A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ウィリアム・パーカー/八木美知依@六本木SuperDeluxe 2018.10.15(mon)

2018年10月18日 08時35分31秒 | 素晴らしき変態音楽


William Parker ウィリアム・パーカー
Open: 19:30 | Start: 20:00 SuperDeluxe
前売/Advance: 予約終了/Reservations closed | 当日/Door: ¥4,300
ドリンク別/Plus drink

ウィリアム・パーカー ソロ
オープニングアクト:八木美知依 ソロ

ウィリアム・パーカー奇跡的にスーパー・デラックス登場!ぜひお見逃しなく!
“The most consistently brilliant free jazz bassist of all time” -The Village Voice

ウィリアム・パーカーの名前は知っていたが存在を強く意識したのは2014年にリリースされたフランク・ロウの未発表ライヴLP『アウト・ラウド』(Triple Point Records TPR 209)だった。Frank Lowe (ts,ss,fl,vo,perc,hca,etc.)、Joseph Bowie (tb,congas)、William Parker (b)、Steve Reid (ds)のカルテットによる1974年ニューヨークのサバイバルスタジオとスタジオ・リヴビーでのライヴ演奏は、ロフトジャズの真髄を極めたドス黒くも解放感に満ちた叫びを記録していた。
【Disc Review】変態音楽今月の1枚~フランク・ロウ・カルテット『アウト・ラウド』

その原動力がウィリアム・パーカーの生命感に満ちたベースプレイだった。2015年7月超フリージャズと題してエヴァン・パーカー、土取利行とのトリオで日本公演。ブラックパワーに満ちたファンキーなベースに心が浄化された。
エヴァン・パーカー×土取利行×ウィリアム・パーカー@青山 草月ホール 2015.7.22(wed)

そのウィリアム・パーカーが単身来日しソロライヴを行った。10月13日に中国深センのOCT-LOFT Jazz Festivalに出演し、45年前『生活向上委員会NY支部』で共演した原田依幸と再会した。70年代ニューヨークと東京の先端音楽交流の縁は45年後の現在も受け継がれているのである。
#1341 『生活向上委員会ニューヨーク支部 / SEIKATSU KOJO IINKAI』ニューヨークの屋根裏に飛び込んだ音楽革命戦士の戦利品。

●八木美知依


オープニング・アクトを務めたのはハイパー箏奏者・八木美知依。17絃箏による謡(うたい)と即興の二部構成のソロ。最前列から観ると、謡の伴奏としての箏演奏と、破調のインプロヴィゼーションの楽器と精神セッティングの違いが顕著になる。それは伝統と革新の違いではなく、同じ楽器から表裏一体の聖と俗を分離させる試みと言えようか。駒を頻りに動かしながら最も感性にハマるチューニングポイントを探る演奏は、テクニックや音色を磨くだけでは楽器の力を100%発揮できないことに気がついた自覚的プレイヤーにのみ与えられた希有の業と呼ぶのが相応しい。ウィリアム・パーカー登場前に場を清めるステージだった。

●ウィリアム・パーカー


超フリージャズで魅せたブラックミュージック特有のグルーヴがウッドベースから溢れ出す。それは生命の祝祭である。一頻り演奏すると、ランディ・ウェストン、チャールズ・ミンガス、ソニー・ロリンズ、ビリー・ヒギンズ、アンドリュー・ヒル、デイヴィッド・S・ウェア、サニー・マレイ、ウィルバー・ウェア・・・様々なジャズメンとの個人的な逸話を止めどなく語り出す。昔話しではなく、今/ここで/発せられる言葉は、ベースから紡ぎ出される音/旋律と同じライヴパフォーマンス(生きた表現行為)であった。言葉とサウンドだけでなくパーカーは踊った。全身から発する生命感は単身演奏に於いてより輝きを見せた。「ベースの弦は光、弓はプリズム」と語るパーカーの肉体こそ「光の大聖堂(Cathedral of Light )」に違いない。

●ウィリアム・パーカー × 八木美知依


初めてのデュオ演奏はパーカーの尺八と八木の箏でスタート。和楽器同士であるが、その響き・彩りはコスモポリタニズムに満ちていた。伝統と革新が自然な形で肉体化された二人だからこその交歓模様が繰り広げられる。その印象はパーカーが踊るベースに移行した後半も変わらない。共演者を包み込む光の束はウィリアム・パーカーの真髄であろう。

OPTION: William Parker


話の続きを聞きたければ朝6時にニューヨークの自宅のベルを鳴らせ、とパーカーは語る。そんな気さくなベーシストに再び合いたいと願うのは筆者だけではないだろう。
JazzRightNow: ウィリアム・パーカー・インタビュー<前編>
JazzRightNow: ウィリアム・パーカー・インタビュー<後編>

明日は無い
今日を奏でる
感じるままに

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