿で抗議した京都市の鍼灸師の寺野哲也さんは「プルサーマルという危険
な発電を何としても止めないといけない。命に関わる問題だ」。滋賀県栗東市の主婦、高瀬應臣さんは「
MOX燃料は放射線量が高く危険。次の世代につけを残してはいけない」と訴えたと毎日新聞は掲載して
いる。それによると、福井市の主婦、小野寺恭子さんは「原発を無くしていこうとする流れに逆行してい
る。微々たる力だが、抗議の態度は示したいと思った」と語り、抗議集会も開かれ、原子力資料情報室の
西尾漠共同代表が「プルサーマル発電で原発はより一層、危険になる」と訴えた。その後、参加者は高浜
原発のゲート前に移動し、関電の担当者に抗議文を手渡したという。これに対し、福井県の桜本宏・安全
環境部長は「今回の輸送は日本とフランスの外交上の問題であり、関西電力と(燃料を製造した)アレバ
社の契約上の問題。それぞれの立場で責任を持って判断している。実際の発電とは別の話だ」と語った。
今後の対応については「関電から何も聞いていない。改めてプルサーマル発電の意義や安全性を厳正に確
認したいが、まずは国が明確なメッセージを示すことが大事だ」と話す。
ここで、お復習いで核燃料の定義を再確認していこう。使用する場で二酸化炭素を直接排出することのな
い電気エネルギーの利用は今後も拡大傾向にあり、なかでも原子力発電は化石燃料による発電と異なって、
発電プロセスに二酸化炭素の発生がない点で注目されてきた。しかし、これも核燃料を発電プロセスに役
立るまで加工するのに大量の子不ルギーを使う点を含め、結果的には二酸化炭素を排出している。 原子
力発電の中核技術は、原子爆弾と双生した原子炉のそれである。この発電の仕組みは自然界にある最も重
い物質であるウラニウム等を核分裂させ、発生するその子不ルギーを利用する。ただし、爆弾のように一
気に核分裂エネルギーを放出するのではなく、発生する中性子数を制御しながらジワジワと核分裂エネル
ギーを放出させ、それを熱エネルギーに変え、水蒸気をつくり発電機を回し、電気を生む。
日本は世界で唯一の核被爆国ということで、核への抵抗感は国民の間に根強いものがある。一方、原子力
エネルギーは小資源国として、石油や石炭などの化石燃料を必要としないので、政府は願ってもないエネ
ルギー源と考え、その育成へ大変な力を入れてきた。 日本は1966年に商業用の原子力発電を始めた。
その一年前、1965年のエネルギー源別発電割合をみると、水力は四割強、残りが石油・石炭による火力で
あった。原子力発電は排煙から汚染物質を出さないクリーンな手不ルギー源として、むしろ社会的に認知
される風潮があった。その後、原子力発電は二度のオイルショックを経て、石治代替手不ルギーのエース
としてますますその比重を高めてきた。総発電量に占める原子力発電量が多い国は、世界で第一位が米国、
第二位がフランス、日本は第三位に位置する。
1992年の日本の総発電量は、電気事業の再編が行われた1951年当時の約20倍、原子力発電所の着エラッシ
ュが始まった65年当時の約5倍になっている。そして、現在、原子力発電は総発電量の約35%を占め、51
基が稼働中で、あと20基が計画されている。地域別では関西が50%、関東が30%を原子力発電に依存をし
ている。原子力で問題なのは、その利用技術が恒常的エネルギ ー源としてまだ十分完成していない点に
ある。最近の事故としては、燃料加工のプロセスで発生した㈱JCO東海事業所での中性子の臨界事故が
ある。これは「レベル4」ということで、最も高い「レベル7」の旧ソ連のチェルノブイリ原発事故、「
レベル5」の米国スリーマイル島事故に次ぐ、世界で3番目の大事故であった。そして、今回の福島第一
原発の事故だ。原子力発電のまだ十分に完成されていない大きな課題は、運転の安全性と燃え滓の高レベ
ル放射能の処理問題にある。とくに、燃え滓として常に生み出される放射性廃棄物の処理・処分方法では、
ガラス固化、アスファルト固化、あるいは地層処分などの方法が試みられてきているが、いずれも問題が
ないわけではない。
例えば、放射性廃棄物用ステンレス容器は「千年の保管に耐える」と報告されていたが、それはあくまで
も計算上の話である。原発について政府の担当者は、当初「東海村で貯蔵し、将来は海洋投棄する」と楽
観的な見通しを語っていた。しかし、東海村の貯蔵所は1970年代の半ばで早くも満杯状態になった。また
海洋投棄も事実上不可能になった。米国が過去に放射性廃棄物をコンクリートで固め、ドラム缶に入れて
海洋投棄をしたが、その後の調査によれば、内容物がドラム缶の腐食で溶けだし、汚染を引き起こしたこ
とがあったからである。海洋投棄規制条約締結国会議では1983年にロンドン条約によって、放射性廃棄物
の海洋投棄は「安全性が確認されるまで禁止する」という決議を承認している。さらにこの内容は85年に
も再確認され、海洋への投棄処分が簡単にはいかなくなっている。現在、ドラム缶の数で数10万本が各原
子力発電所の廃棄物貯蔵施設に保管されている。毎年6万本以上が追加されており、新しい原子力発電所
を除けば、貯蔵施設はどこもが増設を強いられていた。原子力発電所は、廃棄物1㌔㌘当たり一銭という
お金を積み立てている。計画では、将来燃え滓の処理技術が完成した時点で、このお金を使って処理する
予定でいる。しかし、この金額で計算が合うかどうかは未知数であり、原子力発電もこれですむのであれ
ば割安と評価できよう。世界の先進国の動向は、原子力発電の抑制あるいは廃止へ向う傾向にある。
核分裂と異なる核融合発電は、※1次世代の核エネルギーとして期待されている。この技術開発は、水素
の原子核を融合させることから生ずる桁違いなエネルギーを利用するもので、この発生原理は太陽エネル
ギーと同じものである。核融合発電は、1960年代から開発が始まり、エネルギー問題はこれが完成すれば
永遠に解決といわれたものである。理由は、燃料源としては海洋に存在する大量の重水素を利用するので
資源の制約はなく、さらに原子力発電は放射性廃棄物を大量に生み出すが、核融合発電は廃棄物に大きな
問題もないといった点である。
核融合エネルギーの利用は、すでに水素爆弾で実現している。しかし、発電に応用する技術開発は原子力
発電より格段に困難であった。当面の原理的工学的技術開発に絞れば、重要な障害が2つある。1つは、
核融合によって発生する強力な中性子とその熱負荷に耐えられる炉壁材料の開発である。発電エネルギー
は炉壁のなかで発生し、それを炉壁を通して取り出すので、炉壁は常に強力な中性子や誘導放射を受け続
ける。それでも壊れない強靭な材料を開発する必要がある。
2つは、生体へのトリチウム(三重水素)の安全性の問題である。トリチウムは核融合発電に必要なエネ
ルギー源で、半減期が12.366年という水素の放射性同位体である。成人体重の60%が水によるものといわ
れているが、例えばその水分子の水素ヘトリチウムが置換されることで、水が重水になる危険性である。
いずれにしろ、これらの技術開発には桁違いの研究開発費をかけてきたが、いまだ先がよくみえない。開
発に期待をかけていた人々のなかにも「アメリカもフランスも手を焼いてやめてしまった。日本もやめた
らどうか」という意見が出ている。これ以上の研究開発は経済的にも一国の力に余る。国際協力で開発し
ていく部分が増えていくことになるだろう。核融合発電はまだ研究段階にあり、その課題は21世紀に残さ
れている。
動燃解体事件
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は、1967年に設立以来、政府の原子力関連施策の最重要課題を背負い、
永遠に電力を発電し続ける「夢の核燃料サイクル」の開発へかかわってきた。しかし、その動燃も相次ぐ
事故と不手際な後始末が問題にされ、解体・改編された。高速増殖炉と高レベル放射性廃棄物処理の研究
は、国が監督する新しい機関(核燃料サイクル開発機構)へ、その他は民間へ移管された。原子力発電か
ら未来の核融合発電へ直接移行することは、先に述べたように、飛躍が大きすぎて現実的でない。そこで、動燃を
中心にこの中間ステップとして核燃料サイクルの確立が目指されてきたのだが、動燃解体事件がそのことへ大きな
影響を与えたことはいうまでもない。「夢の原子炉」(高速増殖炉)の技術開発は大幅に遅れ、長期計画
として2030年頃に確立するとしていた核燃料サイクルの技術体系についても目標年次は不透明になった。
原子力発電の燃え滓から燃料が生み出される、しかも燃やした以上に燃料が生み出されるという核燃料サ
イクルは、独自のエネルギー資源をもたない日本にとって実に魅力的である。しかし、核燃料廃棄物であ
り、燃料でもあるプルトニウムは危険性の非常に高い物質で、その取り扱いについてはいまだに研究段階
にある点が多い。核燃料のウランを通常の軽水炉などの原子力発電所で燃やし、発生した燃え滓から燃え
残りのウランと放射性同位元素のプルトニウム(これも燃料)を分離して取り出す。動燃東海の事故は、
核燃料廃棄物を処理する工程で、燃料を分離した残りを廃棄物処理する施設で発生した。
また、福井敦賀発電所で事故を起こした高速増殖炉「もんじゅ」は、核燃料廃棄物を再処理して取り出し
たプルトニウムを燃やす特別な原子炉である。実用化に向けた試験運転を行っているところで冷却材のナ
トリウムが爆発した。高速増殖炉の反応温度は今日の主力である軽水炉などに比べ高いので、冷却材に水で
はなく金属ナトリウムが使用されている。この材料は空気に触れると酸素と激しい発熱反応をし、水に触
れると水素爆発を起こす。「もんじゅ」の事故はこの可能性を示したといえる。原子爆弾の材料ともなる
プルトニウムは、現行の原子力発電を続けていくかぎり溜まっていく。その蓄積は国際社会からあらぬ疑
いを招きかねない。そこで、燃料として消費する道筋をつけておくことが必要なのである。
しかし、日本は核燃料サイクルを実現するために不可欠な二つの施設、高速増殖炉と核燃料再処理工場で
失敗をした。当面の焦点は、核燃料廃棄物から抽出したプルトニウムとウランの混合燃料(MOX)を軽水
炉で燃やす「プルサーマル計画」になる。そしてまた、同計画の実施を控えた99年9月30日、東海村にお
いて核燃料の製造工程を請け負っている㈱JCO東海事業所で核分裂反応が制御できなくなる臨界事故が
発生し、高い中性子線東とそれによる高レベル放射能が周辺へ照射された。そのために施設近隣住民の緊
急避難や事故発生施設を中心に半径10キロメートルに及ぶ地域での移動規制等が発せられた。このような
事故はかつて日本ではなかったものである。この事故を含め、二酸化炭素の抑制のために原発の大増設を
あてにする策には逆風が吹き続けてますますむずかしくなっている。原子力については当面、もう一度初
心に返って早急に取り組み直すとともに、エネルギー開発の多様化およびエネルギーの効率的使用につい
てもっと真剣に考えていく必要がある。
蛇足を。未だに福島原発には広島級原子爆弾9千発(百万キロワット発電の1年間に生産される死の灰1
トンとして換算)に相当する核燃料物質が放置されたままだが、スターウォーズの時代にはMOX燃料問題は
確実にクリアーされているだろうと思いたい。^^;
出典:『人類は80年で滅亡する 「CO2」地獄からの脱出』(東洋経済新報社)