「高齢者に迫る「大負担増時代」 じわり拡大、全体見えず」という記事が、今日の『朝日新聞』にある。
軍事費を増大させる、大企業への様々な補助金を生み出す、首相の海外訪問のためにばく大なカネをつかう、とりわけ米軍のためにカネをつかう・・・ずっと前から、1980年代から、国民の生活に関わるものは自治体にやらせ、そこでは自助・共助を強調するように、カネを出さないようにする。軍事や外交を行う中央政府は豊かなカネをつかって利権政治に励む。新自由主義的な行政改革がそういう構造をつくりあげてきた。
他方、政権と仲良くする勢力や人物には、国家のカネを湯水の如く投入する。
うまい具合に、そうした政権を盲信する人々も増えてきた。彼らには、政権批判の言論を封殺する役割を果たさせる。
政権に批判的な集会に参加する、するとそこに集まっているのは高齢者がほとんどである。政権は考える。この人たちがいなくなれば、政権は安定し、したいことができる。邪魔者は消せ、である。
もちろん殺すわけにはいかない。じわじわと死に追い込んでいく。そのためにもっともよいのは、経済的に締め上げることだ。全体的に低賃金などで経済的にしめあげると、人々は生きていくために社会運動に関わるだけのゆとりはなくなる。それがなかなか成功した。老人には年金があるので、貧しいながらの生活ではあるが、働いていないから時間があり、政権批判の行動に出る。
高齢者を締め上げよう。政権は考える。高負担の社会、これだ!
65歳以上の高齢者人口が推計で3500万人を超えた。医療や介護といった社会保障制度は見直しを迫られ、支払い能力に応じて高齢者にも負担を求める流れが続く。さまざまな負担が積み重なる「大負担増時代」を迎え、高齢者の家計はどんな影響を受けるのか。丁寧な検証が欠かせない。(編集委員・清川卓史)
高齢者の負担増は、医療や介護で今年度から来年度にかけて段階的に進んでいく。今回の制度見直しがほぼ実施される来年8月時点の負担は、今年3月時点と比べてどうなるのか。
東京都内で一人暮らし、年金収入が年211万円ある78歳の男性。こんなモデルを想定してみる。
持病があって通院を繰り返し、さらに急病で入院。医療費が月60万円かかったとする。自己負担割合は1割だが、「高額療養費」の制度で負担する月額の上限は決まっている。この男性の所得と年齢では、今年8月に4万4400円から5万7600円に上がった。
75歳以上が対象の後期高齢者医療制度の保険料も中程度の所得層で段階的に上がっている。この男性の所得なら月2千円以上の値上げに。医療費と合わせ、負担月額は計1万5千円以上増える計算だ。
医療だけでなく、介護の負担も増す。
次に、年金収入が年290万円で82歳の夫と年80万円で80歳の妻の夫婦世帯のモデルを想定する。
夫は訪問介護や通所介護などのサービスを月25万円分利用。自己負担割合は2割だが、「高額介護サービス費」で月額に上限がある。この上限も今年8月に見直され、この夫の所得なら3万7200円から4万4400円に上昇した。
妻はこの月、体調を崩して複数の病院に通い、20万円の医療費がかかった。自己負担の月額上限は1万2千円から段階的に1万8千円になる。夫婦では、合計約1万3千円の負担増だ。
これらは社会保険労務士の井戸美枝さんの協力を得て試算した結果だ。いずれのモデルも中程度以上の所得層。医療や介護の負担が長期間にわたり重くなった場合、さらに軽減する仕組みもある。それでも月1万円余りの負担増は軽視できない。
軍事費を増大させる、大企業への様々な補助金を生み出す、首相の海外訪問のためにばく大なカネをつかう、とりわけ米軍のためにカネをつかう・・・ずっと前から、1980年代から、国民の生活に関わるものは自治体にやらせ、そこでは自助・共助を強調するように、カネを出さないようにする。軍事や外交を行う中央政府は豊かなカネをつかって利権政治に励む。新自由主義的な行政改革がそういう構造をつくりあげてきた。
他方、政権と仲良くする勢力や人物には、国家のカネを湯水の如く投入する。
うまい具合に、そうした政権を盲信する人々も増えてきた。彼らには、政権批判の言論を封殺する役割を果たさせる。
政権に批判的な集会に参加する、するとそこに集まっているのは高齢者がほとんどである。政権は考える。この人たちがいなくなれば、政権は安定し、したいことができる。邪魔者は消せ、である。
もちろん殺すわけにはいかない。じわじわと死に追い込んでいく。そのためにもっともよいのは、経済的に締め上げることだ。全体的に低賃金などで経済的にしめあげると、人々は生きていくために社会運動に関わるだけのゆとりはなくなる。それがなかなか成功した。老人には年金があるので、貧しいながらの生活ではあるが、働いていないから時間があり、政権批判の行動に出る。
高齢者を締め上げよう。政権は考える。高負担の社会、これだ!
65歳以上の高齢者人口が推計で3500万人を超えた。医療や介護といった社会保障制度は見直しを迫られ、支払い能力に応じて高齢者にも負担を求める流れが続く。さまざまな負担が積み重なる「大負担増時代」を迎え、高齢者の家計はどんな影響を受けるのか。丁寧な検証が欠かせない。(編集委員・清川卓史)
高齢者の負担増は、医療や介護で今年度から来年度にかけて段階的に進んでいく。今回の制度見直しがほぼ実施される来年8月時点の負担は、今年3月時点と比べてどうなるのか。
東京都内で一人暮らし、年金収入が年211万円ある78歳の男性。こんなモデルを想定してみる。
持病があって通院を繰り返し、さらに急病で入院。医療費が月60万円かかったとする。自己負担割合は1割だが、「高額療養費」の制度で負担する月額の上限は決まっている。この男性の所得と年齢では、今年8月に4万4400円から5万7600円に上がった。
75歳以上が対象の後期高齢者医療制度の保険料も中程度の所得層で段階的に上がっている。この男性の所得なら月2千円以上の値上げに。医療費と合わせ、負担月額は計1万5千円以上増える計算だ。
医療だけでなく、介護の負担も増す。
次に、年金収入が年290万円で82歳の夫と年80万円で80歳の妻の夫婦世帯のモデルを想定する。
夫は訪問介護や通所介護などのサービスを月25万円分利用。自己負担割合は2割だが、「高額介護サービス費」で月額に上限がある。この上限も今年8月に見直され、この夫の所得なら3万7200円から4万4400円に上昇した。
妻はこの月、体調を崩して複数の病院に通い、20万円の医療費がかかった。自己負担の月額上限は1万2千円から段階的に1万8千円になる。夫婦では、合計約1万3千円の負担増だ。
これらは社会保険労務士の井戸美枝さんの協力を得て試算した結果だ。いずれのモデルも中程度以上の所得層。医療や介護の負担が長期間にわたり重くなった場合、さらに軽減する仕組みもある。それでも月1万円余りの負担増は軽視できない。