極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

エネルギーと環境 152

2025年02月22日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩二当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代
の井伊 軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と
兜(かぶ と)を合体させて生まれたキャラクタ-。

【完全循環水電解水素製造技術概論 ㉒】
【最新特許事例研究:半固体電池】


特開2025-13438 負極用活物質層及びその製造方法、蓄電デバイス
負極用電極合剤ペースト UBE株式会社(審査前)

【要約】シリコンを成分として含みリチウムイオンを吸蔵・放出可能な
シリコン系粒子と、主鎖にイミド結合を有する有機高分子であるポリイ
ミド系バインダーとを含有し、多孔度が20%未満である、負極活物質
層。充放電容量が高く、しかも優れたサイクル特性を両立することがで
きる負極活物質層を提供する。

【詳細説明】
【背景技術】  蓄電デバイスは、電気エネルギーを必要な時に蓄え、必要
な時にエネルギーを取り出せるデバイスである。代表的な蓄電デバイス
として、リチウムイオン二次電池などの二次電池が挙げられ、移動情報
端末の駆動電源などとして広く利用されている。近年では、電気・ハイ
ブリッド自動車、無人飛行機器等の産業用途への展開を見据えた、蓄電
デバイスの高容量化の開発が進められている。その試みの一つは、蓄電
デバイスの負極活物質として、例えば単位体積あたりのリチウム吸蔵量
の多いケイ素やスズ、或いはこれらを含む合金を用いて、充放電容量を
増大させようとするものである。
しかし、ケイ素やスズ、或いはこれらを含む合金のような充放電容量の
大きな活物質は、充放電に伴って非常に大きな体積変化を起こす。この
ような活物質を含む電極にポリフッ化ビニリデンやゴム系の樹脂などの
汎用のバインダーを用いると、体積変化により活物質層の破壊や集電体
と活物質層との界面剥離が発生し、蓄電デバイスのサイクル特性が低下
するという問題があった。この問題を改善する方法として、平均粒径が
1~10ミクロンのシリコン系粒子を、力学的特性に優れたポリイミド
を用いて結着し、熱加圧処理することにより負極活物質層を形成させる
方法が提案されている(特許文献1~5)。

  上記特許文献で開示されたポリイミドをバインダーとして用いた負極は
、充放電をさせると活物質層に亀裂が生じ充電時の体積膨張を吸収でき
る空間を持つ島状構造が形成されることにより、繰り返し充放電におけ
る容量保持率が向上することが指摘されている(非特許文献1)。最近
では、活物質層の形状に着目した負極も検討されている(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】国際公開第2004/004031号
【特許文献2】特開2004-235057号公報
【特許文献3】特開2003-203637号公報
【特許文献4】特開2004-288520号公報
【特許文献5】特開2004-022433号公報
【特許文献6】特開2017-092048号公報
【非特許文献1】第48回電池討論会予稿集,2B23,p.238(2
007)(高野靖男等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
  しかしながら、従来開示されたポリイミドをバインダーとして用いた負
極では、電気・ハイブリッド自動車など産業用途においては、高容量化
と優れたサイクル特性を両立させることが難しい場合があった。
また、本発明者らが追試したところ、特許文献6の負極は、2回目の放
充電容量を基準としたサイクル特性において、放電容量の比率が0.9
を維持できるのは10回繰り返した場合のみであり、単に多孔度を特定
しただけでは、産業用途での実用性に耐えうるほどに高容量であり、し
かも優れたサイクル特性を両立して実現するには至っていない。
  そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、充放電容量が高く
しかも優れたサイクル特性を両立することができる蓄電デバイス負極用
電極合剤ペースト、負極活物質層、蓄電デバイス用負極および蓄電デバ
イスを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】  本発明は、特に以下の各項に関する。
  1.  シリコンを成分として含み、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な
シリコン系粒子と、 主鎖にイミド結合を有する有機高分子であるポリイ
ミド系バインダーとを含有し、多孔度が20%未満である、負極活物質層。
  2.  前記シリコン系粒子の平均粒子径が10μm未満である、上記項1
に記載の負極活物質層。
  3.  前記ポリイミド系バインダーの量が、前記負極活物質層の全質量
に対して30質量%以下である、上記項1または2に記載の負極活物質層。
  4.  前記ポリイミド系バインダーを形成するための前駆体が、下記化学
式(I)で表される繰り返し単位を含むポリアミック酸である、上記項
1~3のいずれか一項に記載の負極活物質層。

000002
(式中、Aは、芳香族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4
価の基、脂肪族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基
及び脂環式テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基から
なる群から選択される1種以上であり、Bは、芳香族ジアミンからアミ
ノ基を除いた2価の基、脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基、
及び脂環式ジアミンからアミノ基を除いた2価の基からなる群から選択
される1種以上である。)
  5.  上記項1~4のいずれか一項に記載の負極活物質層を形成するた
めに用いられる蓄電デバイス負極用電極合剤ペースト。
  6.  集電体上に、上記項5に記載の蓄電デバイス負極用電極合剤ペー
ストを流延または塗布し、加熱処理することを含む、負極活物質層の製
造方法。
  7.  上記項1~4のいずれか一項に記載の負極活物質層を有する蓄電
デバイス用負極。
  8.  上記項7に記載の蓄電デバイス用負極を有する蓄電デバイス。

【発明の効果】【0012】
  本発明によって、充放電容量が高く、しかも、優れたサイクル特性を両
立することができる負極活物質層及びその製造方法、蓄電デバイス負極
用電極合剤ペースト、蓄電デバイス用負極ならびに蓄電デバイスを提供
できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<<負極活物質層>>
  本発明の実施形態の一つである負極活物質層は、シリコンを成分として
含み、リチウムイオンを貯蔵・放出可能なシリコン系粒子と、主鎖にイ
ミド結合を有する有機高分子であるポリイミド系バインダーとを含有す
る。加えて、本発明の負極活物質層の多孔度は20%未満であることが
特徴である。
【0014】(ポリイミド系バインダ
  本発明の負極活物質層中に含有されるポリイミド系バインダーは、主
鎖にイミド結合を有する有機高分子である。ポリイミド系バインダーは
特には限定されず、電極バインダーに用いられる公知のポリイミド系バ
インダーを使用してよい。具体的には例えばポリイミド、ポリアミドイ
ミド、ポリエステルイミド等の主鎖にイミド結合を有する有機高分子が
挙げられる。また、本発明において、負極活物質層中の「ポリイミド系バ
インダー」を形成するための物質を、「前駆体」といい、「前駆体」と
溶媒、必要によりその他の化合物を含有するものを「前駆体組成物」と
いう。前駆体組成物は、「ワニス」とよばれることもある。
【0015】  「前駆体」は、主鎖にイミド結合を有する有機高分子であ
るか、または加熱もしくは化学反応により主鎖にイミド結合を有する有
機高分子を形成しうる高分子または化合物である。主鎖にイミド結合を
有する有機高分子である「前駆体」としては、例えばポリイミド、ポリ
アミドイミド、ポリエステルイミド等が挙げられ、これらは一般に溶媒
に溶解した前駆体組成物(ワニス)の形態で使用される。これらは「ポ
リイミド系バインダー」である有機高分子と同一である場合もあり、ま
たイミド化率が小さかったり、分子量が小さかったりする場合もある。
加熱もしくは化学反応により主鎖にイミド結合を有する有機高分子を形
成しうる高分子または化合物である「前駆体」としては、ポリアミック
酸等が挙げられる。これらも一般に溶媒に溶解した前駆体組成物(ワニ
ス)の形態で使用される。ポリアミック酸は、アミック酸部分の一部が
イミド化されていてもよい。また、「ポリイミド系バインダー」である
有機高分子は完全にイミド化されていなくてもよい
【0016】  こうしたポリイミド系バインダーまたは前駆体は、単独で
使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。尚、当該
技術分野においては、「前駆体」または「前駆体組成物」についても「
バインダー」と呼ぶことがあり、以下の説明においても、「前駆体」を
「ポリイミド系バインダー」と称することがあるが、前駆体を指してい
るか、負極活物質層中のポリイミド系バインダーを指しているか、その
用語が使用される文脈から明らかである。【0017】
  たとえば、加熱もしくは化学反応により主鎖にイミド結合を有する有
機高分子を形成しうる前駆体としては、ポリアミック酸、特に、下記化
学式(I)で表される繰り返し単位を含むポリアミック酸が好ましい。
【0018】【化2】
000003
式中、Aは、芳香族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価
の基、脂肪族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基、
及び脂環式テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基から
なる群から選択される1種以上であり、Bは、芳香族ジアミンからアミ
ノ基を除いた2価の基、脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた2価の基、
及び脂環式ジアミンからアミノ基を除いた2価の基からなる群から選択
される1種以上である。)
【0019】
  たとえば、主鎖にイミド結合を有する有機高分子である前駆体としては、
下記化学式(II)で表される繰り返し単位を含むポリイミドが好まし
い。【0020】
【化3】

000004
(式中、Xは芳香族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4
価の基、脂肪族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基、
及び脂環式テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基から
なる群から選択される1種以上であり、Yは、芳香族ジアミンからア
ミノ基を除いた2価の基、脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた2価の
基、及び脂環式ジアミンからアミノ基を除いた2価の基からなる群から
選択される1種以上である。)
【0021】
  こうしたポリイミド系バインダーを形成するための前駆体は、化学式
(I)のA構造または化学式(II)のX構造を有するテトラカルボ
ン酸成分と化学式(I)のB構造または化学式(II)のY構造を有
するジアミン成分と必須成分として、必要に応じて他の成分と、を公知
の方法を用いて調製することができる。
【0022】
  テトラカルボン酸成分は、特に制限されるものではなく、目的とする負
極活物質層の多孔度、所望の蓄電デバイスの特性を考慮して適宜選択で
きるものである。テトラカルボン酸成分としては、例えば、3,3’,4,
4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニ
ルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、ジフェニルスル
ホンテトラカルボン酸二無水物、p-ターフェニルテトラカルボン酸二
無水物、m-ターフェニルテトラカルボン酸二無水物などの芳香族テト
ラカルボン酸二無水物、シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン
酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水
物、ジシクロヘキシル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、
1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸‐1,2:4,5-
二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト—7-エン-2,3:5,6
-テトラカルボン酸二無水物などの脂環式テトラカルボン酸二無水物、
4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、3,
3’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、5,5’-
[2,2,2-トリフルオロ-1-[3-(トリフルオロメチル)フェ
ニル]エチリデン]ジフタル酸無水物、5,5’-[2,2,3,3,3
-ペンタフルオロ-1-(トリフルオロメチル)ピロピリデン]ジフタ
ル酸無水物、1H-ジフロ[3,4-b:3’,4’-i]キサンテン-1
,3,7,9(11H)-テトロン、5,5’-オキシビス[4,6,7-
トリフルオロ-ピロメリット酸無水物]、3,6-ビス(トリフルオロ
メチル)ピロメリット酸二無水物、4-(トリフルオロメチル)ピロメ
リット酸二無水物、1,4-ジフルオロピロメリット酸二無水物、1,
4-ビス(3,4-ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフル
オロベンゼン二無水物などのハロゲン置換されたテトラカルボン酸二無
水物などを好適に挙げることができる。これらは1種または2種以上使
用してもよい。【0023】
  ジアミン成分は、特に制限されるものではなく、目的とする負極活物質
層の多孔度、所望の蓄電デバイスの特性を考慮して適宜選択できるもの
である。ジアミン成分としては、例えば、p-フェニレンジアミン、m
-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’
-ジアミノジフェニルメタン、2,4-トルエンジアミン、3,3’-ジ
ヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、ビス(4-アミノ-3-カ
ルボキシフェニル)メタン、2,4-ジアミノトルエンなどの芳香族ジ
アミン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフ
ェニル、2,3,5,6-テトラフルオロ-1,4-ジアミノベンゼン
、2,4,5,6-テトラフルオロ-1,3-ジアミノベンゼン、2,
3,5,6-テトラフルオロ-1,4-ベンゼン(ジメタンアミン)、
2,2’-ジフルオロ(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン、4,
4’-ジアミノオクタフルオロビフェニル、2,2-ビス(4-アミノフ
ェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’-オキシビス(2,3,5,
6-テトラフルオロアニリン)などのハロゲン置換されたジアミン、t
rans-1,4-ジアミノシクロヘキサン、cis-1,4-ジアミ
ノシクロヘキサン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,10‐デカメ
チレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,
4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂肪族または脂環式ジ
アミンなどを好適に挙げることができる。これらは1種または2種以上
使用してもよい。【0024】
  化学式(I)または化学式(II)において、機械的強度や電池特性
等の観点でいえば、Xがエーテル結合等の屈曲構造を与える基を有す
る芳香族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価の基を含有
することが好ましい。その中でも特に、XおよびYの全てが芳香族
基を含有するものが好ましい。他の態様として、柔軟性、負極活物質層
の形成性、電池特性等の観点でいえば、化学式(I)または(II)に
おいて、Yが脂肪族基を含有することが好ましい。その中でも特に、
が芳香族基を含有し、Yの30~80モル%程度脂肪族基を含有す
るものが好ましい。【0025】
  また、市販品で使用できる前駆体の製品としては、例えば宇部興産株式
会社のUPIA(登録商標)-AT、UPIA(登録商標)-ST、U
PIA(登録商標)-NF、UPIA(登録商標)—LB等が挙げられ
る。【0026】
  本発明で用いるポリアミック酸および/またはポリイミドを構成するテ
トラカルボン酸成分とジアミン成分とのモル比[テトラカルボン酸成分
/ジアミン成分]は略等モル、具体的には0.95~1.05、好まし
くは0.97~1.03になるように設定することができる。このモル
比の範囲にすることによって、得られるポリイミドの分子量が高く、バ
インダーとして用いる場合の靱性を確保することが可能となる場合が多
い。また、本発明で用いられるポリアミック酸および/またはポリイミ
ドは、温度30℃、濃度0.5g/100mLで測定した対数粘度が0
.2以上、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.6以上、さらに
より好ましくは0.7以上の高分子量である。対数粘度を上記範囲にす
ることによって、ポリアミック酸および/またはポリイミドの分子量が
高く、バインダーとして適した機械的物性を有するポリイミドを得るこ
とが可能となる場合がある。また、ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー(GPC)で求められる重量平均分子量は、1,000~1,000,
000、特に、5,000~500,000であることが好ましい。詳
細には、重量平均分子量は、例えば1,000以上、好ましくは5,000
以上、より好ましくは7,500以上、さらに好ましくは9,000以
上であり、例えば1,000,000以下、好ましくは500,000以
下、より好ましくは300,000以下、さらに好ましくは100,000
以下、さらに好ましくは50,000以下、さらに好ましくは30,000
以下である。これら対数粘度および分子量は、用いるテトラカルボン酸
成分とジアミン成分のモル比を調整することで任意に設定でき、負極活
物質層の機械的強度、所望する蓄電デバイスの特性、用途等を考慮して
適宜設定すればよい。本発明においては、ポリアミック酸および/また
はポリイミドが、量が少なくても機能を発揮できる十分に高い分子量を
有している。上記の分子量を有するポリアミック酸および/またはポリ
イミドを含有する製品(ポリイミド前駆体組成物;ワニス)としては、
例えば宇部興産株式会社のUPIA(登録商標)—LB-1001、U
PIA(登録商標)—LB-2001等が挙げられる。【0027】
  前駆体がポリアミック酸である場合、ポリアミック酸は、テトラカルボ
ン酸成分とジアミン成分とを、公知の方法にしたがって、溶媒中で反応
させることで容易に調製することができる。本発明で用いられるポリイ
ミド系バインダーがポリイミドである場合、ポリイミドは、好ましくは
ジアミン成分を溶剤に溶解した溶液に、テトラカルボン酸成分を一度に
、または、多段階で添加し、加熱や触媒・化学イミド化剤等を添加して
重合(イミド化反応)を行う方法が好適である。【0028】
  ポリイミド系バインダーの配合量は、本発明の蓄電デバイス負極用電
極合剤ペーストを用いて集電体上に負極活物質層を形成する際、その負
極活物質層の多孔度が特定の範囲となるように形成することを阻害しな
い量であればよく、例えば、蓄電デバイス負極用電極合剤ペーストの全
固形分に対して、ポリイミド系バインダー(前駆体の固形分)が0.5
質量%~50質量%、好ましくは1質量%以上45質量%以下である。
上限については、さらに好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは
20質量%未満、さらに好ましくは10質量%未満、さらに好ましくは
5質量%未満とすることができる。本発明では少ないバインダー配合量
(固形分)で十分にバインダー機能を発揮することが可能であり、その
結果、高い放電容量と優れたサイクル特性という本願の効果を奏するこ
とができる。分子量の高いポリアミック酸および/またはポリイミドを
使用することが、本願において優れた効果を奏する理由の一つと推定さ
れる。尚、前駆体の固形分は、完全にイミド化されたときの質量を意味
する。【0029】
(負極活物質)
  本発明の負極活物質層は、シリコン系粒子を含む負極活物質を含有する。
  本発明におけるシリコン系粒子は、シリコンを成分として含み、リチウ
ムイオンを吸蔵・放出可能な粒子である。シリコン系粒子としては、例え
ば、シリコン、シリコン金属複合体(シリコンと他の金属との合金を含む)
、酸化シリコン、シリコン・二酸化ケイ素複合体等を挙げることができ、
これらは単独で使用してもよく、2種類以上を使用してもよい。
【0030】  負極活物質の形状としては、特に限定されず、不定形状、
球状、繊維状等いかなる形状であってもよい。負極活物質の平均粒子径
は10μm未満であることが好ましく、より優れたサイクル特性を確保
する観点から、中でも5μm以下であることが好ましい。また、平均粒子
径は例えば0.01μm以上である。こうした平均粒子径を有する負極
活物質は、1種類からなるものであってもよいし、2種類以上のものを
混ぜることにより平均粒子径を調製したものでもよい。
  ここで、平均粒子径とは、負極活物質であるシリコン系粒子の1次粒
子に関する値であって、シリコン系粒子粉末の平均粒子径をいい、例
ば、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定することができる。な
お、この平均粒子径は、シリコン系負極活物質を用いて負極を作製した
後、その表面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像から確認してもよい。
粒子が球状でない場合には、粒子径は粒子の最も長い部分(長径)をい
うものとする。【0031】
  このように、負極活物質は、目的とする充放電容量やその他蓄電デバ
イスの特性に応じて、シリコン系粒子の成分、形状および/または平均
粒子径を適宜組み合わせて使用スルことができる。【0032】
  また本発明の負極活物質は、必要に応じて、シリコン系粒子以外のその
他の活物質を含んでいてもよい。その他の活物質としては、シリコン系
粒子以外の公知の活物質を使用することができ、例えば天然黒鉛、人造
黒鉛等の黒鉛粒子、錫、ゲルマニウム、アンチモン銀、銅、ニッケル等
の金属、およびこれら合金等の粒子等を挙げることができる。これらの
その他の活物質の平均粒子径としては特に制限されないが、5μm以下で
あることが好ましい。
  なお、シリコン系粒子とその他の活物質との配合割合は特に限定されず、
充放電容量やその他蓄電デバイスの特性を考慮して適宜追加することが
できるが、1実施形態においてはその他の活物質(特には黒鉛粒子)の
添加量が、負極活物質全体に対して好ましくは15質量%以下、より好
ましくは10質量%以下、さらにより好ましくは5質量%以下であり、
シリコン系粒子以外のその他の活物質を含まないことも好ましい。
【0033】
  負極活物質層における負極活物質の含有量は、負極活物質層として機能
する程度であれば特に制限されない。通常、上記ポリイミド系バインダ
ーに対して、質量基準で0.1~1000倍、好ましくは1~1000倍、
より好ましくは5~1000倍、さらに好ましくは10~1000倍で
ある。また、上限は好ましくは500倍以下、より好ましくは100倍
以下、さらに好ましくは50倍以下である。負極活物質量が多すぎると
負極活物質が集電体に十分に結着されずに脱落しやくなる。一方、負極
活物質量が少なすぎると、集電体に形成される負極活物質層に不活性な
部分が多くなり、蓄電デバイス用負極としての機能が不十分になること
がある。【0034】
(多孔度)  本発明では、負極活物質層の多孔度は20%未満であること
を特徴とする。好ましくは18%以下、より好ましくは15%以下であ
る。また上記多孔度は、少なくとも3%以上であり、好ましくは5%以
上である。多孔度を上記のように設定することにより、リチウムの伝導
速度を上げることが可能となり、サイクル特性、出力特性などが向上す
る。【0035】
  ここで、本発明における多孔度とは、負極活物質層の見掛け密度と負極
活物質層を構成する個々の成分(たとえば、負極活物質(シリコン系粒
子)、ポリイミド系バインダー、任意の材料(その他の活物質、ポリマ
ー系バインダー等))の真密度(比重)と配合量から算出される値であ
る。具体的には、下記数式1で算出することができる。【0036】
(数式1)  多孔度(%)=100-N(WA1/DA1+WA2/DA2
+・・・WAn/DAn+WB1/DB1+WB2/DB2+・・・+WBm
/DBm)【0037】
  たとえば、負極活物質(真密度DA1(g/cm))をWA1質量%、
その他活物質(真密度DA2(g/cm))をWA2質量%、ポリイミ
ド系バインダー(真密度DB1(g/cm))をWB1質量%、その他
ポリマー系バインダー(真密度DB2(g/cm))をWB2質量%配
合した負極活物質層の見掛け密度がN(g/cm)である場合の多孔
度(%)は以下の計算式から算出される。【0038】
(数式2)  多孔度(%)=100-N(WA1/DA1+WA2/DA2
+WB1/DB1+WB2/DB2
  なお、ポリイミド系バインダーを2種以上使用した場合は、各々の成分
について真密度と質量を考慮する必要がある。その他の活物質、その他
のポリマーについても同様に、成分ごとに考慮するものとする。本実施
例で明らかにされているように、本発明で規定する多孔度を満足するこ
とによって、高容量化と優れたサイクル特性の両方を具備することが可
能となる。【0039】
(ポリマー系バインダー)
  本発明では、上記ポリイミド系バインダー以外のポリマー系バインダ
ーを含んでいてもよい。このようなポリマー系バインダーとしては、ポ
リイミド系バインダーおよび負極活物質の機能を阻害するものでなけれ
ば特に制限されず、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリスルホン酸、
およびこれらの塩などのアニオン系ポリマー、カルボキシアルキルセル
ロース、ヒドロキシアルキルセルロースなどの水溶性セルロース誘導体、
ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリビニルピロリ
ドン、これらの塩、およびアルギン酸塩などの水溶性ポリマー、アクリ
ル樹脂、合成ゴム、ポリアミド、シリコーン系樹脂(シリコーンオイル
含む)等を挙げることができる。また、これらに限定されず、電極バイ
ンダーとして公知のものも使用できる。【0040】
  こうしたポリイミド系バインダー以外のポリマー系バインダーは、負極
活物質層、蓄電デバイスなどに付与したい機能に合わせて適宜1種また
は2種類以上を選択使用すればよい。また、使用する溶媒に合わせて、
水溶媒系であれば水溶性ポリマー、有機溶媒系であれば有機溶媒に可溶
なポリマーなどを選択できる。ポリイミド系バインダー以外のポリマー
系バインダーの含有量(前駆体の固形分)は、目的に合わせて適宜設定
することができる。例えば、その他のポリマー系バインダーの量は、ポ
リイミド系バインダー(前駆体の固形分)100質量部に対して、0~
1000質量部(10倍量)である。ある実施形態ではその他のポリマ
ー系バインダーの量は、50質量部以下、好ましくは20質量部以下で
あり、ポリイミド系バインダー以外のポリマー系バインダーを全く含有
しないこと(0質量部)も好ましい。また、異なる実施形態では、その
他のポリマー系バインダーの量は、ポリイミド系バインダー(前駆体の
固形分)100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、さらに好
ましくは40質量部以上で、例えば300質量部以下の量で使用される
ことがある。【0041】
(導電助剤)
  本発明の負極活物質層は、必要に応じて導電助剤を含んでいてもよい。
このような導電助剤としては、従来公知の導電助剤を使用することがで
き、目的とする負極活物質層や蓄電デバイスの特性に応じて、1種また
は2種類以上を使用することができる。このような導電助剤としては、
従来公知の導電助剤であれば特に制限されるものではなく、例えば黒鉛、
アセチレンブラック、カーボンブラック等のカーボン系導電助剤や、銀、
銅、ニッケル、これらの合金等の金属系導電助剤を用いることができる。
前述のとおり、本件の1実施形態では、シリコン系粒子以外の活物質の
量が少ないことや、含まないことが好ましく、その場合は、黒鉛のよう
な充放電容量を有する材料より、アセチレンブラック、カーボンブラッ
ク等のリチウムを粒子内に吸蔵しない材料の使用が好ましい。【0042】
(任意成分)
  本発明の負極活物質層は、必要に応じて、その他添加剤を配合すること
ができる。その他の添加剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で
使用することができ、具体的には、触媒(例えば、アミン化合物、イミ
ダゾール化合物);化学イミド化剤(例えば、無水酢酸等の酸無水物や
ピリジン、イソキノリン等のアミン化合物);酸化防止剤(例えば、フ
ェノール系、リン系酸化防止剤);光安定剤(例えば、ヒンダードアミ
ン系安定剤);帯電防止剤(例えば、界面活性剤、カーボン、金属酸化
物);可塑剤(例えば、エステル系可塑剤、エポキシ化植物油);油溶
性溶媒(例えば、1-アセトナフトン、アセトフェノン、ベンジルアセ
トン、メチルアセトフェノン、ジメチルアセトフェノン、プロピオフェ
ノン、バレロフェノン、アニソール、安息香酸メチル、安息香酸ベンジ
ル);防錆剤(例えば、亜鉛化合物、鉛化合物、ジフェニルアミン等、
アジピン酸、エタノールアミンおよびモノエタノールアミン、エチレン
グリコールモノエチルエーテル,トリメチルアミン、ノニルフェノール、
ヘキサメチレンジアミン,ペンタエリスリトール等、ジシクロヘキシル
アンモニュームナイトライト、ジイソプロピルアンモニュームナイトラ
イトおよびこれらの混合物等、ジシクロヘキシルアンモニュームのカプ
レート、ラウレート、カーボネート等、ベンゾトリアゾールおよびアル
キルベンゾトリアゾール等、アミン塩類,低級脂肪酸およびこれらの塩
類等);シランカップリング剤;チタンカップリング剤;難燃材(例え
ば、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、酸化アンチモン、水酸化アルミニウ
ム等);消泡剤(例えば、シリコーン系消泡剤、アクリル系消泡剤、フ
ッ素系消泡材);レベリング剤(例えば、シリコーン系レベリング剤、
アクリル系レベリング剤);平滑化剤(例えば、ベンジルアルコール、
2-フェニルエチルアルコール、4-メチルベンジルアルコール、4-
メトキシベンジルアルコール、4-クロルベンジルアルコール、4-ニ
トロベンジルアルコール、フェノキシ-2-エタノール、シンナミルア
ルコール、フルフリルアルコールおよびナフチルカルビノールポリエチ
レングリコール、クマリン、2-ブチン-1,4-ジオール、2-プロ
ピン-1-オール、3-フェニルプロピオン酸等);レオロジーコント
ロール剤(流動制御目的の添加剤);粘度調整剤;剥離剤;界面活性剤
(例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活
性剤、ノニオン性界面活性剤);金属石鹸(例えば、ステアリン酸、ラ
ウリン酸、リシノール酸、オクチル酸等の脂肪酸と、リチウム、マグネ
シウム、カルシウム、バリウム、亜鉛等の金属との塩);支持電解質(
例えば、アルカリ金属のハロゲン化物や硝酸塩等、テトラアルキルアン
モニウムの過塩素酸塩やテトラフルオロホウ酸等の強酸との塩)等が挙
げられる。【0043】
  本発明の負極活物質層は、目的とする負極や蓄電デバイスの特性また
は形状に応じて適宜厚みを設定できる。例えば、0.5μm~300μm
程度にすることができ、好ましくは1μm以上である。また上記負極活
物質層の厚みは、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以
下である。【0044】
<<蓄電デバイス負極用電極合剤ペースト>>
  本発明の実施形態の一つである蓄電デバイス負極用電極合剤ペーストは、
上述した負極活物質層を形成するために用いられるものである。  この蓄
電デバイス負極用電極合剤ペーストは、負極活物質、ポリイミド系バイ
ンダー、その他任意成分を含有するものである。これら各成分について
は、上記負極活物質層の項に開示したものと同様のものを使用すればよ
い。さらに本発明の蓄電デバイス負極用電極合剤ペーストは、必要に応
じて各種添加剤を含むことができる。【0045】
(溶媒)
  本発明の蓄電デバイス負極用電極合剤ペーストは、必要に応じて溶媒を
含んでいてもよい。このような溶媒としては、目的とする蓄電デバイス、
電極合剤ペースト等に応じて適宜選択でき、例えば、有機溶媒、水系溶
媒(水又は水を含む溶媒)、又はこれらの混合物を使用できる。中でも
、ポリイミド系バインダー(ポリアミック酸、ポリイミド樹脂等)の調
製の際に用いる溶剤を好適に使用することができる。【0046】
  有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N,N-ジメチル
ホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセ
トアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、
N-ビニル-2-ピロリドン等のアミド溶媒、γ-ブチロラクトン、γ-
バレロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、ε-カプロ
ラクトン、α-メチル-γ-ブチロラクトン等の環状エステル溶媒、エチ
レンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、ト
リエチレングリコール等のグリコール系溶媒、フェノール、o-クレゾ
ール、m-クレゾール、p-クレゾール、3-クロロフェノール、4-
クロロフェノール等のフェノール系溶媒、アセトフェノン、1,3-ジ
メチル-2-イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシドな
どが挙げられる。さらに、例えば、メタノール、エタノールなどのアル
コール系溶媒や、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、プロピオ
ン酸エチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、安息香酸ブチル、安息香酸エチ
ル、安息香酸メチルなどのエステル系溶媒、プロピレングリコールメチ
ルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2-メチルセロ
ソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブア
セテート、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、
ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイ
ソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロへキ
サノン、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノール、エタノール、キ
シレン、トルエン、クロルベンゼン、N-メチルカプロラクタム、ヘキ
サメチルホスホロトリアミド、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、
1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン、ビス[2-(2-メト
キシエトキシ)エチル]エーテル、1,4-ジオキサン、ジメチルスル
ホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホ
ン、テトラメチル尿素、アニソール、ターペン、ミネラルスピリット、
石油ナフサ系溶媒、生分解性の乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、
その他の一般的な有機溶剤も使用できる。使用する有機溶剤は、1種類
であっても、2種類以上であってもよい。【0047】
  本発明の蓄電デバイス負極用電極合剤ペーストの調製方法としては、一
般的な調製方法を採用することができ、例えばポリイミド系バインダーに、
適度な温度範囲(好ましくは10℃~60℃)で負極活物質を混合する
方法などが挙げられる。【0048】
<<負極活物質層の製造方法>>
  本発明の実施形態の一つである負極活物質層の製造方法としては、目
的とする負極活物質層を製造できれば特に制限されるものではない。一
例としては、集電体上に、蓄電デバイス負極用電極合剤ペーストを流延
あるいは塗布し、加熱処理することによって負極活物質層を形成する方
法が挙げられる。なお、ポリアミック酸は、加熱処理あるいはイミド化
剤等の化学的処理によって、容易にポリイミドになる。以下、この一例
に沿って、負極活物質層の製造方法を詳細に説明する。【0049】
  本発明に用いられる集電体としては、一般的な化学変化を起こさない電
子伝導体を用いることができる。これらの集電体を形成する材料として
は、例えば、アルミニウム、銅、銅合金、鉄、ステンレス鋼、ニッケル、
チタンなどが挙げられ、アルミニウム、銅、銅合金、鉄、ステンレス鋼
の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀等で処理されたもの(薄膜が
形成されたもの)も用いることができる。中でも、アルミニウム、銅、
銅合金、ニッケルメッキ鋼、ステンレス鋼等を好適に用いることができ
る。【0050】
  集電体の形状としては、通常、箔状(シート状)のものが用いられるが
、目的とする蓄電デバイスに応じてネット、パンチされたもの、多孔質
体、繊維群の成形体等も適宜用いることができる。また集電体は、表面
処理により表面に凹凸を設けたものであってもよい。【0051】
  集電体の厚みとしては特に制限されず、通常、1μm~500μmとす
ることができる。本発明においては、集電体として銅箔、ステンレス箔
、ニッケル箔等の金属箔を好適に使用することができ、中でも電解銅箔
や圧延銅箔などの銅箔を好適に使用することができる。これら金属箔の
厚みとしては、特に制限されず、通常、5~50μm、好ましくは9~
18μmとすることができる。【0052】
  また集電体として金属箔を使用する場合、接着性を向上させる観点から、
箔表面が粗面化処理や防錆処理されていてもよい。また、箔表面に導電
性接着層を積層していてもよい。なお、導電性接着層は、有機高分子化
合物に黒鉛などの導電性粒子を配合することによって形成できるもので
ある。【0053】
  集電体上に蓄電デバイス負極用電極合剤ペーストを塗布する方法とし
ては、ロールツーロールによる連続的に塗布する方法や、枚様で塗布す
る方法が採用できる。また塗布装置としては、例えばダイコータ、多層
ダイコータ、グラビアコータ、コンマコータ、リバースロールコータ、
ドクタブレードコータ等が使用できる。【0054】
  加熱処理は、蓄電デバイス負極用電極合剤ペーストに含まれる溶媒を除
去すること、ポリイミド系バインダーを溶融もしくはイミド化させ、負
極活物質層を形成する他の成分(例えば負極活物質等)と一体化させる
と共に、集電体と負極活物質層を接着させること等ができる条件で行う
ことが好ましい。例えば、用いるポリイミド系バインダーの融点以上の
温度で、また必要により加圧下で加熱処理を行うことが好ましい。加熱
処理は、1回のみ行ってもよく、複数回行ってもよい。【0055】
  加熱処理温度としては、負極活物質層を製造できる条件であれば特に制
限されず、使用する蓄電デバイス負極用電極合剤ペーストに含有される
ポリイミド系バインダー(前駆体)の種類、溶媒の種類等に応じて適宜
設定することができる。加熱処理温度は、例えば、80℃~350℃が
好ましく、100℃~300℃がさらに好ましく、120℃~250℃
が特に好ましい。加熱処理温度が80℃より低いと溶媒を除去するために
多大な時間を要することがあり、また溶融不足やイミド化反応が遅くな
ることから好ましくなく、350℃より高いと集電体、ポリイミド系バ
インダーおよび/またはポリマー系バインダーの劣化等が生じるため好
ましくない。なお、加熱処理は発泡や粉末化を防ぐために多段で段階的
に昇温してもよい。【0056】
  加熱処理時間は、所望の負極活物質層を製造できるものであれば特に制
限されないが、例えば3分~48時間の範囲に設定することができる。
上記範囲内はイミド化反応や溶媒の除去を十分に行うことができ、かつ
生産性の観点からも好ましい。この間にほとんどの溶媒が除かれ、かつ
、ポリアミック酸はイミド化反応によって実質的にポリイミドになる。
【0057】
  本発明においては、加圧工程を加えてもよい。例えば、加熱処理前に加
圧してもよく、加熱処理後に加圧してもよく、加熱処理と同時に加圧し
てもよい。また加熱処理が複数回の場合、加熱処理の間に加圧してもよ
い。具体的な加圧条件や加圧手段については特に制限されないが、例え
ばロールプレス機を用いて、100~2000kg/cmの線圧でプレ
スする方法が挙げられる。ここで、負極活物質層における多孔度は、ポ
リイミド系バインダーや負極活物質等の構成成分の種類等に応じて適宜
調整されるべきものであり、必要な加圧条件等についても各構成成分の
種類等を考慮の上、多孔度が所望の値となるように適宜制御するもので
ある。
                          この項つづく


✳️ 1枚の画像からブドウの房の3次元形状推定

大阪公立大学と大阪府立環境農林水産総合研究所は,画角が180度ある
魚眼レンズを用いることで,房との距離を一定に保ったまま房全体を撮
影し,1枚の画像からブドウの房の3次元形状推定に成功した。

ブドウ栽培における摘粒作業では,房につく実の配置を考慮して間引く
実を決めるため,間引く実の自動選定には,房につく実の3次元位置情報
の推定が必要となっている。
3次元位置情報の取得には深度センサを用い
ることが多いが,太陽光や実の光の反射特性により計測が難しい。また
他にも複数の方向から撮影した画像を利用し,三角測量を応用して3次元
形状の推定を行なうStructure from Motion(SfM)法もあるが,模様の
ない球状のものが複数ある物体は復元対象ではなく,復元に失敗してし
まう。

ブドウの房の3次元形状推定には房の周り1周の撮影が必要。一般的なカ
メラは画角が45度程度しかなく,房が画像からはみ出ないように1周を
撮影するためには,画角を考慮してカメラと房の距離を一定に保ちなが
らの撮影が必要となっている。
しかし,ブドウ棚には多くの房があり,
カメラと房の距離を一定に保つことは困難。また,棚の高さは 160cmほ
どのため,かがみながら房を撮影する必要がある。そこで,カメラと房
の距離を一定にしなくても,房を画像からはみ出さずに撮影できる魚眼
レンズを用いた。
魚眼レンズは画角が180度あるため,一般的なカメラ
とは画像撮影時の投影方法が異なり,撮影された画像は大きく歪んでい
る。そこで,魚眼レンズの投影方法を単眼深度推定手法に導入すること
で,1枚の画像からブドウの房の3次元形状を推定することに成功した。

【発表雑誌】PLOS One
【論文名】Unsupervised monocular depth estimation with omnidirectional
   camera for 3D reconstruction of grape berries in the wild
【掲載URL】https://doi.org/10.1371/journal.pone.0317359
      心に残る中村八大の曲 
                                           『夢であいましょう 坂本スミ子』 1961年

 A flower will bloom even with the faintest of light.

        春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                 春だというのに自然は沈黙している。

                            レイチェル・カーソン 『沈黙の春』                                                                                                                                                                                                     


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