浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

まただされている「自己責任」論

2015-01-22 09:28:09 | 政治
 シリアでの、「イスラム国」による日本人拉致、身代金要求事件は、安倍首相が中東を訪問して、不用意な発言をしたことも原因となっている。にもかかわらず、ネットなどではまたもや「自己責任論」がでてきたそうだ。

 日本国民は、国に迷惑をかけないように、登山はすべきではないし、危険なところには行くべきではないし・・・・・ということになるのだろう。

 だいたいにして、メディアは、自社の社員には危険なところには行かせないで、フリーのジャーナリストに行かせている。そしてカネを払って映像などを入手している。福島原発事故の際もそうであった。そういう構図の中で、マスメディアも「自己責任論」を語り始めたようだ。

 とにかく二人を救出する、それが最大の課題なのだ。おめおめと「イスラム国」に殺させてはならないのである。日本国家には、その義務がある。

http://lite-ra.com/2015/01/post-807.html
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【本】NHKスペシャル『メルトダウン』取材班『福島第一原発事故 7つの謎』

2015-01-22 08:58:45 | 
 本書は、講談社現代新書である。

 福島原発事故は、すでに無視してもいいような状況がつくられていると思う。しかし、事故により、今まで住んでいたところから追われたり、あるいは家族がバラバラになったり、あるいは対立が起きたり、原発周辺で生活していた人びとの生活は完全に破壊されている。原発事故は、まったく収束していない。

 なぜこういう事故が起きたのか、事故はどのように拡大し、かくも異常な事態を引き起こしたのかは、真摯に検討されなければならない。安倍政権により原発の再稼働や輸出がもくろまれているが、福島の事故が、高度の放射能によりその真相究明ができない以上、安倍政権の企図はとうぜんストップされなければならないものだ。

 本書は、NHK科学部のスタッフが、ほんとうは東電や政府(経産省)がしなければならない検証をおこなった結果がしるされている。もちろんその内容は、NHKスペシャルとして放映されてはいるが、文字で読むとその追究の迫力にはぐいぐいと読ませるものがある。

 詳細には触れないが、まず「原発は安全であるべきだから、絶対に安全だ」という論理が、原発政策を規定していたのではないかと思う。アメリカでは行われている非常事態の訓練がなされていないことが本書でも記されているが、過酷事故は起きないという前提のもとで、日本の原発は稼動していた。だから事故が起きたとき、スタッフはまったく経験のない措置を手探りでさがさなければならなかった。吉田所長以下、事故対応にスタッフはよく頑張ったと思う。しかし、こうした事故が起きたときの対応はどこがするのか、どこが責任をとるのかということについては、今以て結論が出ていない。「絶対に安全だ」という論理が、今も一人歩きしているようなのだ。

 しかしそれ以前の、安全対策に関する情報があげられても、「絶対に安全だ」という根拠なき「信念」が、その対策をとらせないできた。同時に、今回NHK科学部のスタッフによる検証は、かなり念入りにおこなわれたことがよくわかるのだが、東電や政府はおこなわないのだろうか。事故の過程で様々な「なぜ」が生じた。しかしその「なぜ」を、なぜ解明しようとしないのか。NHK科学部の、それらの「なぜ」を解明しようという熱意が、本書にはつまっているといってもよいだろう。

 「安全神話」によりかかって、対策をしっかりとたててこなかった、訓練をしてこなかった、そのことが、今回の過酷事故を招いたことは明らかである。

 本書には、さまざまな教訓が記されている。ほんとうはもっとヒドイ状態が生まれる可能性があったのだが、東電のスタッフのがんばりもあるのだが、なぜかが解明されていない「偶然」もあったようだ。まだまだ福島原発事故は解明されていない、にもかかわらず再稼働がおこなわれようとしている。不可解!である。

 日本は、おめでたい国だ!
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