A Challenge To Fate

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【私の地下ジャズ愛好癖】トルコ有機楽団『コンストラクト』のエスノ・グルーヴ三部作〜『For Ornette』『Bloppin'』『Oryantal』

2018年10月04日 08時18分07秒 | 素晴らしき変態音楽


トルコのフリージャズコンボ「コンストラクト」は2016年半ばにリズムセクションがメンバーチェンジし、同年12月イスタンブールに灰野敬二を招聘して交配した。その果実としてコンストラクト+灰野敬二のコラボによる『A Philosophy Warping, Little By Little That Way Lies A Quagmire = 少しずつ曲がっている哲学 その先には湿地がある』と題されたスタジオ録音盤とライヴ録音盤の2作がリリースされている。どちらもコンストラクトの自由なジャズ精神と灰野の屹立するロック魂がお互いに湾曲して二重螺旋を描きながら音のDNAから生命の泉が溢れ出し、渇いた「荒れ地」を灌漑し豊穣な「湿地」に変えている。東西の邂逅が産んだ熱の伝達度は、ブルーとオレンジのアートワークに描かれた炎のグラデーションそのままである。

01 Konstrukt & Keiji Haino - All Things Will Be Reduced To Equal D お Tっっ3 BBRc MMM あ元, ...


そんな「コンストラクト」が新メンバーによる単独音源をリリースした。7インチシングルが2枚、12インチ33rpmのEPが1枚。これまでのアルバム指向(特に2枚組LP)を考えると、野心的な作品と言えるだろう。

メンバーは5人。KorhanとUmut以外が新メンバー
Korhan Futacı : reeds, etc.
Umut Çağlar : g, reeds, fl, perc, etc.
Apostolos Sideris : b
Erdem Göymen : ds, perc
Berkan Tilavel : ds, elec-perc

『オーネットの為に(For Ornette)』と題された7インチはAB面の「Z-FUNK」というトラックを収録。ワイルドなお祭りビートに豪快なサックスが唸るファンクチューンは、オーネット・コールマンのファンク指向へのオマージュであろう。B面はドラムとサックスのデュオで、より70年代ロフトジャズに接近したサウンドを聴かせる。

『ブロッピン(Bloppin)』はストンピン(Stompin)のもじりだろう。AB面一続きの曲でやはり祝祭感に満ちた集団即興ファンクである。

『オリヤンタル(Oryantal)』は5〜7分のトラックを4曲収録した12インチではライヴの一部を切り抜いたTRANCYでCOOLなサウンドを展開。リーダーのUmtはギターではなくギンブリやバンブー・フルートなどの民族楽器を演奏し、エキゾチックな要素を強く打ち出している。

KONSTRUKT | A Night at Hayyam: ORYANTAL SESSION | YOL



コンストラクトの新たなる音宇宙を「エスノ」とか「グルーヴ」とか前時代的言い回しでしか形容できないのは筆者の筆の未熟さを露呈しているが、イースト・ミーツ・ウェストの拠点イスタンブールから届けられたニューディスクに新たな生命の息吹を感じたことをお伝えしたく筆を執った次第である。

ターキッシュ
伝統革新
構築者

コメント
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