A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【JazzTokyo#246更新】『パク・ハンアル、C.シコラ、N.ディドゥコフスキー/エリス 136199』『Jazz Art せんがわ2018』『ピーター・エヴァンス』

2018年10月07日 23時23分43秒 | 素晴らしき変態音楽


Jazz Tokyo #246 が更新された。カバーストーリーは初来日を果たしたピーター・エヴァンス。他に「追悼:ランディ・ウェストン」「Jazz Art せんがわ2018」。剛田武は以下のディスク・レヴュー、ライヴ・レポート(一部を含む)を寄稿。

『パク・ハンアル、キャスリン・シコラ、ニック・ディドゥコフスキー/エリス 136199』

#1551 『Han-earl Park, Catherine Sikora and Nick Didkovsky / Eris 136199』

逸脱の極みは伝統賛美に通ず。
逸脱を極めれば極めるほど、古典や伝統への親和性が高くなる。異才ギタリスト、パク・ハンアル率いる無名の小惑星の名前を持つトリオの演奏は、まだ誰も提唱していない「特殊逸脱性理論(Special Deviation Theory)」の確立なのかもしれない。

Monopod: Eris 136199: Han-earl Park, Catherine Sikora and Nick Didkovsky (Brooklyn, 06-05-13)



JAZZ ART せんがわ 2018

#1030 JAZZ ART せんがわ 2018

何百億円も費やす国家的一大イベントに引けを取らない市民レベルの国際音楽交流の場『Jazz Art せんがわ』を経験出来る僕たちは、メダリストにも負けない貴重な記憶の更新者なのである。

9月15日(土)
坂本弘道ディレクション:ピーター・エヴァンス×石川高×今西紅雪/千野秀一/坂本弘道
巻上公一ディレクション:ヒカシュー×SAICOBAB

9月16日(日)
Quebec/Japanプログラム:ルネ・リュシエクインテット/原田節×巻上公一 Alive Painting:中山晃子
藤原清登ディレクション:坂田明×ピーター・エヴァンス×藤原清登×レジー・ニコルソン×藤山裕子

「JAZZ ART せんがわ」ダイジェスト



Cross Review:ピーター・エヴァンス@Jazz Art せんがわ2018

#1033 Cross Review:ピーター・エヴァンス@Jazz Art せんがわ2018

注目のトランペット奏者ピーター・エヴァンスの初来日公演「JAZZ ART せんがわ2018」でのステージを3人のコントリビューターがクロス・レビュー。それぞれ異なる視点から分析する。

Peter Evans- solo trumpet: Mirrors of Infinity


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【私のB級サイケ蒐集癖】第18夜:ネクロ魔ロスに効く。クトゥルフに召喚された『H.P.ラヴクラフト』の幽玄アシッド・サイケ。

2018年10月07日 00時17分19秒 | 素晴らしき変態音楽


10月5日〜7日アメリカ・オレゴン州ポートランドで「2018 ラヴクラフト映画祭(23rd Annual H. P. Lovecraft Film Festival® and CthulhuCon)』が開催されている。今年で23回目になるこのフェスティバルは、アメリカの怪奇小説家ハワード・フィリップス・ラヴクラフト(英: Howard Phillips Lovecraft、1890年8月20日 - 1937年3月15日)以来、現代まで世界中で継承される「クトゥルフ神話」の研究者やファンが集まる国際的イベントである。今年は日本からアイドルユニットNECRONOMAIDOL(ネクロ魔)がゲストパフォーマーとして招待された。クトゥルフ神話に基づく暗黒系アイドルグループとして結成されたネクロ魔がいよいよ本拠地に乗り込む快挙に、魔ヲタとしては嬉しい限りである。



しかし一方でネクロ魔の日本でのライヴは10月12日(金)目黒・鹿鳴館の爆裂女子・都子ちゃん生誕祭までない。さらに筆者のもう一方の推しである爆裂女子のライヴもなし、というお預け状態。寂しさをどう紛らわせればいいのか?ネクロ魔公式からは「ラヴクラフト作品を読んでみては」というアドバイスがあった。


しかしながら音楽ヲタクの筆者が埃っぽいレコードラックから引っぱり出したのは『H.P.Lovecraft』という名のロックバンドのLPだった。80年代前半、学生時代にラヴクラフト・ブームが起こった頃、60年代サイケに夢中だった筆者は、明大前モダーン・ミュージックのサイケコーナーで彼らのレコードを見つけて、創元推理文庫の「ラヴクラフト全集」を片手に愛聴していた。バンド名をラヴクラフト協会から正式の許可を得たという彼らのサウンドは、同時代のガレージ・パンクとは異なり、陰影のあるメロディとツインヴォーカルのハーモニーが文学的なイメージを醸し出すアシッド・ロック。所属レーベルが「Dunwich Records(ダンウィッチの怪)」、曲名が「The White Ship(白い帆船)」「At The Mountains of Madness(狂気の山脈にて)」といったラヴクラフトへのオマージュも嬉しい。



●H.P.Lovecraft/H.P.ラヴクラフト

George Edwards (g,b,vo)
Dave Michaels (key,vo)
Tony Cavallari (g,vo)
Jerry McGeorge (b, vo / 1st album)
Jeffrey Boyan (b, vo / 2nd album)
Michael Tegza (ds, vo)

1966年シカゴでフォークシンガーとして活動していたジョージ・エドワーズのソロ・シングルのレコーディング・メンバーが発展的にバンドとなりH.P.ラヴクラフトとして67年初頭にトロッグスのカヴァー「Anyway That You Want Me」をPhilipsレーベルからリリース。同年後半にリリースされた1stアルバム『H.P.Lovecraft』(67)は半分がカヴァー曲だが、秀逸なオーケストラアレンジにより濃厚なゴシック感を醸し出す。シカゴの先輩格シャドウズ・オブ・ナイトを思わせるワイルドなR&B風味もあるが、ハイライトはラヴクラフトの小説に基づいた「The White Ship」。霧に覆われた海を漂う帆船を思わせる幽玄なハーモニーは、彼らが欲求不満のティーンエイジャーでもラリッたヒッピーでもなく、才能あふれる音楽家でありストーリーテラーであることを証明している。

H. P. Lovecraft - The White Ship (1967)


1968年2月にバンドはサンフランシスコへ拠点を移す。フィルモア・ウェストでピンク・フロイド、プロコル・ハルム、ドノヴァン、トラフィック等のオープニングを務め、ヘイト・アシュベリーのフラワーチルドレンにも人気を博す。その頃のステージはライヴ・アルバム『Live May 11, 1968』として1991年にリリースされた。

HP Lovecraft: I've Been Wrong Before


68年6月からロサンゼルスのI.D. Sound Studiosでレコーディングを開始。ライヴツアーが多く新曲のアレンジに専念できなかったため、即興的なレコーディング・セッションになった。その結果9月にリリースされた2ndアルバム『H.P.Lovecraft II』は、より自由度を増しアシッドなフォーク感覚を強めたプログレッシヴ作品になった。特にオルガンやピアノやハープシコードを駆使したデイヴ・マイケルズのキーボードと、ジェファーソン・エアプレインを彷彿させる2声のハーモニーが素晴らしい。

HP Lovecraft - At The Mountains Of Madness


しかし、リリース後にマイケルズが大学に復学するため脱退し、69年初頭に解散。ドラムのマイケル・テグザはプログレッシヴ・ロックバンドBangor Flying Circusに加入。69年エドワーズとテグザが新メンバーを加え「Lovecraft」として再結成するが、レコーディング前にエドワーズが脱退。残りのメンバーでアルバム『Valley of the Moon』をリリース。CS&Nに通じるレイドバックしたサウンドは悪くはないが、初期のサイケ風味は姿を消した。さらに75年にテグザが「Love Craft」としてアルバムを出したが完全なファンクR&Bになっていた。

Lovecraft - Valley of the Moon - FULL ALBUM


ジョージ・エドワーズは本名のイーサン・ケニング名義でシカゴで音楽活動を続けている。
The White Ship - an H.P.Lovecraft Fan Site

日米の
ラヴクラフティアン
交歓会

筆者にとって30余年前の愛聴盤を、ネクロ魔ロスの埋め合わせに聴きながら過ごすありきたりな土曜の午後、どこかからクトゥルフの呼び声が聞こえたような気がした。

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